サムスン電子がケニアの裁判所から現地女性労働者を性別と人種を根拠に差別して不当に解雇したとし、訴訟費用と約8百万円の補償金を支払えとの判決を7月に受けていたことが確認された。 サムスン電子はこのような判決に従わず控訴している。
1日、ケニア国立法律院(kenyalaw.org)が公開した判決文によれば、サムスン電子アフリカ法人の女性社員だったコキ・ムイア氏は2011年1月から仕事を始めたが2013年8月に解雇通知を受け取すぐに訴訟を提起した。 彼女は修理・補償と関連してシステム上で数回取り消しの指示を下したという理由でサムスン電子から解雇通知を受け取ったが、本当の解雇理由は別にあると主張した。 彼女は「2013年初めに赴任した韓国人男性上司チェ氏に対して業務能力の不足などで異議を提起したことが真の解雇理由であり、自身は性別と人種による差別と不当解雇処分を受けた」と主張した。 訴訟の過程でサムスン電子は上司であるチェ氏が言語の問題はあるが技術的には問題なく、コキ・ムイア氏を解雇したのは、人を無視する性格がある上に誤った判断を下したこともあったためだと反論した。
しかし、ケニアの裁判所はコキ・ムイア氏の手を挙げた。 裁判所は判決文で「サムスン電子がケニア人社員を韓国人に管理させることは国際労働機構(ILO)協約111号(雇用と職業による差別禁止)違反と判断される」として「国連人権宣言と経済的、社会・文化的権利に関する国際規約(ICESCR)7条にも違反した」と明らかにした。 さらに「提示された証拠によれば、サムスン電子がケニア人が昇進することを許さず、代わりに無能な韓国人を送って管理・監督に当たらせたと見られる」として「これは確実な差別行為であり、国際労働基準にも合わない」と明らかにした。 また「職場における公正は合理的基準によってなされるべきで、軍人出身のチェ氏が英語の実力が不足していたにもかかわらず、競争力のあるケニア人を管理・監督することは妥当でない」と明らかにした。 サムスン電子に対しては「解雇のために働くことができなかったという証拠の操作を図った」とも指摘した。
裁判所は、復職は両当事者間の関係を考慮すれば適切な解決法にならないとして、不当な解雇に対する金銭的補償と共に支払われなかった給与など878万1066ケニアシリング(約8百万円)を支払うよう判決した。 これに対しサムスン電子側は「裁判所の判決は誤っているとし即時控訴した」と明らかにした。