原文入力:2012.08.24 10:55(2317字)
←<文化放送>(MBC)のカメラ・取材記者たちが23日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)のMBC社屋前で会社側が映像取材部を廃止してカメラ記者たちを取材部署別に配置したことに対し「スト参加者に対する報復人事」と主張して剃髪示威を行なっている。 シン・ソヨン記者 viator@hani.co.kr
MBCスト参加者に時ならぬ“文学教育”
労使合意を覆す報道機関
MBC・KBS・連合ニュース・国民日報など
解雇・停職 日常茶飯事 業務から排除も
パク・クネを浮上させ不正を働いた社主擁護など
“公正性強化”には顔を背け不公正報道
「政権維持判断、労組無力化に乗り出す」
<文化放送>(MBC)のK記者はこの20日から放送局ではなくソウル蚕室洞(チャムシルドン)の文化放送アカデミーに出勤している。 会社側が去る17日ストライキ参加者20人に「3ヶ月の教育命令」を下したためだ。 初日は大学教授の文学の授業を、2日目には作曲家ドン・スパイクの大衆文化講義を聴いた。 受講者の中にはアカデミー院長より入社が先輩である経歴30年目から5~6年目までいろいろいる。 K記者は「大統領選挙を目前にした時点で現場で懸命に取材しなければならないのに、業務と関係のない講義を聴いているので自己恥辱感を感じる」と吐露した。
<文化放送>(MBC)・<韓国放送>(KBS)・<連合ニュース>・<国民日報>等、長期ストを終わらせた報道機関で報復性人事が相次ぎ、記者とディレクターらが取材と製作現場から追い出されている。 一部報道機関で「懲戒最少化」という労使合意までが面目を失うほどに若い労組員を報道現場から排除するのは、見せしめ的処罰効果を狙ったものであると同時に“公正報道”要求を無力化させようとする策略だという批判も出てきている。
労使対立が最も尖鋭なMBCではストに参加した記者・ディレクターの多数が本業に戻れない状態だ。 170日間のストライキの後、50人がそれまでの業務と関係のない未来戦略室・新社屋建設局・<龍仁(ヨンイン)ドラミア開発団>等に異動させられた。 新社屋建設局に発令されたある労組員は「建設については知らないことばかりなので、大半の時間をネットサーフィンに費やしている」と話した。
KBSも去る10日キム・ヒョンソク新労組委員長に停職6ヶ月の懲戒を下した他、6人に停職、6人に減給処分を下した。 連合ニュースもやはり去る14日コン・ビョンソル労組委員長に停職12ヶ月の処分を下すなど、7人に重懲戒処分を下し、6人にけん責などの措置をとった。 国民日報は去る20日「会社の名誉失墜と害社行為」を理由に労組員1人を解雇し、3人は勧告辞職、5人は停職、4人は減給に処した。
相次ぐ懲戒でスト参加者が会社側と合意した“公正報道”ももはや望めない話という状況だ。 連合ニュースは先月10日、パク・クネ セヌリ党大統領候補の競選出征式に合わせて「パク・クネとは誰か」から始まって「ドレス コード」まで何と20件余りのパク候補関連記事を送りだした。 労組は「顔が赤くなるような『パク飛御天歌』だ」(訳注:李朝時代に王を賛美して作られた『龍飛御天歌』をもじったもので、政治家を賛美し媚びへつらう内容のものに対する嘲弄としてよく使われる)と反発した。 KBSは最近、2008年にサムスン秘密資金問題の特別検事を務めたチョ・ジュンウン弁護士の息子のサムスン電子特典入社疑惑問題を他の報道機関に先立って取材しておきながら報道せず、論難が起きている。 韓国放送記者協会は声明を出し「権力と資本を監視しなければならない言論が、本分を忘却したようなことばかりやっている」と批判した。 ナム・チョルウKBS新労組広報局長は「報道機関である会社側が合意文のインクも乾かないうちに大量懲戒処分をかけるなど報復に明け暮れ、公正性強化装置を設けるなどの合意をしたにもかかわらず、不公正報道を行なってはばからない」と指摘した。
報道機関が批判的性向の記者やディレクターを取材・報道現場から排除することは、大統領選挙を控えて与党に有利な環境を作ることという見解も出ている。 MBC労組と民主統合党側では、当初セヌリ党側が放送文化振興会の新しい理事陣を通じてキム・ジェチョルMBC社長を更迭することに暗黙的に同意したという立場である。しかし、セヌリ党は現状維持を通じてパク・クネ候補に友好的な放送環境を継続する態度に旋回したのではないかという観測が出ている。 シン・テソプ民主言論市民連合常任代表(東義(トンウィ)大教授)はこのような状況について「天下り社長が公正報道を叫んだ後輩を力で制圧しようとしている」として「結局、与党候補に有利な言論環境を維持しようとする意図とかみ合っている」と指摘した。
これに対してイ・ジンスクMBC企画広報本部長は「教育命令は懲戒ではなく、職員に対する投資概念の研修」として“報復性懲戒”という見解を否認した。 KBS関係者は「95日という歴代最長のストライキで放送に支障をきたした責任を問うためには懲戒は避けられなかった」とし「しかし遅まきながらもストを解除した点などを勘案し、再審を通じて懲戒水位を下げた」と説明した。 ユ・ソンヒ記者 duck@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/media/548441.html 訳A.K