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[寄稿]平和・人権・発展を調和させた対北朝鮮政策を樹立すべき

登録:2023-11-28 08:50 修正:2023-11-28 09:02
ポーランド、ベトナム、コロンビアの事例研究 
「人権の平和・発展効果」の研究結果 
北朝鮮人権法、発展的改正が必要 
 
ソ・ボヒョク|統一研究院 研究委員

 南北関係が硬直している状況で、むしろ対北朝鮮統一政策をどのように展開していかなければならないのか、根本的な省察と中長期的な対応策が必要な時期にきている。このような趣旨を生かすために、統一研究院(院長:キム・チョンシク)は「人権の平和・発展効果」をテーマとする国際比較研究の結果を報告した。研究事例は、社会主義体制から資本主義体制へと転換したポーランドとベトナム、そして長期紛争後の平和を樹立していこうとするコロンビアの3つだ。研究チームは筆者を含めて5人の専門家からなる。この研究は「積極的平和体制樹立のための複合戦略」と題して行われている5カ年研究の4年目の結果であり、人権・平和・発展の循環関係が議論の枠組みである。統一問題を含めた朝鮮半島の未来を、普遍的価値の調和から探ろうという問題意識であり、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「価値観外交」とも相応する。

 ポーランドとベトナムは、冷戦体制の没落と共産体制からの転換という二つのマクロ的変化の中で、それぞれ異なる道を歩んだ。ポーランドは市場経済と自由民主主義へ急激に、しかし平和的に移行した。大きな浮き沈みのない政権交代と欧州連合(EU)の支援が大きな力になった。共産体制のもとで教会と工場で市民運動が起きたことは、ポーランドの事例の特徴だ。国際人権条約の批准と国家追悼院を通じての司法的過去清算作業は、ポーランドの人権改善をもたらした。その延長線上でポーランド社会の透明性と統合性が高まり、社会的平和と経済発展も同時に現れた。好循環の例だ。

 比べてベトナムは、社会主義体制内の改革という漸進的な体制転換を見せている。ベトナムの人権政策は、「ドイモイ」と呼ばれた改革政策や憲法改正といった対内的な契機、そして米国との関係正常化や世界貿易機関(WTO)加盟といった対外的な契機が結合して現れた。ベトナムの人権政策は、国際人権規範を受け入れることで対立が生じたりもした。発展に関心が高く、社会主義の人権観を持つベトナムは、社会経済的権利には積極的なのに比べ、市民政治的権利には消極的だった。しかし2000年代以降は市民政治的権利の改善も現れている点は勇気づけられる。ベトナムでの過去の清算が国家統合と和解政策を中心に進められてきたという点も評価できる。

 コロンビアは慢性的な長期紛争国家で、2023年現在も内戦終結のための最終交渉を進めている。コロンビアの和平プロセスは、数多くの政治的な契機を通じて進められてきた。和平合意が結ばれたが破棄されてもいる。人権・平和・発展の悪循環から完全に抜け出せずにいる。2016年に結ばれた広範囲な和平合意に人権条項が多いということは印象的だが、殺人と暴力、そして不平等がまん延している。それでも、和平合意の履行に積極的なペトロ政権が発足し、和平合意締結を拒否していた過激派勢力が態度を変え、人権の平和・発展効果が期待できるようになった。コロンビアの事例は、長期紛争のケースでは平和定着が優先であり、紛争直後から人権改善を追求することが可能だということを示している。

 では、このような事例は朝鮮半島にとってどのような意味持つのだろうか。本研究で扱った事例の中からどれかを取捨選択するよりも、朝鮮半島の現実と未来志向的な価値に適した事例を峻別し、その示唆点を導き出すアプローチの方が望ましい。この研究を通じて得た示唆点としては、一つ目に、朝鮮半島の未来を統合的かつ長期的な観点から設計しつつ、段階的にアプローチする総合計画を樹立すること。二つ目に、人権に基づいた統一朝鮮半島というビジョンのもと、多様な対北朝鮮政策を調和させ、国内外の支持を拡大すること。三つ目に、批判と支援・協力などバランス良く柔軟なアプローチを通じて政策の効果を極大化させることが挙げられる。

 具体的には、北朝鮮人権法を改正し、全面的な実行を検討することを国会と政府に提案したい。現行の北朝鮮人権法は、超党派的な協力で制定したという意義があるが、人権・平和・発展の好循環を図るには脆弱であり、また部分的な施行に留まっている。したがって、北朝鮮人権法の基本趣旨と原則が「北朝鮮の人権改善と朝鮮半島の平和定着、そして南北関係の発展を相互に調和させて推進し、その結果が北朝鮮住民の尊厳ある暮らしに寄与するよう努める」ことにあるという点を明確にすべきだ。

//ハンギョレ新聞社

ソ・ボヒョク|統一研究院 研究委員

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1117954.html韓国語原文入力:2023-11-27 10:00
訳C.M