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[社説] 映画<ジスル>で国際的に認められた済州4・3虐殺

登録:2013-01-28 23:04 修正:2013-01-29 06:49

 世界最高の独立映画祭、サンダンス映画祭で<ジスル>が審査委員大賞(海外劇映画部門)を受けた。昨年<ピエタ>がヴェネツィア映画祭の最優秀作品賞を、その前年にアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で<かたつむりの星>が長編部門大賞を受けたのに続く朗報だ。‘ジスル’は済州(チェジュ)の文化芸術家とネット愛好者の小額出資で製作したものなので、より価値が高い。年平均1000万ウォンほどの、最低生活費にもならない所得で生活している映画関係者の情熱は驚くべきものだ。

 特に‘ジスル’は済州4・3抗争の過程で罪もなく殺された民間人犠牲者の悲劇を素材にしている。その責任の一当事者である米国の本土でその意義と価値を認められたのだから、受賞の意味は格別だ。映画が、"海岸線から5km以遠の住民は暴徒とみなして全員虐殺しろ" という米軍事政権の疎開令と共に始まったように、4・3虐殺の初期過程を主導したのは米軍政だった。疎開令以後、中山間地域に対する大々的な焦土化作戦が繰り広げられて、村の95%が焼かれて、住民2万人余りが山に追われて不本意に‘山の人’になってしまった。このような状況で、ある洞窟に無計画に逃げ込んで犠牲になった住民の実話が映画のあらすじだ。

 映画祭側は映画に対して "戦争の不合理性を描いた映画は多いが、このように絶妙のディテールで描いた作品は珍しい。 白黒映像は人物の性格だけでなく郷土の機微まで表わした" と評価した。‘息詰まるほど美しい映像とゆったりした長時間の画面がひき起こす悲しみ’を賛嘆する評価もあった。こういう驚異的なディテールと映像美は結局内容が持つ、ものすごい悲劇性からにじみ出たものだろう。オ・ミョル監督はそれを "魂の悲しみが天に届いたようだ" という言葉で表現した。米軍政権に対する批判の有無と関係なく、この作品が審査委員全員の一致で大賞を獲得した理由だろう。

 4・3抗争は解放後の米軍政権の政策の失敗と食糧難、親日派の重用と民心離反、軍警および極右団体の横暴に刺激された民衆の抵抗から始まった。米軍政権は初期に現地軍指揮官の対話と交渉の意見を握りつぶし、親日反逆者であった軍警首脳部とともに強硬鎮圧を押しつけた。李明博政権の真実和解委員会委員長(イ・ヨンジョ)がそうしたように、事あるごとに共産勢力が主導した暴動だと非難する人々はまさに彼らの後えいだ。恥部を隠そうとする必死のあがきだが、米国の代表映画祭がその悲劇性に共感したように、もうそんな時代は過ぎた。映画の中の住民たちが希望の象徴であるジスル(ジャガイモ)を分けながらする豚や結婚の心配などの生活が地に着いた話に耳を傾けることを願う。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/571635.html 韓国語原文入力:2013/01/28 19:16
訳T.W(1246字)

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