群馬県高崎市の「群馬の森」公園にある朝鮮人強制動員犠牲者追悼碑(「『記憶 反省 そして友好』の追悼碑」)が3日間で完全に撤去された。コンクリートで作られた追悼碑の円形の土台と碑石が砕かれるなど損傷が大きかった。
朝日新聞は1日、「31日午前、朝日新聞社がヘリコプターで上空から現場を確認したところ、朝鮮人追悼碑があった場所はすでに更地になっていた」とし、「トラックやショベルカーなどが入って新しい土で埋め戻す作業がされていた」と報じた。
朝日新聞が公開した動画によると、追悼碑が撤去の過程で多く損傷されたことが確認できる。直径7.2メートルの円形の土台と碑文が貼られていた横4.5メートル、縦1.95メートルのコンクリート石碑は粉々に砕かれ山積みになっていた。「記憶 反省 そして友好」と書かれた金属製のプレートなどは、追悼碑を建てて管理してきた日本市民団体「『記憶 反省 そして友好』の追悼碑を守る会」(守る会)に渡された。
動画を見た守る会側は、同紙に「平和を愛する人たちの良心が、ずたずたにされた思いがする」とし、「こうも無残な姿、残骸をみて、何ともいいようがない。県のやり方には憤りを感じる」と反発した。守る会は撤去が終わった後、追悼碑の状態などを調べ、今後どのように対応するかを検討する予定だ。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でも県が追悼碑を粉々にする方式で撤去したことについて、「他の所で再建できるよう配慮する最小限の良心もなかった」、「ここまでするとはひどすぎる」などの批判の声が高まっている。
群馬県は東京ドームの5.6倍の大きさの公園を全面閉鎖し、29日から追悼碑の撤去を始めた。県は2004~2012年の市民の会の追悼式で「強制連行」という言葉が出て右翼団体が反発するなど、政治的議論を呼んだとし、これは「政治的行事をしない」という約束を違反したものだと主張。これを理由に同年7月、追悼碑設置許可の延長を拒んだ。市民の会は訴訟を起こし、1審では勝訴したが、最終的に敗訴した。県は昨年4月、これを根拠に追悼碑の撤去命令を下したが、市民の会がこれに従わなかったため、行政代執行に乗り出した。