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[寄稿]「ポケモンGO」で見えた韓国IT鎖国化への警告

登録:2016-07-18 08:32 修正:2016-07-18 12:09

 英国のあるメディアのサイトを作ったときのことだ。タイトなスケジュールにもかかわらず急にカード決済システムを作らねばならなかった。決済代行の接続に「ストライプ」というサービスを用いることにしたのだが、このサービスはActiveXや公認認証書も必要なく、カード会社の別途認証もない非常に簡単な決済代行サービスだった。韓国とは異なり簡単な決済が可能なので、その背後には韓国と同じくらい複雑な政府との協議手続きや多くのコードがあるだろうと早合点した。そのため経験豊富なインドの開発者を探して連動開発を任せたのだが、翌日、彼が一日で作って送ってきたコードを受け取り、私はびっくりした。あまりにも簡単なコードを送ってきたからだ。こんなに簡単に作って問題ないのだろうかと思いテストを行ってみたところ、私はさらに驚いた。決済がキャンセルされるだろうと高を括って大きな金額を記して決済テストをしたのだが、何の問題もなく決済されてしまったのだ。こんなに簡単に作っても法的、技術的な問題はないのかとストライプ開発者を直接訪ねて聞いた後、私は今まで韓国で味わった苦労は何だったのかと力が抜けた。

 韓国でオンライン決済サービスを製作するには、電子支払代行会社(Payment Gateway=PG社)とシステムを連動した後、何度もテストを経て安定性を確認し、その後PG社から審査を受けるという手続きを踏まねばならない。PG社は事業者登録番号や通信販売業申告番号、会社の代表者の氏名などがサイトの下部にちゃんと記載されているかを確認し、販売する商品がPG社の許可する商品であるかも確認する。PG社の点検後は、またカード会社の審査手続きを行わなければならず、もしこれを省略したければお金をかけて保証保険に別途に加入しなければならない。PG社は販売商品の種類によって支払限度額に制限をかけることもある。ゲームコインや顧客が直接金額を決めるクラウドファンディングの商品を販売したい場合は、別途追加協議をしなければならないこともある。顧客も常に、公認認証書だのセキュリティプログラムだのというものと格闘しなければならない。しかし、私は英国でサイトを作り決済システムを構築するとき、金融機関とどんな協議過程も、どんな契約手続きも行わなかった。保証保険も必要なく、電話の一本すら必要なかった。顧客も公認認証書などにストレスを受ける必要がない。参入する壁が低いため、フィンテック(Fintech)市場にチャレンジする新しい企業が続々と出てくるのも当然だ。

プログラマーのイ・ジュンヘン氏//ハンギョレ新聞社 

 「ポケモンGO」ゲームが世界をひっくり返す光景を見て、多くの韓国の開発者は隠しようのない複雑な気持ちを抱えている。政府と国内業者の反対でグーグルが韓国の地図データーを使用できないため、海外のゲームに韓国の地図が表れないのは当然だ。韓国でゲームを発売するには位置情報サービス事業者への申告も必要であり、ゲーム物管理委員会の評価も受けなければならないため、どのゲームでも韓国だけ発売やアップデートが遅くなることもこれまで繰り返されてきた。 「韓国型」ばかりを叫んでは韓国だけ世界市場と切り離されガラパゴス化することを、政策決定者はいまだに理解していない。彼らは世界とともに進むどころか、韓国だけの基準を作り、私たちの技術を「韓流」にしようという無駄なスローガンばかり訴えている。ゲーム、IT、フィンテック産業に「韓国」という壁を作り「主権」を主張してきたのは、朝鮮末期の王族、興宣大院君のような鎖国政策にならないのか省みる必要がある。グーグルやペイパル(Paypal)は大同江(テドンガン)に攻めてきた「異様船」ではない。これが「ポケモンGO」の与える最後の警告だ。

イ・ジュンヘン/プログラマー(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-07-17 19:04

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/752666.html 訳M.C

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