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【ルポ】中国の鉱物にひざまずいた米国、韓国の技術を足掛かりに変貌中

高麗亜鉛のテネシー製錬所を訪ねて
6日(現地時間)、米国テネシー州クラークスビルにある製錬所「クルーシブル・ジンク」の至る所を横切るベルトコンベア=キム・ウォンチョル特派員//ハンギョレ新聞社

 米国テネシー州ナッシュビルから北西へ約80キロメートル走ると、一年中干上がらないというカンバーランド川が姿を現した。米国で最も安価な部類に入るというテネシー州の産業用電力と、無制限に利用できる豊富な水資源、製錬所にとっての天恵の条件を兼ね備えたこの地に、米国唯一の亜鉛製錬所がある。6日(現地時間)訪れた工場には、従来の名前の代わりに「クルーシブル・ジンク」(Crucible Zinc)という新しい名前が掲げられていた。「韓国企業と米国政府」が協力する前例のないプロジェクトにより、工場の新たな所有者となった高麗亜鉛が、4月に新たに付けた工場名だった。

6日(現地時間)、米国テネシー州クラークスビルにある製錬所「クルーシブル・ジンク」。既存の工場敷地と隣接する新工場敷地は、まだ草や木々に覆われていた=キム・ウォンチョル特派員//ハンギョレ新聞社

■48年間休むことなく稼働されてきた製錬所、新たな所有者を迎える

 50年近く休むことなく工場を動かしてきたのは、敷地内の至る所を横切るベルトコンベアだった。遊園地のジェットコースターのように頭上を走るベルトに沿って、1日600トン前後の亜鉛精鉱(亜鉛鉱石を砕いて不純物を取り除いた中間原料)が移動していた。近隣のミドル・イーストテネシー鉱山から搬入された精鉱や、ペルーやボリビアなどから輸入された原料だ。

 ここで48年間働いてきた工程責任者のテリー・ダブスさん(71)はハンギョレに対し、「私たちは1日24時間、週7日体制で工場を稼働させている」とし、「1978年に操業を始めて以来、毎年1回の整備時に一時停止する以外は、稼働を止めたことがない」と語った。従業員約300人が24時間3交代制で働きながら運営してきたこの製錬所は、1978年の設立以来、所有者が計7回も変わるなど、激しい浮き沈みを経験してきた。

 約20万坪の新規工場用地は既存の工場に隣接しているが、まだ草や木に覆われていた。既存の敷地25万坪と合わせると、総面積は45万坪となり、高麗亜鉛の主力生産拠点である蔚山(ウルサン)の温山(オンサン)製錬所の43万坪とほぼ同じ規模だ。年内に木を伐採し、土地をならす整地作業を進め、年末頃には起工式も開く計画だ。来年初めには、この場所を統合製錬所へと生まれ変わらせる本工事に着手し、2029年から亜鉛など一部の工程を稼働させ、2030年に全面稼働させることを目指している。

6日(現地時間)、米国テネシー州クラークスビルにある製錬所「クルーシブル・ジンク」内にある「ポンド」(上、下右)と「ハイ・シルバー・ケーキ」(下左)。ポンドの底には、数十年にわたり製錬過程で排出された沈殿物が堆積している=キム・ウォンチョル特派員//ハンギョレ新聞社

 製錬所の敷地内には、隠された「宝物」もある。穏やかな人工湖のように見える巨大な貯水池、いわゆる「ポンド」だった。数十年にわたり製錬過程で流れ出た沈殿物が水底にそのまま沈殿している場所で、計6つのポンドが造成されている。一見すると青い空が映る静かな池のようだが、水面の下には価値を計り知れない膨大な量の重要な鉱物が眠っている。テリーさんは「ここには鉄や亜鉛、鉛だけでなく、米国の先端産業に不可欠なゲルマニウム、ガリウム、銀、銅などの希少金属が大量に含まれている」とし、「正確な価値を算出するのは難しいが、数十億ドル規模に達する」と説明した。「高麗亜鉛のチェ・ユンボム会長が敷地を視察した後、『ポンドの価値だけでも魅力的な取引だ』と断言したが、まさにその通りだ」

 かつて同社は、製錬過程の副産物から有価金属を経済的に分離・回収する技術や設備が不足していた。高麗亜鉛は、副産物を再び原料として活用し、複数の有価金属を追加で回収してきた技術をこの場所に適用する計画だ。新工法が適用されれば、ゲルマニウム、ガリウム、インジウムなど、付加価値の高い戦略鉱物を抽出できるとの期待が高まっている。

