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8ヶ月間に労働者10人死亡…現代製鉄唐津工場‘死の行進’

登録:2013-05-10 22:02 修正:2013-05-13 16:22
"安全装備もなしで働き惨劇"
安全管理不良が一次的原因 指摘
労働界‘一回性の事故ではない’指摘
"高強度労働をさせる企業文化と
元請業者の責任回避がもたらした結果"
忠南(チュンナム)唐津(タンジン)の現代製鉄で転炉の補修工事中に酸素不足で労働者5人が亡くなった事故現場で10日警察が出入りを統制している。 唐津/ニューシス

 10日未明、現代製鉄の協力業者である韓国耐火の労働者5人が遺体で発見されたところは忠南(チュンナム)唐津(タンジン)の製鋼工場‘転炉’内だ。 転炉は耐火レンガが内張りされた縦に長い壷形の容器であり、溶鉱炉(高炉)から出た銑鉄を受け入れ硫黄・燐などの不純物を除去する設備だ。 亡くなった労働者はここで炉修工事をしていた。 彼らが窒息した理由と推定されるアルゴンガスは不純物除去工程で必須の物質だ。

 窒息の危険がある作業工程だが「最小限の安全装置もつけずに作業をしていた」と工場労働者たちは主張している。 民主労総忠南支部現代製鉄支会のキム・ジョンヨル労働安全1部長は「現場調査の結果、労働者が携帯用ガス漏出感知器や防毒マスクのような安全装備もつけずに作業している間に被害に遭った」と話した。

 安全管理不良も問題だが、労働界では今回の事故を偶発的な一回性の事故とは見ていない。 7ヶ月余りの期間に現代製鉄唐津工場だけで労働者11人が亡くなっているためだ。

 こういう‘死の行進’は高強度労働を注文する現代製鉄の企業文化と人命事故が発生しても元請業者に軽い処罰を下す慣行がもたらした結果だというのが労働界の見解だ。 全国建設プラント労組忠南支部関係者は「現代製鉄の場合、以前からブルドーザー式精神を強調した現代グループの企業文化が残っている。 最近工場増設などで作業量が途方もなく増えた。 今回の事故が夜明けに起きたことにもこのような背景がある」と話した。 全国民主労働組合総連盟(民主労総)は声明を出して「今回の事件は企業主の安全不感症、元請業者の責任回避、そして雇用労働部のおざなり行政監督など総体的問題点がそっくり現れたものだ」と主張した。

 先月24日国会で開かれた‘労災死亡処罰および元請責任強化法改正方案討論会’資料を見れば、毎年雇用労働部(労働部)安全点検で対象事業場の90%以上が摘発されているが、平均過怠金は95万ウォンに過ぎなかった。 また、最近3年間に重大災害を発生させた産業安全保健法違反事件2045件の中で32%は事業主が何の処罰も受けなかった。 事業主に対する懲役刑は3%に過ぎなかった。 2000年以後に発生した21件の労災死亡事故でも元請業者に賦課された罰金額は最高3000万ウォンで、ほとんどは1000万ウォン台であった。 チェ・ミョンソン民主労総労働安全局長は「今のような状況では元請業者が労災事件を恐れない」と話した。

 産業安全システムの崩壊が最近起きた各種労災事件の根本的原因だという指摘も出ている。 パク・トゥヨン漢城(ハンソン)大教授(機械システム工学)は 「去る5年間、産業構造は完全に変わったが産業安全システムは旧式のまま事実上放置された。 最近相次いだ労災事件は始まりに過ぎない。 システム崩壊によって今後あちこちで類似の事件が発生するだろう」と警告した。

 一方、労働部は現代製鉄に対する特別監督実施を検討中だ。 労働部労災予防補償政策局関係者は「現在すべての作業を中断させて勤労監督官が調査している。 産業安全保健法は元請業者にも安全管理義務を設けているので現代建設側に責任がないとは言えない。 調査結果により特別監督も実施できる」と話した。 イ・ジョングク、イ・ワン記者 jglee@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/586934.html 韓国語原文入力:2013/05/10 20:40
訳J.S(1660字)

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また現代製鉄…また下請け労働者…

唐津(タンジン)工場耐火レンガ交換中
労働者5人 窒息死亡 推定
昨年9月以後10人 死亡

 忠南(チュンナム)唐津(タンジン)の現代製鉄(株)唐津製鉄所で作業していた下請け業者の労働者5人が酸素欠乏と推定される事故で命を失った。 この製鉄所では昨年9月から労働者の死亡事故が相次いでおり、今回の事故までに労働者10人が亡くなった。

 10日午前1時40分頃、唐津市松嶽(ソンアク)邑の現代製鉄唐津製鉄所製鋼工場転炉3号機で耐火レンガの交換作業を終わらせて仕上げ整理をするために転炉内に入った協力業者韓国耐火(株)労働者ホン・ソクウォン(35)氏ら5人が相次いで意識を失い倒れて病院に移送されたが全員亡くなった。 韓国耐火は事故後5時間が過ぎた午前6時37分に雇用労働部天安(チョナン)支庁に文書で事故事実を通知した。

 イ氏らは直径8m、高さ12mの転炉で作業の最終段階のリフト除去作業をするため下へ1mほど降りて行き、高さ8m地点で倒れた。 彼らは去る2日から転炉内部の熱に耐える耐火レンガを転炉の下方から順に交換してきた。 この日午前7時に作業が終われば直ちにアルゴンガスの注入を経て試運転に入る予定だった。

 このため、現代製鉄が試運転を急ぐために作業者がいるにも関わらずアルゴンガスを先に転炉に満たし事故が起きたのではないかという指摘が出ている。 事故現場で前日夜7時まで12時間勤務して交代したというK氏は<ハンギョレ>記者と会って「50人が2組に分かれて一週間交代で24時間休みなしで作業してきた。 バルブからアルゴンガスがあらかじめ出ていなければ事故がおきる理由が全くない」と話した。 アルゴンガスは銑鉄を精錬し不純物を除去する機能をするが、無色無臭な気体であるため感知器なしには識別不可能だ。

 事故後、転炉で測定した酸素濃度もまた16%未満と分かり、作業をしてはならない状況だったことが確認された。 平常時の大気中酸素濃度は21%程度だが、作業現場の濃度が18%未満なら窒息の危険があり作業を禁止している。 遺族たちは‘事前に酸素濃度を測定するなどの安全措置を疎かにした人災’として対策委員会を設けた。 遺族たちは現代製鉄の謝罪と責任糾明がなされるまでは葬儀を行わない態勢だ。

 警察は国立科学捜査研究院などと事故原因を糾明するために合同鑑識に乗り出した。 チョン・ナムヒ唐津警察署捜査課長は「死亡原因は酸素欠乏による窒息死と推定されるが、11日に正確な死因を確認するため解剖検査する予定であり、作業日誌と契約関係、過失有無などを調査する」と話した。 雇用労働部はこの日午後1時頃、現代製鉄に作業中止命令を通知し勤労監督官を送り調査を始め、現代製鉄の特別勤労監督を検討中だと明らかにした。

 キム・ギョンシク現代製鉄広報理事は「事故原因を調査に積極的に協力しており、元請業者として責任があるならば当然負う」と話した。

唐津/チョン・ジンシク記者、ソン・インゴル、イ・ワン記者 seek16@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/area/586899.html 韓国語原文入力:2013/05/10 21:51
訳J.S(1367字)

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