国家情報院のスパイねつ造疑惑が事実であることが確認された中で、対共捜査権の廃止が国家情報院改革の核心議題に浮上している。
対共捜査とは、スパイでもいわゆる‘左翼事犯’を捜し出し国家保安法を適用する行為を言う。 国家情報院に対共捜査権が法律により明文的に付与されたのは、中央情報部(中情)時代まで遡る。
1961年6月10日に創設された中情の職務は "国家安全保障に関連する国内外情報事項および犯罪捜査と軍を含む政府各部情報捜査活動を調整監督" する事と "これと関連して行う犯罪捜査権" と包括的に規定された。 2年余り後の1963年12月に中情法が改正され、職務範囲は "刑法のうち内乱・外患罪、軍刑法のうち叛乱罪、利敵罪、
軍事機密漏洩罪、暗号不正使用罪、国家保安法および反共法に規定された犯罪の捜査" とより具体化された。 "国内外情報収集および犯罪捜査業務をより効率的に遂行するため" と "類似の機能を遂行する他機関との管轄権紛争の素地がないように" することが改正の理由であった。 この時に明示された対共捜査権は、中情が国家安全企画部を経て国家情報院に名前が変わっても今日まで綿々と維持されている。
昨年の国家情報院改革局面で民主党は国家情報院の対共捜査権を検察と警察に移管しようと主張した。 法の境界で綱渡りして情報を収集する情報機関に、合法的手続きが基本要件である捜査権を与えることは危険なためだ。 諜報が濾過されずに捜査につながる時に発生しうる人権侵害の可能性もはるか以前から指摘されてきた部分だ。 しかし国会の議論過程で対共捜査権問題は‘論外’に置かれた。 "対共捜査権の廃止が(国家情報院)改革の要諦だというのは誤りだ。 分別のない主張" (ユン・サンヒョン院内首席副代表)というのがセヌリ党の基本的な見解であった。 民主党は対共捜査権移管問題を議論のテーブルに上げ続けたが、セヌリ党は‘議論事項ではない’と線を引いた。 今年1月1日、与野党が通過させた国家情報院法改正案には、機関出入り内部規定、政治活動関与指示に対する拒否権、サイバー上での政治関与行為処罰規定程度のみが入れられた。
改革議論で与党が話もできなくした対共捜査権を振り回すことによって国家情報院は結局事故を起こした。 ソウル市公務員スパイねつ造事件で情報と捜査が分離していない権力機関の弊害がそっくり現実になったわけだ。 国家情報院の対共捜査権移管主張が再び出て来ざるをえない理由だ。 キム・ハンギル民主党代表は去る10日 「国家情報院改革特別委で民主党が主張したように、国家情報院の対共捜査権を検察や警察に移管することこそ当然だろう」と話した。 民主党はすでに昨年10月、国家情報院法改正案を出した。 国家情報院の捜査権を移管して国家安保と統一のための国内・外情報収集を主業務とし、組織の名前を‘統一海外情報院’に変える内容などが盛り込まれた。
キム・テギュ記者 dokbul@hani.co.kr