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[寄稿]関東大震災朝鮮人虐殺100年を迎えても特別法制定しない韓国国会は反省せよ

登録:2024-01-17 05:15 修正:2024-01-17 08:05
パク・ドクジン|「市民の会・独立」代表
日本を訪問したキム・ジンピョ国会議長が昨年12月27日午前、岸田文雄首相と面会し、100年を迎えた関東大震災での朝鮮人虐殺に対する真相究明を要求した=国会議長室提供//ハンギョレ新聞社

 昨年12月27日に日本を訪問したキム・ジンピョ国会議長は、日本の岸田文雄首相と面会し、100年を迎えた関東大震災での朝鮮人虐殺に対する真相究明と、朝鮮人の遺骨返還に対する日本政府の前向きな検討と積極的な協力を要請した。韓国の国会のトップが日本の首相と面会して朝鮮人虐殺問題を提起したことは、当然注目されなければならない。1923年9月に大韓民国臨時政府の趙素昻(チョ・ソアン)外務総長が朝鮮人虐殺に対する抗議の公文書を送って以来、100年ぶりに起きたことであるためだ。

 しかし、残念ながら、キム議長の動きは順番が逆だった。朝鮮人虐殺100年を迎え、昨年3月に与野党の議員100人が発議した「関東虐殺真相究明特別法案」は、与野党の誠意のなさによって、今なお国会の行政安全委員会で係留中だ。このままいくと特別法案は、第19代国会の時のように第21代国会でも会期満了によって自動廃案の運命を迎えることになりうる。キム議長は、まず国会での特別法制定を確実にして、真相究明に対する日本政府の協力を要求すべきだった。

 1948年に国連総会はジェノサイド条約を採択した。「人種抹殺」を意味するジェノサイドを、人類が断固として対応しなければならない犯罪行為と規定した。関東大震災での朝鮮人虐殺は明らかにジェノサイド犯罪だ。このジェノサイドの完結的形態が「記憶のジェノサイド」である歴史否定論だ。自分たちの犯罪行為を歴史から消そうとするものだ。日本政府は1923年から事件を隠蔽している。今でも関連資料の存在を否定している。100年前に始めた記憶のジェノサイドは現在進行形だ。

 しかし、12月14日に毎日新聞が報道した朝鮮人虐殺の陸軍省報告文書を含め、2009年の中央防災会議報告書、関東戒厳軍司令部の詳報、殺害朝鮮人813人を明記した斎藤実朝鮮総督の極秘文書など、相次いで発見された日本政府の文書が伝えるのは、実在の歴史としての関東大震災での朝鮮人虐殺だ。東京都、群馬県、神奈川県、埼玉県、千葉県にある関連の証言と記録は山ほどある。昨年、朝日や毎日、共同通信などのメディアが朝鮮人虐殺に関する記事を相次いで報じ、日本の政治家と市民らが各種の追悼集会に列をなして参加したのはそのためだ。

 関東虐殺真相究明と糾弾運動は、抗日闘争期の在日朝鮮人にとって最も重要な民族運動だった。虐殺の翌年の1924年、大阪の中之島公会堂での朝鮮人虐殺糾弾大会には、30人の報告者が登壇し、出席した聴衆は7000人に達した。以降、毎年9月1日はこの到底許すことのできない事件を記憶する日だった。この記憶の運動は、日帝が敗亡した後も在日朝鮮人と日本の市民団体によって続けられた。真相を明らかにしようとする在日コリアンの研究成果が蓄積された。日本の市民団体である日朝協会は、東京の横網町公園で50年にわたり追悼式を開催している。さらに、別の市民団体である「ほうせんか」は、100人ほどの朝鮮人が犠牲になった荒川の川沿いに事務所を置き、40年にわたり実情調査と追悼活動を行っている。日本政府と右翼が行う記憶のジェノサイドに対抗し、100年間続いている熾烈で粘り強い記憶の運動だ。

 改めて韓国の第21代国会に目を向けよう。100人の与野党の議員が発議した関東虐殺特別法を、10カ月にわたり行政安全委員会に係留させるような怠慢な国会だ。国会はいったいいつまで、この記憶の運動を無視するのだろうか。100年間にわたりさまよい続けている朝鮮人の霊魂の弔いに、今からでも着手しなければならないのではないか。天皇制の鎖に縛られ前近代に留まっている日本を、普遍的価値を共有する市民社会国家へとけん引すべきではないだろうか。韓国国会に厳重に警告する。昨今の職務遺棄の態度は、日本政府が行う記憶のジェノサイドの犯罪行為に同調することと違いはない。怠慢な国会を待つのは、峻厳な歴史の審判だ。東京の横網町公園で50年にわたり追悼式を受け継いできた日朝協会東京都連合会の宮川泰彦長会長はこう語った。「関東大震災で犠牲となった朝鮮人の100周忌、すでに戦いは始まっている」。審判はこのように準備されている。国会の反省を求める。

//ハンギョレ新聞社

パク・ドクジン|「市民の会・独立」代表 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1124580.html韓国語原文入力:2024-01-16 09:10
訳M.S

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