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[コラム]尹錫悦流の韓製英語

登録:2023-02-01 06:35 修正:2023-02-01 08:08
//ハンギョレ新聞社

 1993年、ビル・クリントン米大統領が訪韓し、金泳三(キム・ヨンサム)大統領に会った。当時、大統領府の写真家だったホン・ソンギュ氏が昨年7月、あるテレビ番組に出演し、このようなエピソードを紹介した。「金泳三大統領は英語が苦手なようだった。でも訪韓したクリントン大統領に挨拶をしないわけにはいかない。秘書に「How are you?」(ハウアーユー)と言えばよいと言われていたのに、(金大統領は)『Who are you?』(フーアーユー)と言ってしまった。機転を利かせたクリントン大統領が『私はヒラリーの夫だ』と答えたおかげで、笑い声と共に一段落した」

 この話にはもっともらしい裏話もある。金元大統領が「人に会ったときにうれしさを表現するのに『イギヌコ(誰かと思ったらあなただったのか!という意味の方言)』と言うのではないか。だから『フーアーユー』は間違っていない」と冗談を言ったという。

 歪曲されたコミュニケーションが事件に飛び火しない限り、言語使用の誤りにも寛容は必要だ。『漢字の誕生(原題)』を書いた台湾の作家の唐諾は、儒学者たちがあれほど大切にする徳という字は元々は「大きな目一つが十字路の真ん中で四方を見回している姿」だとし、「文字はずっと間違った理解と誤読、誤記を繰り返しながら曲がりくねった形で発展してきた」と指摘した。もしかしたら後日「自画自賛」の代わりに「自我自賛」が、「日進月歩」の代わりに「日新月歩」が正しい言葉で使われることになるかもしれない。

 「韓国式に間違って発音したり、文法的に間違った英語を俗にいう言葉」としてコングリッシュ(韓製英語:標準国語大辞典)というものがある。最近、話題になっているのが「チェンジ・シンキング」(change thinking)だ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が1月25日の国務会議で「早急にミクロ的なものを作ったり変えるよりは『チェンジ・シンキング』、考え方を変えることがスタート地点にならなければならない」と述べた。30日の金融委員会の業務報告の席でも「今年からは『チェンジ・シンキング』、すなわち金融市場の先進化のために直接金融市場を発展させる必要がある」と語った。

 文法的に正しいかどうかは問題になるかもしれないが、どういう意味かは理解できる。問題は理解しにくい英語表現を何度も使っていることだ。「ガバメント・エンゲージメント(政府の介入)がレギュレーション(規制)だ」とか、「2023年はアグレッシブに行こう」という発言がそのような事例だ。「国立追慕公園と言うとあまり格好良くないが、『ナショナル・メモリアル・パーク』と言うと格好がつく」という発言を振り返ってみると、それとなく劣等感を表わしているようで違和感を覚える。

チョン・ナムグ論説委員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1077689.html韓国語原文入力::2023-02-01 02:37
訳H.J

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