本文に移動

[社説]韓国政局の「ブラックホール」となりうる野党第一党代表への拘束令状請求

登録:2023-02-17 03:27 修正:2023-02-17 09:06
共に民主党のイ・ジェミョン代表が16日午後、国会で行われた最高委員会議に出席している=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 検察が16日、大庄洞(テジャンドン)開発特恵疑惑と城南(ソンナム)FC後援金疑惑に関連して共に民主党のイ・ジェミョン代表の拘束令状を請求した。野党第一党の代表に対する拘束令状の請求は憲政史上初めて。国民の暮らしをはじめ、国会に山積している懸案を飲み込む「ブラックホール」になるのではないかと懸念される。

 検察が拘束令状に記した容疑は、イ代表が大庄洞の開発事業者に不当な利益を得させ、城南市には4895億ウォン(約509億円)あまりの損害を負わせた背任容疑、管内の4つの企業から城南FCの後援金・広告費の名目で133億ウォン(約13億8000万円)あまりを受け取ったという第三者収賄容疑などだ。一方、このところ捜査の焦点になっていた天火同人1号(資産管理会社の子会社)の持ち株の一部(428億ウォン、約44億5000万円)をイ代表側が受け取ることに合意したとの疑惑は、令状には記されなかった。イ代表が背任行為を行ったとすれば動機がなければならないはずだが、そのような面から注目された持ち株約定疑惑が捜査継続中との理由で除外されたことは疑問だ。捜査が不十分な状態で「小出しに令状請求」していると指摘されうる。

 不拘束捜査・裁判の原則に照らして拘束しなければならない理由があるのかも波紋の種だ。検察は「イ代表および側近が人的・物的証拠を隠滅したり、今後隠滅する恐れがある」との立場だ。イ代表側は、長きにわたり家宅捜索や関連者の取り調べなどが十分に行われたのだから、隠滅する証拠はないと反論する。また検察は、拘束収監されたチョン・ジンサン元党代表室政務調整室長と民主研究院のキム・ヨン元副院長に民主党のチョン・ソンホ議員が接見し、「このまま行けばイ代表が大統領になる」などと発言したことが証拠隠滅を示す情況だと主張している。拘束令状請求の直前にこのような接見内容が報道されたのは検察の世論操作だという批判は避けがたい。

 何よりも拘束令状の対象者が野党の代表であるという点で、検察の捜査が政治的弾圧の手段として利用される可能性も排除できない。これは憲法が国会議員の不逮捕特権を保障している背景でもある。だからこそ、令状請求の適切さと背景について疑問や陰口が生じないように、いっそう慎重を期すべきだ。政界はすでに激しい攻防に突入している。イ代表は「政敵除去という欲望によって法治主義が崩壊した日」と述べ、国民の力は「当然の結果」として逮捕同意案の可決を主張した。憲法と法律が定めた手続きを踏んでいくにしても、他の懸案がこう着状態に陥ることのないよう、与野党にはいずれも節制の力を発揮してもらいたい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1080030.html韓国語原文入力:2023-02-16 18:18
訳D.K

関連記事