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[社説] ‘タクシー法’あわてず政府に任せるべき

登録:2012-12-29 23:48 修正:2012-12-30 04:12

 与野党がタクシーの公共交通としての地位を認め、支援と特典を受けられるようにする‘公共交通育成・利用促進法’の改正案(別名 タクシー法)を国会本会議で処理するという。 ‘タクシー法’は政界が大統領選挙を控えてタクシー業界の票を意識して、政府の反対にもかかわらず与野党合意で押し進めている。法案の内容はもちろん公けの議論を経ていないという処理過程にも問題が多いだけに撤回すべきだ。

 バス業界の従事者が10万人だがタクシー業界はその3倍である30万人に達するという。そのため、より多くの従業者がいるのに処遇は相対的に劣悪であるゆえに法的な保護装置が必要だということだ。タクシーの輸送分担率は高く、公共交通に準じるという理屈も言われているが、タクシー業界の口コミによる世論の影響力が高いために大統領選挙を控えて拒否しにくい内部事情が強く作用した。

 一定の路線と運行時刻表を備えなければならないという公共交通法の基準から見れば、タクシーを完全なる公共交通と見るのは難しい。外国にも立法例がないという。改正案が可決されればタクシーは公共交通の地位を与えられて、政府と地方自治体の公共交通支援の特典を受けることになる。車庫および車両施設支援、準公営制にともなう営業損失保障、乗り換え割引などに約1兆ウォンの予算が使われるという。

 タクシー業界の苦労が分からないわけではない。会社勤務運転士の場合、12時間制の交代勤務をして、月平均賃金が150万ウォンに至らないという。根本的な原因はマイカーの増加などでタクシーの需要は減っているのに、選挙のたびに台数を増やして料金は抑えてきた点にある。タクシーの供給過剰と低い収益性の問題をそのままにして支援だけを増やしても問題は解決されない。さらに与野党がバス業界をなだめるためにガソリン税の引き下げなどの追加支援を約束したことは、あぶく銭をばらくように国民の税金でなだめることで、無責任この上ない。

 国土海洋部は、来年上半期までにタクシーの過剰供給の解消などのために、タクシー産業発展総合対策を整備するという。交通手段としてのタクシー、タクシー運転手、そしてタクシー産業の問題はそれぞれ別の懸案であるから、事案別に政策方向を立ててそれに合わせて支援するべきだ。政界が法案処理の約束をしたせいで問題がややこしくなったのに、セヌリ党のイ・ハンク院内代表が政府が努力していないと詰め寄るのは穏当ではない。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/567429.html 韓国語原文入力:2012/12/2819:04
訳T.W(1128字)