 屋根付きの倉庫には、もう一つの「宝物」である「ハイ・シルバー・ケーキ」も見えた。主に銀を含む廃棄物で、高麗亜鉛の関係者は「約800トンあり、銀含有率は2%程度と推定される」と述べた。実際の含有率が2%であれば、銀だけで約16トンになる。現在の時価を単純に適用すれば、400億〜500億ウォン(約45〜56億円)規模に達する。今月、最初のロットを韓国の温山製錬所に送り、銀を抽出・精錬する計画だ。

■関税戦争を経て「鉱物自立」に乗り出した米国

「プロジェクト・クルーシブル」(Project Crucible)の出発点には、米中関税戦争がある。昨年のトランプ大統領の就任以降、米国が中国に対して関税圧力を強める過程で、中国は重要鉱物の輸出規制をてことして活用した。半導体や人工知能(AI)、先端兵器の生産に必要な鉱物の相当量を中国に依存してきた米国にとっては、痛手だった。

 この時から、米国は重要鉱物の鉱山から製錬・精錬に至るまで、サプライチェーン全体を自国内に構築する方向でスピードを上げ始めた。特に米国は、自国の弱点である製錬・精錬関連技術と数十年の運営経験を持つ高麗亜鉛に接触し、投資を引き出すことに成功した。米国の造船業復興のため、韓国の造船業界が米国に投資することを決めた「MASGA(米国の造船業を再び偉大に)」プロジェクトの「製錬業版」と言える。

6日(現地時間)、米国テネシー州クラークスビルにある製錬所「クルーシブル・ジンク」。「韓国企業と米国政府」が協力する前例のないプロジェクトを通じて、高麗亜鉛が4月に買収した後、新たに付けた工場名=キム・ウォンチョル特派員//ハンギョレ新聞社

 新しい統合製錬所が完成すれば、年間約110万トンの原料を処理し、54万トンの製品を生産する。亜鉛、鉛、銅、金、銀をはじめ、アンチモン、インジウム、ビスマス、テルル、ガリウム、ゲルマニウムなど12種類の非鉄金属と、半導体用の硫酸を生産する計画だ。このうち11品目が米国政府指定の重要鉱物だ。クルーシブル・ジンクの工場長、スティーブン・マークリーさんは、「米国は亜鉛の純輸入国だ」とし、「高麗亜鉛が新たに生産する亜鉛は米国で全量が消費されることになるが、それでも米国の総需要の約30%に留まるだろう」と見通した。

 米国が特に注目しているのは、中国への依存度が高いゲルマニウムとガリウム。マークリーさんは「ゲルマニウムとガリウムの米国内需要全体を賄える生産能力を確保することが目標」だとし、「これらの金属は国防装備や半導体、先端産業に不可欠な素材だ」と語った。ビスマスとインジウムについても、米国の需要の約半分を供給する計画だ。

 米国政府が事業に参入した手法も異例だ。総投資規模は運転資金と金融費用を含め74億ドル(約1兆1800億円)だ。米国防総省が最大株主として参加し、米国の戦略的投資家が共同出資した合弁会社は、第三者割当による有償増資を通じて高麗亜鉛の株式約10%を確保した。米商務省も半導体法を通じて2億1000万ドルを支援する。単に外国企業に補助金を支給して米国に工場を建設させるという次元を超え、米国政府が参加した投資機関が韓国の民間企業の主要株主にまで入り込む構造だ。

 米国は亜鉛をはじめとする重要鉱物の大規模な純輸入国であると同時に、半導体、AI、防衛産業など先端産業の需要が集中する世界最大の市場の一つだ。米国現地で生産すれば、関税や長距離物流の負担を軽減しつつ、安定した長期的な需要先を確保できる。中国を中心に再編された重要鉱物市場において、韓国企業の製錬技術が米国の国家安全保障のサプライチェーンに直接組み込まれる初の事例という点で、韓米関係にも肯定的な影響を与えるものとみられる。ただし、74億ドルに上る大規模な投資が米国に集中することで、国内の設備投資や雇用に及ぼす影響、米国政府が主要株主として参加することで今後経営の自律性が制約される可能性などは、韓国の立場から注視すべき点だ。

 マークリーさんは「所有者が変わるたびに、短期的な利益のみを追求しようとする『管理者』たちがやって来た」とし、「高麗亜鉛は現場で直接工程に携わってきた『運営者』であるため、短期的な成果に固執することなく、正しい道を歩んでいくと確信している」と語った。

世界的な鉱山・金属企業のリオ・ティントで15年間勤務した後、この工場に加わり、約1年間にわたり工場を率いているスティーブン・マークリー工場長(左)。1978年に操業を開始した製錬所で48年目を迎えるテリー・ダブス工程責任者=キム・ウォンチョル特派員//ハンギョレ新聞社
クラークスビル(米国テネシー州)/キム・ウォンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1273173.html韓国語原文入力: 2026-08-17 11:35
訳H.J

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