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フクヤマ教授、朴大統領の“幽体離脱話法”を問われ「大統領制では珍しい」

登録:2015-05-07 22:22 修正:2015-05-08 06:54
 『歴史の終わり』著者、韓国で専門家懇談会
フランシス・フクヤマ米スタンフォード大学教授 //ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は重要な懸案があるたびに、しばしば「政界にお任せする」というような発言をしてきた。政界と距離を置くような脱政治的姿勢は、責任を回避するための姿勢でもある。以前の韓国の大統領らも往々にしてこのような態度を取ったが、“幽体離脱話法”なる批判を受ける朴大統領ほどではなかった。これについて『歴史の終わり』の著者フランシス・フクヤマ米スタンフォード大学教授(63・写真)は「大統領制では珍しいこと」だと批判的な見解を示した。

 韓国を訪問しているフクヤマ教授は7日、峨山政策研究院で開かれた専門家懇談会で「韓国のように、大統領が自らを議会政治からかけ離れた存在として位置づけるのは、他の国でもよくあることなのか」という質問を受けた。フクヤマ教授は「米国では、特に共和党側の政治家たちが『ワシントンはひどいですね。私はワシントンの人ではありません』というふうに、政治家ではないふりをするのは、いつでもどこでも見られる現象ですが、現職の大統領がそのように行動するのはちょっと別の問題」だとし、「危険な傾向かもしれない」と答えた。

 フクヤマ教授は「大統領制における大統領は、国家を代表し、公共の利益を代弁しなければならないので、権限が強化される傾向があるが、(大統領自らが政治と距離を置こうとする場合)、その権限が正当でない可能性がある」と説明した。大統領が象徴的存在にとどまり、実質的権力は首相が掌握する議院内閣制の国では、大統領が“中立”を標榜できるが、韓国のように多くの権力が大統領に集中している制度では、大統領がより大きな政治的責任を負わなければならないということだ。フクヤマ教授は「(米国で)ほとんどの大統領は、野党など反対派を説得しなければならない」とし、「成功した大統領は、反対派までもよく説得してかなりの支持を引き出しており、それが良い政治」だと述べた。

 朴大統領はこの日、京畿道平沢(ピョンテク)で開かれたサムスン電子の半導体工場の起工式で、「政治と政界は各党における有利・不利と政治的利害関係を離れて、国民のための改革の道において先頭に立たなければならない」と“政治批評”を続けた。

 これと共に、フクヤマ教授は日本の安倍晋三首相の最近の米国訪問について「20世紀に対する安倍首相の歴史修正主義的視点に同意するアメリカ人は、誰もいない」と述べた。彼は「アメリカ人は(安倍首相の過去の歴史認識について)何か言及するように促したはずだが、ただし中国に『日米同盟は強い』ことを見せつけるために、公開的に批判するのは難しいことから限界もあっただろう」と付け加えた。

キム・ウェヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-05-07 20:04

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/690251.html  訳H.J

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