2011年3月に東日本大震災で爆発事故があった福島第一原発で、溶けた核燃料の残骸を取り出す作業が13年半で初めて試みられる予定だったが、装置設置の問題で中止された。「核燃料の残骸取り出し」は、24日で1年を迎える汚染水の海洋放出を終了させるための前提条件である福島第一原発の廃炉のためにも最も重要な作業だ。
東京電力は22日午前、福島第一原発2号機の原子炉で溶けた核燃料の残骸(デブリ)を試験的に取り出す作業を始めようとしたが、取り出し装置に不具合が発見され、直ちに中止したと発表した。この日作業は再開せず、その後の日程は決まっていない。
人が近づくと1時間以内に死亡しうる高線量の放射線が出る核燃料デブリの取り出しは、福島第一原発の廃炉過程で最も重要で最も難しい作業だ。東京電力はこの日の事故後、13年半ぶりに2号機の原子炉を覆う格納庫の内部に通じる直径60センチの配管の中にパイプ状の装置を入れて、約3グラムの核燃料デブリを取り出す計画だった。このため、東京電力は長さ約22メートルの伸縮型のパイプ装置を新たに開発し、パイプの先に爪形の装置も取り付けた。デブリからは人が近づくと1時間以内に死ぬほどの高線量の放射線が漏れるため、遠隔で操作する装置を新たに開発しなければならなかった。NHKは「5本ある押し込みパイプの順番が間違っていることに作業員が気づき、午前9時前に作業を中断した」と伝えた。
東京電力は、順調に作業が進められたとしても核燃料の試験搬出だけで少なくとも1週間から2週間はかかると予想した。今回、原子炉からデブリを取り出すことに成功すれば、茨城県にある日本原子力研究開発機構に移され、核燃料の残骸の性質や状態など半年ほど詳しい分析が行われる予定だ。
福島第一原発の1~3号機の原子炉の床に残っている核燃料デブリは計880トンに達する。2011年3月の東日本大震災の際、巨大な津波が発生して福島原発を襲い、冷却装置が麻痺し、1~3号機の原子炉の核燃料棒が溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)が発生した。溶けた核燃料は周辺の構造物を溶かして塊(デブリ)になったまま原子炉の底に残っている。
原子炉から核燃料供給装置を取り出して除去する作業は、世界で前例がない。旧ソ連時代の1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の場合、核燃料が溶けて大量の残骸が残っていたが、取り出さずにコンクリートで構造物を覆う方式を選択した。
このような理由から、核燃料デブリを取り出す作業は遅れている。2号機は当初2021年に始める予定だったが、3年も遅れた。しかも1、3号機は内部調査もまともに行われず、処理時期はもちろんどのようにデブリを取り出すべきかの方法すら決まっていない状態だ。デブリの取り出しが遅れれば、日本政府の2041~2051年の原発廃炉計画も遅れるのは避けられない。NHKは「福島第一原発では、核燃料デブリが原子炉の外まで広がっているほか、デブリの総量はチェルノブイリ原発やスリーマイル島原発の5倍から7倍近くに上るとみられ、取り出しの難しさが指摘されている」と指摘した。
汚染水は毎日約90トンほど新たに出ているため、廃炉が完了しなければ放出がいつ終わるか分からない状況だ。福島原発汚染水の1回目の放出は昨年8月24日に始まり、これまで約5万5千トンの汚染水が海に流れた状態。今月7日から8回目の放出が始まった。