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[社説]偽ニュース対応に乗り出した政府、表現の自由は守るべき

登録:2018-10-17 08:01 修正:2018-10-17 09:55
今月12日、果川政府庁舎の法務部で開かれた国会法制司法委員会の国政監査で、パク・サンギ長官が前日の文大統領の江汀村の住民赦免発言についての意見を聞く質問に答えている//ハンギョレ新聞社

 法務部が16日、偽ニュースに厳しく対処する方針を明らかにした。虚偽事実の流布行為を処罰する業務妨害罪や名誉毀損罪など、従来の法律を活用し、積極的に捜査するだけでなく、情報通信網法に削除要請権を新設するなど、法改正も進めると付け加えた。李洛淵(イ・ナギョン)首相が偽ニュースに厳しく対処するよう指示してから、政府省庁の中では初めて偽ニュースの対策作りに乗り出したのだ。

 ハンギョレの企画報道で明らかになったように、偽ニュースは公論の場を歪曲し、民主主義を蝕むという点で、当然淘汰されなければならない。ただし、「表現の自由」というまたもう一つの憲法的価値がこの過程で損なわれてはならず、法的処置には非常に慎重を期すべきだ。

 偽ニュースが、ユーチューブやカカオトークの団体チャットルームのようなプラットホームを通じて、どれほど広範囲に広がっているかは、ハンギョレの報道で明らかになった。エステル祈祷運動という宗教団体を通じて、イスラム教徒を嫌悪する内容の偽ニュースや性的マイノリティ問題についての歪曲した情報を流布することはもとより、選挙運動に関与してきた事実も明るみに出た。ユーチューブのチャンネルを通じて極端な政治的主張を盛り込んだ偽ニュースや類似した偽ニュースが広まっていることも厳然たる現実だ。5・18北朝鮮軍介入説やタブレットPC操作説など、あらゆる偽ニュースが今も多くのチャンネルで流通している。

 パク・サンギ法務部長官は「事実関係を意図的にねつ造した虚偽捏造情報流布行為は告訴・告発がなくても捜査に乗り出す」と明らかにした。虚偽事実を意図的にねつ造した明白な偽ニュースには法的措置が不可欠だが、それは最後の手段にならなければならない。米国や欧州各国がインターネット・サービス事業者などの自律規制策や利用者に対するメディア・リテラシー教育を並行していることを教訓にしなければならない。処罰だけで偽ニュースをなくすことは難しいという点を、政策当局は忘れてはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/866066.html韓国語原文入力:2018-10-16 19:03
訳H.J

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