朴槿恵大統領選挙キャンプ・業務引き継ぎ委員会出身
5・16を“革命”と記述して問題になった
代案歴史教科書の筆者としても参加
公安出身のハム・グィヨンは非常任委員に
「偏向審議・放送統制のおそれ」の声も
朴槿恵(パク・クネ)大統領の大統領選挙キャンプ出身であり代表的ニューライト人士であるパク・ヒョジョン(67)ソウル大学倫理教育科名誉教授が、放送通信審議委員会(放通審議委)委員長の座に上がった。今から“偏向審議”を憂慮する声が高い。
第3期放送通信審議委員会が17日午後、ソウル木洞(モクトン)の放送会館で初会議を開き、パク委員を委員長に選出して公式にスタートした。副委員長には与党推薦委員の中からキム・ソンムク(64・元KBS副社長)委員が、野党の持ち分である常任委員にはチャン・ナギン(62 全北大学新聞放送学科招聘教授)委員が選出された。残りの6人の委員は非常任で、委員の任期は3年だ。朴大統領は今月13日、委員たちの任命を裁可した。
パク新任委員長は、朴槿惠大統領選挙キャンプ出身であるだけでなく、大統領職引継ぎ委員会の政務分科幹事まで務め、言論・市民団体から「独立性を守るべき放通審議委員に不適切だ」との批判を受けてきた。
パク委員長は2008年<教科書フォーラム>が出版した『代案教科書 韓国近現代史』に筆者としても参加している。この本は5・16クーデターを“革命”とし、金九先生の行状を“抗日テロ活動”と記述して物議をかもした。 同日一緒に委員になったハム・グィヨン(58)弁護士は公安検事出身で、「放送の左偏向が深刻だ」という趣旨の発言をしてきた人物。
このため、パク委員長の選任は、ムン・チャングク総理候補者指名に続いて現政権の偏向的歴史観を示すものであり、言論統制の意志をあらわにしたものではないかという批判が殺到した。<80年代解職言論人協議会>と<放送記者連合会>など17の言論・市民団体は、同日木洞の放送会館で記者会見を開き、「右偏向の歴史観を持つ上に、大統領の側近を委員長に任命したことは、李明博(イ・ミョンバク)政府の時にもなかったことだ。 放送を掌握、統制するという国民への宣戦布告である」としてパク委員長の辞任を求めた。
放通審議委は2008年の発足以来、“政治偏向審議”という論議に頻繁に包まれた。法的には放送・通信の公正性・公共性のための民間独立機構だが、政権に不利な内容を検閲する道具に転落したという批判が多かった。 実際、李明博政権時代には狂牛病、4大河川など政府に不利な内容を盛り込んだ時事・報道番組に重い懲戒を下し、現政府下においても朴大統領の退陣を主張したパク・チャンシン神父にインタビューしたCBSなどに対し、重い懲戒を下した。その一方で、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長などを“従北”と表現した人物を出演させたTV朝鮮には「問題なし」の意見を出しもした。政府・与党推薦委員6人対野党推薦委員3人という構造自体が問題だという指摘も多い。
<民主言論市民連合>のキム・オンギョン事務処長は「第2期も偏向が多かったが、少なくとも委員長が検事出身で法律の知識を備えていた。しかし、今回は放送・通信と無関係な理念偏向的人物が委員長になり、一層憂慮される」と述べた。パク・キョンシン高麗(コリョ)大教授(法学専門大学院・第2期放通審議委員)も、「審議委が理念の戦場になりはしないか、不安だ」と述べた。
パク新任委員長は同日開かれた就任式で、「合議制の精神で委員会が運営されるよう最善を尽くす。委員たちとの虚心坦懐な討論を通して、道理に基づき常識に反しない合理的な結論が導き出されるよう最大限努力する」と述べた。
キム・ヒョシル記者 trans@hani.co.kr