"私たちは皆が彼に借りがある。" 2011年12月パーキンソン病を病んで亡くなったキム・グンテ(写真)前民主統合党常任顧問の追慕ミサで、ハム・セウン神父は話した。 キム前顧問は1980年代民主化運動に献身して拷問技術者イ・クンアンなどから拷問にあい、一生を後遺症に苦しめられた代表的な国家暴力被害者だ。 ハム神父はキム前顧問を賛えて 「今日を契機にまだ苦痛の中にいる数多くの拷問被害者のための治癒センター建設を推進する」と約束した。
約束は1年6ヶ月ぶりに実現された。 社団法人人権医学研究所(理事長ハム・セウン)は25日「国家暴力被害者のための国内初の民間専門治療機関であるキム・グンテ記念治癒センターがドアを開ける」と明らかにした。 正式名称は‘いまだ明らかになっていないこの地の数多くの国家暴力被害者のためのキム・グンテ記念治癒センター’(キム・グンテ治癒センター)だ。 ‘国際拷問被害者支援の日(26日)’を翌日に控えて開所したわけだ。
キム・グンテ治癒センター設立のために昨年10月、拷問被害者と遺族を含む各界要人70人余りは、設立推進委員会と執行委員会を設けた。 キム前顧問の夫人であるイン・ジェクン民主党議員が1000万ウォンの基金を種子に当てた。 1980年代一家族20人余りがスパイの汚名を着せられ再審で無罪判決を受けたいわゆる‘ソン氏一家スパイ事件’被害者は、国家賠償金の中から1億ウォンを出した。 ここに市民の寄付を加えて3億ウォンを集め、ソウル城北区(ソンブクク)貞陵洞(チョンヌンドン)聖家小卑女會(修道院)聖ジェドク館に居を定めた。
キム・グンテ治癒センターは独裁政権当時の拷問被害者だけでなく、最近の民間人不法査察対象者などすべての種類の国家暴力被害者の精神的・身体的外傷に対して専門的な治療を提供する。 △国家暴力被害と治療に関する研究調査△拷問・公権力乱用防止と被害補償法制化△国家暴力被害者と遺族のための社会連帯基金造成△国際拷問防止機構との協力事業も進める計画だ。
人権医学研究所関係者は「我が国は過去の抑圧的政権による国家暴力被害者が数十万人存在するが、まだ‘拷問防止法’も制定されておらず‘拷問被害者救済・支援法案’等、被害者支援策も全くないのが実情だ。 治癒センター設立を通じて拷問被害者を治癒するのは、彼らの犠牲に尊敬を表わすということだけでなく、再びこの地にそのような国家暴力が発生しないよう防止する重要な人権活動」と話した。 オム・ジウォン記者 umkija@hani.co.kr