本文に移動

【世相を読む】 "キム&ジャン共和国" と朴槿恵政府の法治/チョン・ジョンフン

登録:2013-04-03 18:08 修正:2013-04-04 09:38
チョン・ジョンフン弁護士

 法治主義は保守の常套修辞だ。 李明博大統領もそうだったし、朴槿恵(パク・クネ)大統領も同じだ。 大統領選挙過程で朴大統領が前面に掲げた核心課題は "国民幸福" と "法治国家" だった。 特に韓非子をしばしば引用する朴大統領には "法家的リーダーシップ" という比喩がついてまわりもする。 とにかく法治主義を強調した二つの政府の共通点の一つとして、<キム&ジャン>出身者が大挙して政府高位職に進出する現象を挙げられる。

 李明博政府で<キム&ジャン>出身の高位人士としては、ハン・スンス前総理、ハン・ドクス前駐米大使、ユン・ジュンヒョン前企画財政部長官、キム・フェソン前国家情報院2次長、ソ・ドンウォン前公正取引委副委員長など、いちいち取り上げられないほどだった。 <キム&ジャン>人士だけで内閣構成が可能だという話が出さえした。 現在最初の人選をしている朴槿恵(パク・クネ)政府になっても、このような事情は続いている。 外交部長官、女性部長官、辞退した公正取引委員長候補者、大統領府公職規律秘書官に続き、憲法裁判所所長候補者まで、朴槿恵(パク・クネ)政府で5人目の<キム&ジャン>出身者が高位公職者になったり候補者に上げられている。

 このような事情を背景にマスコミでは "<キム&ジャン>共和国" という新造語が登場した。 "検察共和国" 、 "三星(サムスン)共和国" に続いて、共和国の主語の地位を占めた3番目の事例だ。 検察共和国は捜査と起訴権の独占という牽制されない絶対的な権力として政治権力の矛と盾の役割をした検察を規定する用語であった。 三星(サムスン)共和国は三星(サムスン)が韓国社会で行使する支配力の現実を表わす用語であり「もはや権力は市場の手に渡った」という企業社会の象徴的言語であった。

 では "<キム&ジャン>共和国" という言葉が象徴するものは何だろうか? 現象的には退任公職者が前官礼遇と回転門人事を通じて再び公職に進出する韓国社会の官僚体制の現住所を説明する。

 しかしさらに根本的には "<キム&ジャン>共和国" という新造語は "三星(サムスン)共和国の影" のような現象を指している。 それは権力の核心である法の商品化と法に対する企業と資本の優位が強化されていく現実を象徴的に表わす。 一部の官僚と検察および司法権力の利害関係が大型法律会社(ローファーム)を通じてローファームの主要顧客である大企業の利害と一つになり、そのような大企業の利害関係が再び政府の公的領域に貫徹される可能性が開かれているわけだ。 これは大企業の私的利益が国家政策へと簡単に転換され得るということを意味する。 2008年に出版された『法律事務所、キム&ジャン』という本では、このような現象を「先に入った者と残った者が国内外の巨大資本の利益のためにいっしょに動く」資本-法律エリート-政府官僚の "三角同盟" 」と説明している。

 また "<キム&ジャン>共和国" は強者の利益を代弁することが能力と認められる韓国社会の憂鬱な断面を見せてくれる。 大慨は金があって権力のある人を代弁するものである大型ローファームでの経歴が、政府高位職に進出するのに障害にならず、かえって国家経営能力の基準になっているのだ。 法治は権力を牽制する原理であり、基本的に政治的・社会的弱者の利害を代弁するものでなければならない。 そのような意味で "<キム&ジャン>共和国" の法治は歪曲された法治だ。

 韓非子の法家と法治は、基本的に官僚を牽制する技術だった。 法を公正に適用して貴族が享受していた特権を法で廃止することがその方法だった。 「法は身分の高い者にへつらわず、墨縄は 曲がった木に沿って曲げて使いはしない」という韓非子の言葉はこれを説明している。 韓非子をしばしば引用する朴槿恵(パク・クネ)大統領が、政府高位職人事と関連して耳を傾けるべき警句だ。

チョン・ジョンフン弁護士

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/580890.html 韓国語原文入力:2013/04/02 19:15
訳A.K(1783字)

関連記事