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【編集局から】"1469万2632" を忘れるな/イム・ソクキュ

登録:2012-12-24 23:45 修正:2012-12-25 08:49
政治部長 イム・ソクキュ

 大統領に当選すれば、決まって国民統合を掲げる。 李明博大統領もそうだった。 5年前の12月19日夜11時、ソウル清渓(チョンゲ)広場にやってきて「私個人の勝利というよりも全ての国民の勝利だ。 私を支持していた皆さんも、反対側に立っていた皆さんも、みなが一つになろう」と提案した。 これは儀礼的な言葉だったことがいくらも経たず露呈した。 532万票差、この圧倒的勝利は "コ・ソヨン人事" "カン・プジャ内閣" (訳注:コリョ(高麗)大・ソマン教会・ヨンナム(嶺南‥慶尚道)出身者偏重人事と、カンナム(江南‥ソウルの富裕層の居住地域)の富裕層のための内閣。ともに李大統領の最初の人事を揶揄した言葉)等、国政独走につながった。 その結果、就任4ヶ月足らずで市民のロウソクの前に頭を下げなければならなかった。 朴槿恵(パク・クネ)当選者の当選第一声もやはり国民大統合、大不偏だった。 彼女が掲げる "100%の大韓民国" が選挙で勝った側の常套的表現なのか、それ以上のものなのかはまだ分からない。

 今回文在寅(ムン・ジェイン)民主統合党候補は1469万2632票を得た。 朴槿恵(パク・クネ)当選人が得た1577万3128票には及ばないものの、歴代どの大統領よりも多い得票だ。 5年前の李大統領の1149万票より320万票、10年前の盧武鉉大統領の1201万票より268万票多い。 むやみに無視できる数字ではない。

 1469万票を文在寅候補個人の人物力量でかき集めた票だとは見難い。 民主党の優れた選挙キャンペーンのために出てきた票でもなかった。 安哲秀(アン・チョルス)がしばらく身を引いている時、文在寅と民主党が見せた無気力さがそれを立証する。 にもかかわらず1469万人もの人々が文在寅を選んだ。 これは「朴槿恵ではだめだ」と考えた人々の数字であろう。 朴当選者は歴代大統領の中で最も多くの積極的反対者と向き合ったまま国政を運営していかなければならないわけだ。 朴当選人がこのような意味をよく推し量らなければ、困難に直面する可能性がある。 逆説的に言えば、彼女に反対票を投じた "1469万人" が存在するという事実は祝福かもしれない。 執務室の壁に大きくこの数字を書いておくことを薦める。 からだに良い薬になるだろう。

 保守内部での彼女の地位は確固としている。 政権交替指数がいつにも増して高かった今回の選挙で、彼女が候補者に立たなかったとすれば保守は勝利できなかっただろう。 父親の後光もある。 彼女が他方に目を向けたとしても、保守が言いがかりを付ける懸念はない構造だ。 だから自分に票を入れた1577万3128人はしばらく忘れた方が良い。

 彼女が "反対者1469万人" に送れる最も確実で迅速なメッセージは人事だ。 大統領が自分の側の人間を使うことをむやみに批判すべきではない。 常識に適い道理に合っているならば、文句を付ける人はいない。 このような点で彼女には良い反面教師の李明博大統領がいる。 "コ・ソヨン" 、 "カン・プジャ" より大きな害悪を及ぼした人事が、チェ・シジュン放送通信委員長とヒョン・ビョンチョル国家人権委員長の任命だった。 李大統領は就任直後、同郷の浦項(ポハン)出身である上に、兄の友人であり核心インナーサークルである6人会メンバーのチェ・シジュン氏を放送通信委員長に任命した。 マスコミ人大量解職と公営放送の果てしない墜落を産んだ放送掌握の試みの最初のボタンの掛け違えだった。 ヒョン・ビョンチョル国家人権委員長に対しては野党はもちろん与党ですら反対の声が強かったのに、李大統領は再任命を強行した。

 マスコミ・人権は理念と関係のない普遍的価値であり民主主義の基本を裏付ける領域だ。 最小限このような分野の首長だけでも、野党圏がうなずける人物を任命するのが良い。 あるいは野党圏を支持していた人物の中から選ぶことも一つの方法だ。 パク当選人が叫んでいる "100%の大韓民国" の真正性を立証する近道であろう。 "TK偏重" (訳注:Tはテグ(大邱)、Kはキョンブク(慶北)出身を指す)が深刻だった国家情報院長、検察総長、国税庁長、警察庁長官、監査院長などいわゆる "五大権力機関長" にまで "100%の大韓民国" の精神を拡大適用するよう願うのは無理であろうか?

政治部長 イム・ソクキュ sky@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/566637.html 韓国語原文入力:2012/12/23 19:17
訳A.K(1978字)