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[寄稿]私たち高校3年生は福島第一原発の汚染水放出に反対します=韓国

登録:2023-06-08 05:47 修正:2023-06-08 06:40
キム・ドンハ(原州大成高校3年)
「私たち韓国原州の大成高等学校3年8組の生徒は福島第一原発の汚染水放出に反対します。市民の声を忘れないでください!」 大成高校3年8組の25人の生徒が署名した「福島第一原発汚染水放出反対署名書」=キム・ドンハ提供//ハンギョレ新聞社

 トリチウム(三重水素)の混ざった福島第一原発の汚染水放出計画の発表で、世界中が騒々しい。韓国の福島視察団が福島第一原発の汚染水を視察して帰ってきた。福島視察団の訪問は国内世論を沸かせた。

 4月23日、グリーンピースが主管した記者会見で米サウスカロライナ大学のティモシー・ムソー教授(生物学)は、トリチウムの生物学的影響を扱った論文を全数分析した結果を発表した。全数調査を終えたムソー教授は「トリチウムは低エネルギーだから外部からは皮膚も透過できないが、人体の中に入ると高エネルギーのガンマ線の2倍以上危険なことが分かった」と語った。

 トリチウムの内部被ばくリスクが他の放射性物質より高い理由については「透過力の強いガンマ線は瞬間的に遺伝子情報(DNA)や細胞に影響を及ぼしつつすぐに体外に抜けていくが、透過力が相対的に弱いトリチウムのベータ線は細胞組織や臓器の内部から抜け出せず、集中的な内部被ばくを引き起こすため」だと説明した。

 ムソー教授は、トリチウムの危険性はセシウムのガンマ線の2~3倍で、トリチウムで被ばくした実験用マウスには精子や卵子の損傷と遺伝因子の変異がみられたと明らかにした。また、トリチウムによる被ばくの影響は食物連鎖を伝って拡大するとともに、複数の世代を経て蓄積すれば種の遺伝子の変異をもたらしうると警告した。

 現在高校生である私たちは、これからも長い時間をこの世で生きていかなければならない。大人たちの選択と判断によって、私たちが今後生きていかなければならない世の中を危険にさらすわけにはいかない。日本による福島第一原発の汚染水の放出は、単なる日本政府だけの問題ではない。世界中の人々の安全な暮らしに影響を与えるものだ。

 したがって、日本政府の独断的な行動はあってはならない。カントは「他者を手段としてのみならず、目的としてとらえよ」という道徳法則を強調し、それが実現した社会を「目的の国」と呼んだ。目的の国が実現する社会を「世界共和国」と称した。世界共和国の実現は人類が到達すべき理念だ。それが世界の平和を基本として考えているからだ。自国の利益のために他国を手段とする日本に強く訴えたい。

 汚染水の放出による周辺諸国の被害と安全を考慮した慎重な判断が必要だ。現在、韓国と日本の外交のせいで福島第一原発の汚染水の放出問題は国内世論も注目度が高い。韓国政府には日本政府の行動を批判的にとらえ、徹底した対応をとるよう願う。

//ハンギョレ新聞社

キム・ドンハ(原州大成高校3年) (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1094993.html韓国語原文入力:2023-06-07 18:19
訳D.K

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