本文に移動

チョン・シニルはなぜ三星マンと呼ばれるのか

原文入力:2009-06-05午前09:57:17
セジュンナモ, 三星出張業務 27年間 独占
‘親密’イ・ゴンヒ 後光を背負って事業順風満帆
政・官界-三星間ロビイスト説も出回る

クァク・ジョンス記者

ハン・サンリュル前国税庁長を相手に行ったテグァン実業税務調査宥和ロビー,ポスコ会長選任過程介入,CJグループ税務調査と関連したある種の役割…. パク・ヨンチャ前テグァン実業会長に対する検察捜査が本格化した以後、チョン氏と関連して提起された疑惑リストだ。違法性有無を離れて政・官・財界をまたぐ彼の途方もない人的ネットワークと行動半径に先ず驚くことになる。財界の ‘隠れた顔役’である彼を実際に財界では何と言っているだろうか? 4大グループのある高位役員は「チョン会長は財界が皆知っている ‘三星マン’ 」として「イ・ゴンヒ前三星会長と際立った特別な関係として知られている」と話す。この言葉からイ・ジェヒョン会長がなぜチョン氏をおじさんと呼ぶのか類推することができる。イ・ジェヒョン会長の叔父のイ・ゴンヒ会長とチョン氏がとても親しく、その根源がイ・ジェヒョン会長が幼かった頃の30年以上前まで遡ることを察することができる。

■三星全体の出張代行を27年間
独占している凄腕チョン氏とイ・ゴンヒ会長の ‘とても特別な関係’ はセジュンと三星の事業関係に垣間見ることができる。チョン氏が1982年に創ったセジュン旅行社は去る27年間にわたり17万三星役職員たちの国内外出張代行業務を独占している。10大グループのある役員は「イ会長を ‘バック’ にせずに可能なことか」と問い直す。三星は役員だけで1500~1600人に達する。彼らは一年平均4~5回ずつ海外出張に行く。三星系列会社のある役員は「大部分が1等席の飛行機と高級ホテルを利用するので、一回の出張に数百万ウォンずつかかる」として「セジュンは他所よりも高いから利潤をたくさん残しただろう」と話す。三星電子のまた別の高位役員が語るエピソードも興味深い。「イ会長の三人娘の中の一人が何年か前にセジュンが受け持っている三星役職員出張代行業務を自分に渡してくれとせがみました。自分が引き受けた三星系列会社の経営実績が思わしくなくて新しい収益源にと考えたのでしょう。だがイ会長は娘の懇請をついに聞き入れませんでした。」

チョン氏と三星の事業関係は最近より一層拡大している。昨年からは三星重工業の造船用鋼材関連物流事業を引き受け始めた。セジュンはまた水原三星サッカーチーム公式供給業者であり、三星電子ロジテックとも物流業務受委託契約を結んだ。チョン氏が14ヶの系列会社を率いる中堅企業家として成功できたのには、このような三星の助けが決定的だった。セジュンナモ旅行会社(旧セジュン旅行社)の事務室もソウル,太平路の三星生命ビルディング19階にある。三星社屋に他の会社が入っているのは前例が珍しい。チョン氏は「27年間三星,ポスコなど500ヶ企業を相手に商用旅行市場1位を占め、継続して黒字を出した」と自慢気に言ったが三星の支援がなかったとすれば不可能だっただろう。

■セジュンと三星
事業関係それ以上? 三星系列会社のある役員は「イ会長が海外に出て行く度にチョン会長がほとんど同行をしていると理解している」として「イ会長がこの上なく愛する馬や犬などを海外から国内に持ってくる時も、チョン会長が中間で代わって面倒を見ていると理解している」と話した。チョン氏とイ会長のこういうねばっこい関係はどのようにして始まったのだろうか? チョン氏はイ会長より年齢が一才下だ。釜山出身で慶南高,高麗大を出た彼は、イ会長と直接的な地縁・学縁はない。チョン氏自身は「イ会長との縁はレスリングで結ばれた」と話す。イ会長が82年レスリング協会会長に就任し、彼を国際担当理事に推薦したということだ。チョン氏はイ会長が96年国際オリンピック委員会(IOC)委員になり協会長席を受け継ぐ。体育界では彼をイ会長の代理人と思っている。イ会長は今でもレスリング協会の名誉会長を引き受け資金支援をしている。三星系列会社の役員は「チョン会長はイ会長がIOC委員になる際も功績が大きかったという」と話した。

