経験3年目の巡査は左足から太ももまでギブスをしていた。 ひとまず骨折は免れたが筋肉と靭帯を負傷した状態だった。 "死ぬかもしれないと思いました。" 病床に横になった彼は目をしばたたかせながら話した。 "初めは痛いとも感じませんでした。ひとまず事件処理が優先だと思いました。"
ソウル梨泰院で暴れまわった後に逃げた米軍人の車両を追撃した龍山(ヨンサン)警察署梨泰院派出所所属イム・ソンムク(30)巡査が事件2日ぶりにソウル松坡区(ソンパグ)のある病院の病室で言論インタビューに応じた。 一夜の追撃が彼の脳裏にはまだ生々しかった。
当時、梨泰院付近でいうもどおり巡回パトロールをしていたイム巡査は‘ひき逃げだ’というタクシー運転手の声を聞いて‘無条件に捕まえなければ’と思った。 刹那の判断は多くのことを変えた。 タクシーに乗った彼は時速150km以上の速度で都心の道路を走り、車両で自身を威嚇してきた駐韓米軍人に実弾を発射した。 同時に駐韓米軍の乱暴狼藉の最大の被害者になった。
イム巡査は建大入口の裏路地でタクシーから降り、米軍人が乗った車両に向けて韓国語と英語を混ぜて‘止まれ’と叫んだ。 だが、相手方は言うことを聞かなかった。 「行き止まりで(米軍人)運転者が冷静な表情で自分に向かって車を運転し迫ってくるのをはっきりと見た」と語った。 その渦中にもイム巡査は運転者ではなく車両のタイヤに照準射撃した。
「銃器使用規則上、最小限に使うことになっています。 助手席のタイヤに向けて撃ったが… (運転席にいた米軍人が負傷したのは)そこから流れ弾が飛んだためのようです。 今後、鑑識を通じて明らかにしなければならない部分ですが…。」 合気道4段、テコンドー2段の武術の達人であるイム巡査は「いつも運動をたくさんしてきたためか、思ったよりケガしないで済んだようだ」として笑った。
ホ・ジェヒョン記者 catalunia@hani.co.kr