ウクライナがロシア黒海艦隊の母港のあるクリミア半島を4日連続で空襲している。ウクライナは、最近の攻撃でロシア軍司令官2人が死亡したと主張した。
クリミア半島の最大都市セバストポリのミハイル・ラズボジャエフ市長は23日(現地時間)、テレグラムを通じて、同地域にこの日午前、約1時間にわたってミサイル空襲警報が発動されたと明らかにした。セバストポリ港付近をはじめ、北部地域の公園に撃墜したミサイルの残骸が落下し、フェリーの運航が一時中断された。ロシアは昨年2月末にウクライナを全面侵攻した後、クリミア半島を戦争の主要拠点として活用している。
ウクライナはこれまでこの地域を数回攻撃しているが、6月に反転攻勢を開始してからは頻度と強度が増している。ウクライナは20日と21日、それぞれセバストポリにある黒海艦隊の司令部と西部のサキ空軍基地を攻撃した。22日には再び黒海艦隊本部に空襲を行った。ウクライナ軍は同日、黒海艦隊本部に12回の空襲を実施したとし、防空ミサイルシステム2基とロシアの砲兵部隊4つを打撃したと主張した。ウクライナのクリミア半島空襲には、6月からウクライナ東南部地域で始まった反転攻勢の成果が振るわない状況で、自国軍の士気を上げロシア軍の士気を落とそうとする目的もあるとみられる。
ウクライナのキリーロ・ブダノフ軍事情報局(GUR)局長は、米国放送のボイス・オブ・アメリカ(VOA)に、自国軍による前日の黒海艦隊本部への空襲でロシア側では9人が死亡、16人が負傷したと主張した。また、死亡した9人のうち2人はロシア軍の司令官だと述べた。これについて同局長は、オレクサンドル・ロマンチュク大将は「非常に深刻な状態」にあり、オレク・チェコフ中将は「意識がない」と主張した。ロマンチュク大将は、ロシアが一部占領しているウクライナ南部のザポリージャ地域でロシア軍を率いており、今年大将に進級した人物。チェコフ中将は、ロシア海軍北方艦隊所属の第200独立車両火小銃旅団の指揮官として知られている。
このような主張に対しロシア国防部は、独自の防空網でウクライナのミサイルを迎撃したが一部被害があり、兵士1人が死亡したと明らかにしたが、その後、行方不明と言葉を変えた。指揮官など死傷者数十人が発生したというウクライナ側の主張に対しては反応しなかった。