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[社説] 右翼団体のあきれたチョン・デセ攻撃

登録:2013-06-27 08:45 修正:2013-06-27 08:54

 プロサッカー水原三星ブルーウィンズでがんばっている在日同胞出身のチョン・デセ選手に対してある団体が国家保安法違反疑惑で告発し、検察が捜査に入ったという。チョン選手は2010年南アフリカ共和国ワールドカップに北韓代表として出場するなど我々にもなじみのスター選手なので、突然の保安法捜査の便り自体に当惑する。検察が "法理検討などのための基礎調査に着手した" としているのを見れば告発状が出されたのでひとまず検討するほかはない状況と見える。

 韓国インターネットメディア協会という団体が自らインターネットに出していた告発状の要旨を見れば、チョン選手が保安法に違反したと主張する内容より、なぜ今になって告発状を出したのかがより気にならざるをえない。2010年の南アフリカ共和国ワールドカップ当時の足跡と2008年の<ハンギョレ>寄稿の内容、昨年6月の<エス・ビー・エス>の‘ヒーリングキャンプ’放送の内容など、とうに過ぎた事を今になって問題にしていることからして疑問だ。

 彼らが適用してほしいと求めている国家保安法第7条1項鼓舞称賛罪は‘国家の存立・安全や自由民主的基本秩序を脅かす事情を知りながら’反国家団体を称揚、鼓舞した行為を処罰するとなっている。ワールドカップで北韓の国歌を聞いて涙を流し、ヒーリングキャンプで総連系学校の民族教育内容を話したことをめぐって国家の存立を脅かす行為と主張するならば、もはやまともとは見難い。

 彼がワールドカップ直後、英国放送とのインタビューでしたという "金正日を尊敬する" という発言が耳障りだったかも知れないが、彼の生い立ちを考えれば果たしてそれらの言葉尻を捉えて保安法云々することなのか疑問だ。チョン選手は韓国籍を持つ父親と解放前の朝鮮国籍を維持する母親の間に生まれて、日本で総連系の教育を受けて育った。チョン選手の家族の2つの国籍自体が民族分断の悲劇を象徴している。これを残念に感じられなくとも、保安法云々するのは過度なイデオロギー攻撃だ。同じ民族として守らなければならない最低限の限度を越えているのは間違いない。検察はこういうあきれたイデオロギー思想の攻撃の言いなりにならず、最低限の要件も備えていない告発事件ならば直ちに却下することを望む。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/592753.html 韓国語原文入力:2013/06/21 18:57
訳T.W(1066字)