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田中元首相の金権政治暴いた日本の調査報道の先駆者、立花隆氏死去

登録:2021-06-24 06:41 修正:2021-06-27 23:22
「知の巨人」の異名を持つ作家、ジャーナリスト 
田中角栄首相を辞任に追い込んだ調査報道の先駆者として知られる 
日本のベストセラー作家であり、ジャーナリストの立花隆氏の生前の姿/共同通信・聯合ニュース

 日本のベストセラー作家であり、ジャーナリストや読書家としても知られる立花隆氏が、今年4月に急性冠動脈症候群で死亡したと、NHKなど日本のメディアが報じた。80歳だった。

 同放送は、遺族が4月30日に死亡したという事実を今月23日に公表したと報じた。遺族によると、立花氏は心臓病など各種の疾病に苦しめられ、最近入院した病院では「病状の回復を積極的な治療でめざすのではなく、少しでも全身状態を平穏で、苦痛がない毎日であるように」過ごしていたという。

 立花氏は日本で「知の巨人」と呼ばれた人物だ。1964年、東京大学仏文科を卒業後、出版社「文藝春秋」に入社した。「毎日新聞」によると、彼は同社の週刊誌「週刊文春」に配属されたが、「好きな読書がままならず、『全く興味のない』プロ野球取材を任されたことで嫌気がさし」、3年足らずで退社したという。その後、1967年に東京大学哲学科に学士入学し、1960年代末から本格的に雑誌などを通じて文を発表した。

 立花氏の名は1974年10月、田中角栄首相の金権政治を暴いた「田中角栄研究 その金脈と人脈」が月刊誌「文藝春秋」11月号に掲載されたことで、さらに広く知られた。立花氏は同記事で会社の登記簿謄本や政治資金報告書など膨大な資料を収集・分析し、現職首相に矛先を向けた。田中元首相の後援者と自民党内の派閥など複雑な人間関係を図表で視覚的に示した。同記事は日本では「調査報道の先駆け」とされている。田中首相は同報道から1カ月後の11月に辞任した。

立花隆氏が生前、東京都にある自分のオフィス兼書斎の「猫ビル」の前に立っている様子/共同通信・聯合ニュース

 立花氏の関心と著作は、政治と社会問題だけでなく、自然科学や医学など多岐にわたっていた。「宇宙での経験が意識にどんな影響を及ぼすか」に興味を持ち、米アポロ号宇宙飛行士の取材などを重ねて『宇宙からの帰還』(1983年)を書きあげた。2001年には『東大生はバカになったか』で教養の問題を指摘した。2007年に膀胱がんの闘病を公表し、その後、「病と死」をテーマにした文も書いた。

 立花氏は読書家として知られている。「関心がある分野は最低でも10冊は読むべきだ」という持論を持っていた。所蔵する本だけでも約10万冊に達するという。立花氏は本が増えすぎたことを受け、建物外壁に猫の顔が描かれていたことから、「猫ビル」と呼ばれる建物を東京都文京区に建て、自分のオフィス兼書斎として使用した。 昨年、読書と著述の経験を口述した『知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと』を発表した。韓国にも『立花式読書論、読書術、書斎術 ぼくはこんな本を読んできた』や『立花隆の書棚』など20冊余りが翻訳されている。

 立花氏は生前、「調べて書く」ことを強調した。彼は「調べて書くことが現代では最も重要な能力」だと主張した。母校の東京大学の学生たちに自分が関心のある人物にインタビューしてくるよう課題を出したこともある。彼は生前、NHKのインタビューで「生きるって面白い。分からないから面白い」と語った。

チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1000593.html韓国語原文入力:2021-06-24 02:46
訳H.J

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