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災害級の状況を迎えたKドラマ…韓流、楽観する時ではない【寄稿】

登録:2025-12-18 06:48 修正:2025-12-18 08:06
イ・ウンギュ|元MBCドラマ局長・ドラマ創作者連帯会長
グラフィック=ソン・グォンジェ記者//ハンギョレ新聞社

  この数年間「イカゲーム」や「おつかれさま」など、いくつもの韓国ドラマがネットフリックスのプラットフォームで公開され、大きな話題になった。これまで蓄積された韓国の制作陣の能力にネットフリックスの莫大な制作費が加わった結果で、マスコミと視聴者の心地よい韓流ブームの期待を膨らませるのに十分だった。

 しかし、残念ながら、このような歓声と喝采の裏には大きく深い陰がある。ネットフリックスの主導で(ドラマ制作の)環境が完全に変わったのだ。韓国のTVチャンネルのドラマ編成・制作環境が最悪の状況へと突き進むようになった過程は、あまりにも電光石火のようで、自分の目を疑うほどだ。ネットフリックスは、国内最高の脚本家やプロデューサー、トップスターを莫大なギャラで独占し、大作を次々と公開し、市場シェアを高めた。その結果、韓国の視聴者の半分ほどをサブスクライバーとして吸収することに成功した。すると、直ちに国内のテレビチャンネルの視聴率が急落した。そして広告収益の悪化が続いた。ネットフリックスの幅広い制作費投与の影響で2倍以上に膨れ上がった制作費まで重なり、ドラマを編成するほど赤字が増えるようになり、放送局がドラマを縮小もしくは放棄する動きが表れている。

 結局、2022年に141本だった韓国のドラマ制作は今年84本(予想)に減った。来年にはその数字が、ネットフリックスやディズニープラスなど米国のOTT企業の注文制作総量に、連続テレビ劇と公共放送の体面を保つための大河ドラマを合わせて、50本前後まで落ちる予定だ。内需向けドラマの制作基盤そのものが崩れているのだ。制作会社のうち半分近くが廃業したり、開店休業状態で経費の負担に苦しんでおり、このような状況が改善される兆しはどこにも見られない。

 このまま行くと、ドラマ韓流の持続性にまで影響を与えるのではないだろうか。ネットフリックスで公開される一握りのドラマさえうまくいけば、ドラマ韓流は健在といえるのだろうか。本当に大きな問題は、このような状況がさらに進んだ数年後に迫ってくる、ドラマからのクリエイターたちの大規模な離脱と新しい人材流入の断絶状況だ。その兆しはすでにあちこちで表れている。ベテランから新人まで多くの作家が、廃業する制作会社からの契約金返還訴訟に乗り出しており、演出家は転職を考えたり、中国のショートフォームを真似する新生企業のアルバイトの演出でかろうじて生計を立てている状況だ。一部の放送局は、社員やプロデューサーなどの人員を半分以下に減らし、新しいプロデューサーは採用していない。ついには、数十年間にわたって志望生が争って集まっていた放送作家教育院のドラマ班にも欠員が出始めた。

 最も深刻な問題は、このような状況に積極的に対処するガバナンスが崩れたことだ。放送局はドラマの赤字問題が深刻なため、制作会社も作家やプロデューサーも危機克服のための対策を論じる相手は政府しか残っていないのだが、政府が文化体育観光部傘下に作った文化、芸術、コンテンツ関連委員会の構成を見る限り、対策を議論するほどの独自的機構とはいえない。災害が始まったのに非常ベルも鳴らず、片隅から窓の外に飛び降りる悲劇的な姿がちらほら見えている今の状況は惨憺たるものだ。一握りのネットフリックスのドラマだけを眺めながら、簡単に楽観に陥っている場合ではない。一日も早く政府が乗り出して実効性のある非常対策機構を作り、今の急変状況に長期的な見方で対応を始めなければならない。ドラマ韓流、非常ベルが鳴っている!

//ハンギョレ新聞社
イ・ウンギュ|元MBCドラマ局長・ドラマ創作者連帯会長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1235175.html韓国語原文入力:2025-12-17 19:27
訳H.J

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