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[社説]民主化運動の巨星キム・グンテ逝く

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/512662.html

原文入力:2011/12/30 20:23(1063字)

  キム・グンテ民主統合党の常任顧問が昨日息をひきとった。彼は私たちの現代史の暗黒期に人生をかけて軍部独裁と真っ向から戦い、民主主義を実現した闘士であった。彼は社会の弱者たちと手を取り合う情熱を片ときも失ったことはなかった。彼はまさに私たちの社会の民主化と希望の礎だった。

1967年の大学生時代にデモを主導して民主化闘争を始め、続けて労働運動に参加。全斗煥政権の暴圧統治が絶頂に達した1983年に民主化運動青年連合を結成して議長を務めた。どの時期も反独裁闘争の先頭にはいつも彼がいた。1950年代に英国のあるマスコミ関係者が "韓国で民主主義が実現するというのはごみ箱に咲くバラの花だ" といった話に強い侮蔑感を感じたと訴えた。暴力の抑圧に服従してしまったら、私たちの社会が敗北者になることだと常に警戒した。


  全斗煥政権は彼を逮捕してひどい拷問を加えた。64才という比較的早く亡くなったのも独裁政権の拷問によるところが大きい。それでも彼は人間性を根本的に破壊しようとする拷問に屈しなかった。堂々と拷問を暴露し、後日ケネディ人権賞を受けて世界の良心ある政治犯にも選ばれた。民主主義と人権回復のために身を投じて抵抗するのが、いかに難しく大切かが評価された結果だった。


  政治家としてのキム・グンテは大衆から大きな人気は得られなかった。権謀政治や世論をひきつけテクニックにたけている方ではなかったためだ。さらに正直すぎるのがあだだと言われるほどであった。代わりに彼は政治改革のために果敢に行動した。政界で彼は真の政治を実践する数少ない存在であった。


生前の彼は年の離れた後輩から‘グンテ兄貴’などと呼ばれるのを好んだ。彼は丁重に真剣に後輩の話に耳を傾け、後輩にも敬語を使った。彼は‘人間に対する礼儀をわきまわよう’といつも謙虚だった。彼は日常生活でも民主主義を身をもって実践したのだ。


  現政権になって民主主義の退行が深刻だ。民主化運動の成果としてできた制度と価値観を押しつぶそうとする風潮が軽視できない。あまりに早く私たちのもとから旅立ったキム・グンテが、だからこそいっそう惜しまれる。これまで担ってきた思い民主化運動の荷を下ろして、ぜひ安らかにお眠りください。

原文:   訳:T.W