本文に移動

[メディア展望台] ‘イルベ’のようなトローリング サイトを扱う態度

登録:2013-05-01 18:13 修正:2013-05-02 07:35
ファン・ヨンソク建国(コングク)大言論広報大学院教授

日刊ベスト保存所(以下 イルベ)が話題になっている。 イルベはユーモア資料共有掲示板から出発したが、今は保守政治討論サイトとして更に良く知られている。 イルベは日本の‘2ch’に影響を受けたDCインサイドのような派閥に属する。

 イルベの特徴はトロール(troll)または、トローリングで説明できる。 英語でトロールは、流し釣りまたは、スカンジナビア半島の神話に出てくるつむじ曲がりの巨人のような伝説中のキャラクターを指す。 この言葉が大衆的に使われる所はインターネットだ。 ディベートルームなどで他人の災難を煽るような攻撃的で反社会的な行動を指す。 トロールにぴったり合う韓国語はない。 たびたび‘釣り’と翻訳されたりするがピッタリした翻訳ではない。 誹謗とも異なる意味だ。 日本では‘荒らし’が同じ意味で使われている。 中国では白眼、すなわち黒い瞳のない目という用語が使われる。 文字通り見境無く無差別に攻撃する行動をいう。 トロールは特定個人または集団に対し、暴言と卑俗語を使って不快感を与え、扇動的言辞を弄しながら、ひっかけ性の掲示物を通じて主題を変形させ、集団攻撃指向を示すことを含む用語だ。

 興味深いことに韓・米・日の代表的トローリング サイトは全てイメージ掲示板サイトだ。 代表的なのが日本の‘2ch’で1999年に西村博之が開設した。 ‘2ch’は各種犯罪事件にかかわって2003年以後、利用者のIPアドレスは公開するが、基本的に匿名性が保障される。 主な利用者層は10~30代の若い男性であり、日本民族主義-極右指向が主流をなす。 特に韓国と中国を反日国家として烙印し、これらの国民を敵対視し差別する言動を日常的に行う。 日本の嫌韓流運動がここから始まったと言っても過言ではない。 韓国・日本両国のトローリング サイトの間には扇情的な情報交流があるが、両国の極右民族主義指向が衝突して相互攻撃の様相が現れたりもする。

 米国には‘4chan’がある。 2003年に当時15才のクリストファー ポールが日本のアニメーションに関心を持って‘2ch’を見て類似のイメージ掲示板を作った。 ‘4chan’は米国で10~20代男性のインターネット下流文化を象徴する。 <ニューヨーク タイムズ>はこのサイトが「トロール性ユーモアと怪談のオンライン集約版」と批判しもした。 また‘4chan’が単純な掲示板活動を越えて、DDoSのようなインターネット攻撃、犯罪予告、児童ポルノ流通などで反社会的行動を日常的に行っていると批判した。 <ワシントン ポスト>も「4chan利用者が大衆を混乱に陥れる権力を手に握った」という企画記事を送りだした。

 それでは、トロール現象はなぜ現れるのだろうか? 10~20代男性の潜在的衝動指向が匿名的空間で強く表出され、悪口と卑俗語が日常化され、社会的アイデンティティを弱化させ、普段は少数意見に属していた者がオンラインで意見同調者に出会い多数意見だと知覚しながら拡散効果を産み、民族主義や愛国主義が行動を正当化させるためだ。

 トローリング サイトを法で制裁することは容易ではない。 インターネット サブカルチャーの一つとして認めるほかはない。 私たちに必要なことは、これらのサイトに対する対応策の前に、主流報道機関と政治家たちがトローリング サイトを利用したり必要以上に重要な社会世論として扱わないことだ。 イルベはインターネット文化現象であって、政治や理念の道具ではない。 米国主流言論が‘4chan’を扱う成熟した姿勢のように、政治的利害関係のためにこれらのサイトを利用する集団がないことを望む。

ファン・ヨンソク建国(コングク)大言論広報大学院教授

https://www.hani.co.kr/arti/society/media/585308.html 韓国語原文入力:2013/05/01 10:34
訳J.S(1696字)