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特権化した「自律型私立高」の廃止を目指すソウル市と国が訴訟合戦へ

登録:2014-09-01 21:22 修正:2014-09-02 21:24
ソウル市議員たちがソウル市内にある自律型私立校を訪問している。シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

ソウル市教育庁、自律型私立高8校を一般高校転換へ
教育部は長官の事前同意を受けるよう法改正を推進

 ソウル市教育庁が1日、自律型私立高等学校(自私高)25校のうち今年の再評価対象14校中の8校を、2016学年度から一般高等学校(一般高)に転換させる内部方針を定めたと伝えられた。さらにソウル市教育庁は、一般高校転換対象にはならない6校については、2016学年度新入生選抜時に成績制限を設けず、抽選方式で全員を選抜させる方針だという。自私高が優秀学生を総ざらいする手段になっているという批判を受けてきた成績制限規定と新入生選抜権を事実上剥奪することを意味する。ソウル市教育庁はこのような内容を3~4日頃に公式発表する予定だという。ただしチョ・ヒヨン ソウル市教育監(長)の決裁手続きが残っているため、再指定取り消し対象学校の数には変化があり得る。

「自律型私立高指定協議に関する訓令」により、教育庁は自律型私立高指定取り消しの可否を教育部と協議しなければならず、教育部は2か月以内に“同意/不同意”を教育庁に回答しなければならない。これと関連して教育部は自律型私立高指定取り消しの際に教育部長官の事前同意を必ず経るようにする内容等を含んだ「初中等教育法施行令」の一部改正案を今週中に立法予告する予定だと1日発表した。 教育部の発表は、事前予告をせずに電撃的になされたが、ソウル市教育庁の自律型私立高指定取り消しの動きを念頭に置いたものと見られる。

実際、教育部はこの日の報道資料で「ソウル市教育監が推進中の評価を終えた自律型私立高再評価および指定取り消しは、教育監の裁量権を逸脱・乱用したものであり受け入れられない」として「ソウル市教育監が指定取り消し協議を申請しても直ちに差し戻す」と明らかにした。これに伴い、自律型私立高の存続を巡って鋭く対立してきた進歩系の教育監・一般高校・教育団体と、教育部・自律型私立高との間で訴訟合戦が避けられないと見られる状況で、ファン・ウヨ教育部長官とチョ・ヒヨン ソウル市教育監が代表選手として最前線で対抗することになりそうだ。

全国の自律型私立高49校のうち25校が集まるソウルで、教育庁が自律型私立高8校の一般高校強制転換方針を事実上決め、自律型私立高の維持・廃止を巡る社会的論議も本格化する展望だ。

 ソウル地域の自律型私立高25校のうち、指定されてから5年を経過し今年の評価対象である14校のうち8校が脱落基準の70点(100点満点)を越えられなかったとソウル市教育庁関係者が1日伝えた。ただしソウル市教育庁が一般高校強制転換対象に定めた8校が具体的にどの学校なのかは確認されていない。

 6月4日に行われた教育監選挙で“特権学校廃止”を公約に掲げたチョ・ヒヨン ソウル市教育監がひとまずは“自律型私立高全面廃止ではなく部分再指定取り消し”方針を定めたのは、何よりも自律型私立高廃止の是非を巡る論議にともなう訴訟戦で敗訴するという最悪の状況は避けなければならないという現実的判断があるものと見られる。

ソウル市教育庁が今回の自律型私立高評価の際にチョ教育監が公言してきた“公教育影響評価”を評価指標として使わなかったことがその代表例だ。公教育影響評価を巡っては、指標の妥当性論議だけでなく、法的訴訟に及んだ際に教育庁の敗訴の危険が高いという専門家たちの指摘があった。したがって公教育影響評価を評価指標から除外したのは予想されたことだった。

ソウル市教育庁は今回の評価に先立ち、ムン・ヨンニン前教育監の時期になされた1次評価(14校全て自律型私立高維持)の際に使った指標を廃棄せず、配点だけを調整・改善した評価指標を使ったという。ソウル市教育庁の今回の自律型私立高評価に対して“消極的”という批判が提起されそうな部分だ。

 ソウル地域の自律型私立高維持・廃止を巡る法的訴訟は、大きく二通りに展開する可能性がある。第一は、ソウル市教育庁が一般高校への転換を決めた自律型私立高8校および該当学校の父母が提起する訴訟だ。 第二は、ソウル市教育庁の自律型私立高再指定取り消し決定に教育部が同意せず、教育庁がこれに対抗して訴訟を提起する場合だ。

 自律型私立高の校長および生徒の父母は、教育庁が自律型私立高指定を取り消せば訴訟で対抗すると繰り返し公言してきた。 訴訟戦に臨むソウル市教育庁の方針はまだ明らかにされていない。ただし、これに先立って京畿道教育庁は道内の自律型私立高である安山東山高校の再指定を取り消すとして教育部に協議を要請し、教育部が“不同意”を伝えるとこれを受け入れた経緯がある。道内の自律型私立高が2校だけで負担が少ない状況で、自律型私立高維持・廃止論議には包まれたくないというイ・ジェジョン京畿道教育監の政治的判断が作用したものと分析される。

だが、ソウル地域には自律型私立高が25校あり、教育部の“不同意”通知を京畿道教育庁のようにソウル市教育庁が素直に受け入れることは難しい状況だ。教育部とソウル市教育庁の間に訴訟戦が避けられないと見られる背景だ。

 一方、ソウル市教育庁が自律型私立高の地位を認めることにした6校に対して、2016学年度の新入生選抜を成績制限を設けず抽選方式で全員を選抜させることにした点については、自律型私立高が入学生の自律選抜権を悪用し、周辺の一般高校に行く優秀生徒を総ざらいしてきた現実にブレーキをかける必要性が大きく作用したと見られる。 これに先立って、光州(クァンジュ)市教育庁は自律型私立高の志願者に対する成績制限をなくし抽選選抜させる内容の来年度新入生選抜要綱を職権公告するという強硬姿勢で、光州地域の自律型私立高2校のうち、崇徳高校の一般高校転換決定を引き出した。 光州地域の唯一の自律型私立高として残ることになった松源高校も新入生選抜の成績制限規定を放棄した。

イ・ジェフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/653662.html 韓国語原文入力:2014/09/01 15:33
訳J.S(2698字)

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