医学部定員2千人増員政策に反発する全国の研修病院の専攻医(インターン・レジデント)が起こした診療拒否から1週間が過ぎたが、事態解決の糸口が見えない。専攻医8939人(全体の72.7%、26日夕方7時現在)が病院を去ったうえ、専任医まで契約を更新しない方針であるため、医療空白への懸念がさらに高まっている。29日までに復帰すれば責任を問わないという政府の最後通告にも、専攻医たちはびくともしない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は「交渉や妥協の対象ではない」と釘を刺した。
6日、政府が医学部定員の拡大計画を発表して以来、医学界と政府が強対強の対立局面を続けているにもかかわらず、政府と全体の意思を代弁する大韓医師協会(医協)は一度も対話テーブルに座れなかった。放送局主催の公開討論だけが2回開かれたが、双方の立場を再確認することに止まった。医学部の教授らが積極的な仲裁者の役割を果たすと自ら申し出たが、これといった進展は見られなかった。専攻医と政府、両方に接触し、慌ただしい姿を見せていたソウル大学医学部教授協議会の非常対策委員長は、当初掲げた仲裁もできず、辞任した。患者よりは教え子の安危を心配する一部の医学部教授らは、むしろ専攻医の集団行動に加勢しようとする無責任な態度まで示した。
こうした中、政府は26日、「全体の意見を集約できる代表性のある構成員を提案してほしい」と医療界に提案した。開業医を中心に運営される医協が、集団行動を行っている専攻医を代弁するのは難しいという判断からだった。2020年には医協が医学部増員反対の集団行動計画を明らかにし、専攻医も合流する方式だったが、今回は専攻医たちが医協とは別に動いている。政府と医協が合意を成しても、専攻医たちが拒否すれば何の役にも立たない。事態を触発させた専攻医たちが政策白紙化だけを求めるのではなく、政府との対話に積極的に乗り出さなければならないのはそのためだ。
政府も彼らがテーブルに座れるように、より具体的な解決策を示さなければならない。 医療事故処理特例法など「アメ」を提示しているが、復帰を誘導するには十分とは言えない。少なくとも「研修病院専門医の採用拡大」要求を受け入れ、対話の場を開かなければならない。研修過程にある専攻医なしには大型病院の業務が回らない奇形的な現実を、全国民がはっきりと目にしている。韓国の上級総合病院の専攻医の割合は30~40%だが、米国や日本などは10%水準だ。また、医学部定員を2千人増やしたからといって、果たして必須医療分野にまんべんなく配分されるだろうかという疑念についても、政府が説得力のある答えを示さなければならない。