チョン氏と三星の縁は、三星創業者のイ・ビョンチョル先代会長まで遡るという話もある。三星系列会社の役員は「イ・ビョンチョル会長が生前にパク・テジュン ポスコ名誉会長の推薦でチョン氏に会ったが、とても気に入ったと言って息子のイ・ゴンヒ会長(当時、副会長)にも身近に接するように薦めたという」と話した。チョン氏がパク名誉会長を知ることになったのは事業のためだ。彼は31才の時、水道管関連事業を行う製鉄化学(現、東洋製鉄化学)を創ったが、ポスコが原料供給会社であった。チョン氏は当時ポスコ奨学財団に会社株式の35%と利益金の35%を寄付しパク名誉会長の目に止まった。チョン氏自らもパク名誉会長をイ・ゴンヒ会長と共に「代父のような方々」と語る。チョン氏と三星の縁を全斗煥政権と連結させる人々もいる。三星傍系グループのある役員は「チョン氏が自身と学縁で近い第5共和国実力者を三星に結びつけてあげ関係が始まった」と話した。

■三星 “我々のロビイスト? 話にもならない”
チョン氏の第5共和国実力者連結説が示唆するように、チョン氏が三星のために一種のロビイストの役割を果たしているという話もある。自身の幅広い人的ネットワークを活用し、政・官界と三星の間の橋の役割をするということだ。三星構造調整本部で勤めたある前職役員は「イ・ハクス構造調整本部長が内部会議の時に何度もチョン会長の名前を取り上げたことがある」として「チョン会長が対外的に三星のために色々なお手伝いをしているようだった」と話した。4大グループのある高位役員も「この頃、チョン・シニル ゲートで三星内部も穏やかではないだろう」と意味深長な話を投じた。

三星は公式にチョン氏と関連しては一切口を閉ざす。チャン・チュンギ三星ブランド管理委員長(社長)はチョン氏とイ・ゴンヒ会長の関係に関し「何も知らない」と言った。彼はまたセジュンに27年間にわたり役職員出張代行業務を任せた理由に対して「効率性次元(仕事を良くやるという意味)ではないだろうか」と説明した。だが、取り引き業者を必ず複数にしておき、競争させて費用節減を図る三星の経営原則を考慮する時、セジュンはきわめて異例的だ。特に三星はチョン氏の三星ロビイスト説に対して「とんでもない」としてびっくりして飛び上がる。三星系列会社のある役員は「彼は普段一つをすれば十をしたと話すスタイル」としながら「そのような人に問題になるような仕事を頼む企業がどこにあるか」と首を横に振った。チョン氏と高麗大同窓のある要人は「パク・ヨンチャ事件が表面化する直前、チョン会長に電話をかけイ・ミョンバク大統領の最側近とか現政権実力者とか言いながら名前が度々出てくるのは危険だと警告したが結局事件が起きた」と話した。

■卓越した人脈管理と親和力
チョン氏が政・官・財界を網羅する途方もない人的ネットワークを形成しているのには彼の特異な経歴が一役買っている。彼は社会初年兵時期に政治家の夢を見てユン・チョンジュ前ソウル大総長の議員補佐官を務めた。彼は以後、鉄鋼会社重役を務めていた妻の父を助けて水道管を生産する東洋鉄管常務として在職したが、当時この会社の社長がパク・チョンヒ大統領の甥(長兄の息子)のパク・ジェホン氏だった。彼は若くして権力核心部と会う機会があったのだ。

チョン氏の知人の中にはそれについて好意的に話す人々も多い。大学同窓のある要人は「チョン会長は普段から周辺の難しい立場にいる人々の話をよく聞きよく面倒を見る多情多感な性格」と話した。彼は名節の度ごとに知人に小さくても誠意のこもった贈り物を必ず用意して送っていたという。特有の親和力と人的ネットワーク能力を示す言葉だ。チョン氏は社会寄付にも積極的だ。去る85年にはポスコに浦項工大敷地6万3千坪を寄付した。また2007年にはセジュンナモ旅行の株式110万5千株(当時市価110億ウォン)を寄付し話題になった。高麗大出身のある財界人は「彼は自身の地縁と学閥,人的ネットワークを通じて社会的影響力を行使し他の人々の前に出ること自体を楽しむタイプ」として「彼が請託をして人事に介入したとしても特別に自身の金銭的利益や利権を取り込んだりはしなかっただろう」と話した。チョン氏は検察の事前拘束令状が棄却され、ひとまず一息つくことになった。だが財界は今後チョン氏の飛び火がどの企業と企業家に降ってくるのか神経を尖らせている。 クァク・ジョンス大企業専門記者jskwak@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/358790.html 訳J.S