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【朴露子コラム】プーチンのロシア:「マフィア国家」の末路

原文入力:2012/01/12 19:05(1839字)

経済成長を主たる目標にしてきた南韓に生まれて暮す住民たちの特徴だと思いますが、私たちにとって国家とは少なくとも経済的なレベルで「理性的な」存在と認識されやすい。すなわち、「正常な」国家なら「発展」を目指すべきであり、高付加価値製品の生産及び輸出を奨励すべきだと、私たちはほとんど無意識的に前提している。

 しかし、この前提は長い間北韓と体制競争を強いられた、そして今も主に技術集約的な製造業製品の輸出で資本の利潤を蓄積せざるを得なかった南韓という国家の特殊な状況を反映したものであり、世界史の普遍的な規則とは言いにくい。1997年以降は新自由主義的な性格をも帯びてはいるものの、南韓は根本的に産業資本の利益極大化に重点を置く新重商主義的な国家である。ところが、そのような国家より、世界体制の周辺部や準周辺部において一般的な国家の形態は「掠奪国家」である。掠奪国家で政権の官僚たちは特に地下資源の輸出などで地価を上昇させる一方、多くの平民は慢性的な貧困に喘いでいる。外見は民主国家に見えても、本質的には掠奪国家にすぎないこれらの国々は独裁ないし準独裁である可能性が高く、多くの場合は政権の官僚層が組織犯罪と結び付いているか、「組織暴力団的な」方法などを統治に利用している。

 以前「ウィキリークス」で「マフィア国家」と命名されたエリツィンやプーチンのロシアは、上述の掠奪国家の定義にほぼ一致している。去る12月に世界を驚かせたモスクワなどにおける不正選挙に抗議したデモは、まさに以上のような掠奪国家への大衆の疲労と怒りがいかに激しいかの証といえよう。実は、1993年エリツィンが戦車砲で国会を破壊してからは、ロシアにおけるほとんどすべての選挙は不正選挙であった。今になってようやく有権者たちが不正選挙に抗議し始めた理由は、地下資源の輸出に頼っている掠奪国家の弱さが世界恐慌の疾風怒涛により満天下に暴かれたからである。2011年はロシアの住民たちの平均的な実質所得がほとんど上がっておらず、資源に対する需要を減らす恐慌が持続する限り、今後もその所得が上がる可能性は当分は高くない。しかし、資本のロシアという掠奪国家がソ連時代から受け継いだ技術、教育、医療インフラは時間が経てば経つほど悪化する一方である。このような状況が2011年末にロシア市民たちの怒りを爆発させた。

 ロシアを掠奪国家と定義すれば多くの人々が反対するかもしれない。2000年代は常に経済が高速成長した、いわゆる「ブリックス」であり、今もナロ号に技術を提供するほど、宇宙航空などの部門では世界的な技術水準を維持している国を果して掠奪国家といえるのかと問うかもしれない。しかし、次第に技術集約的な製品の輸出へと移るなど、世界資本主義の食物連鎖において2000年代に滞りなく上昇移動しつつある中国とは異なり、ロシアの高い成長率はほとんど全面的に地下資源の価格高騰に頼っていた。ロシアの輸出における機械などの技術集約的な資本財が占める割合は2003~2008年に9%から4%に下がっており、その後も下がる一方である。今日ロシアの機械生産量はソ連末期の約40%にすぎず、技術的な水準もますます低下している。このような衰退の理由は明らかである。資源輸出における障害物をとり除くために、国内高付加価値商品の生産を枯死させかねない世界貿易機構(WTO)加入に死活をかけていたプーチン政権は、石油とガスを売り付け、短期間でぼろ儲けすることに夢中で、多数に利益をもたらす国家の長期的な発展にはなんらの関心もなく、投資もまともにしないからである。ロシア政権の官僚たちはナロ号プロジェクトに提供される昔のソ連の技術を利用することには長けていても、ソ連の遺産を掠奪する事以外に何もできない。まさにこの点が、特に情報力を持つ都心の若い中産層には彼らに対する怒りの源泉なのである。

 怒った民心によりプーチン政権は遠からず倒れるかもしれないが、だからといって、掠奪国家の性格がすぐに変わるわけではない。大企業の再国有化と社会主義的な計画経済の要素の再導入、民衆の抵抗による民主化と官僚層の大々的な交代などがなければ、ロシアにいかなる未来もないだろう。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/514509.html 訳J.S