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[コラム]台湾に米軍が再び登場したわけは

登録:2021-10-12 08:24 修正:2021-10-12 08:48
//ハンギョレ新聞社

 1950年代初め、台湾海峡は「戦争中」だった。武力統一を目指した毛沢東の戦略の下、1954年9月から中国軍は福建省と台湾本島の間の金門島に大規模砲撃を続けた。その対応として、同年12月2日、米国と台湾は米華相互防衛条約を結び、台湾には米軍が駐留することになった。米軍基地が建設され、核ミサイルも配備された。ベトナム戦争の期間中は約3万人の米軍が台湾に駐留したとされる。中国が大躍進政策の失敗で危機に陥った1962年、蒋介石台湾総統は武力で「本土回復」に乗り出す準備を進めた。中国との衝突を望まなかった米国は、蒋総統の計画を断念させた。1979年、米中国交正常化により、米国と台湾が断交したことで、米軍は台湾から撤退した。台北の旧米軍司令部の建物は、今は美術館として使われている。

 今月7日、ウォールストリート・ジャーナル紙は米政府当局者の話として、米軍特殊戦司令部と海兵隊兵力約20人が台湾で台湾軍訓練業務を遂行してから1年が過ぎたと報道した。ところで、1979年の米軍撤退後、米軍が台湾で活動したのは今回が初めてだろうか。事実上、米国大使館の役割を果たす米国在台湾協会の警備業務のために派遣された軍関係者たちがいる。また、米国が台湾に販売してきた兵器の運用と維持には、相当な米軍側のスタッフが必要だ。毎年3500~4000人の米国防総省の高官たちが台湾を訪れてきたという「エコノミスト」の報道もある。昨年11月、台湾海軍は米海兵隊特殊部隊が台湾南部基地で中国の侵攻に備えて特殊部隊を訓練したと発表した。台湾の「聯合報」は、退役した海軍中将の発言を根拠に、台湾に300~450人ほどの米軍がいると報じた。

 したがって、今回の報道に目新しいものがあるとすれば、それは「米軍が台湾軍を訓練した」ことではなく、米政府がこれを自国メディアに公開した点だ。なぜこの時期に、このような報道が出たのか。中国軍は1日から4日連続で延べ149機の戦闘機と爆撃機を動員し、台湾の防空識別圏(ADIZ)を侵犯するなど、武力示威を続けている。邱国正台湾国防部長は6日、「中国は2025年までに台湾への全面的侵略を敢行する準備を完璧に整えるだろう」として、懸念を示した。中国は台湾軍の士気をくじき、台湾社会に「中国に対抗しても無駄だ」という世論を広める圧迫作戦を広げている。

 米国はこの時期に「台湾の米軍」カードを取り出し、中国に対してこれ以上緊張を高める行為をするなというシグナルを送り、中国の反応を探ろうとしたものとみられる。中国外交部は「米国の台湾との断交、条約廃棄、撤退の3原則は中米関係の前提」だとし、「米国は台湾に対する武器販売と台湾との軍事的連携を中止するべきだ」と反発した。

 10月10日、辛亥革命110周年を迎え、習近平中国国家主席は「祖国統一を必ず成し遂げる」と強調し、蔡英文台湾総統は「主権の確保と国土守護を堅持する」と対抗した。中国が実際に台湾に対する武力統一を試みるのか、そして、台湾が攻撃を受ければ米国が軍事的介入をするのかは、誰も分からない。しかし確かなのは、狭い台湾海峡で軍事的緊張は高まり、偶発的な衝突の可能性が高まっていることだ。今年5月の韓米首脳会談で「台湾海峡の平和と安定」が言及され、アフガニスタンの現地スタッフたちを救出する「ミラクル作戦」に投入された韓国空軍機は、台湾領空を通過した。台湾をめぐる緊張は、韓国と無関係ではない。

パク・ミンヒ論説委員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1014666.html韓国語原文入力:2021-10-11 15:34
訳H.J

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