米国と台湾は、ドナルド・トランプ前政権時代に中断していた貿易交渉を再開することを決めた。台湾と外国の交流に反対してきた中国の反発が予想される。米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表と台湾経済貿易交渉弁公室の鄧振中代表は11日(米東部時間)にオンライン会議を行い、「数週以内に」貿易投資枠組み協定(TIFA)委員会の第11回会議を開くことで合意したとUSTRが明らかにした。
USTRはオンライン会議後に発表した報道資料で「タイ代表は、米台の貿易および投資関係の重要性を強調し、バイデン-ハリス政権の労働者中心の貿易の優先順位を説明した」と述べた。タイ代表はまた、多国間機関における共通の懸念事案についての台湾との協力に対する米国の持続的な関心を表明したとUSTRは説明した。
貿易投資枠組み協定は、自由貿易協定(FTA)の前段階と受け取れる。米国と台湾は1994年に貿易投資枠組み協定の締結交渉を始めたが、ドナルド・トランプ政権時代に中断しており、今回再び再開されることになったもの。今月7日にはアントニー・ブリンケン国務長官が下院外交委員会に出席し、台湾との貿易交渉を近く開始すると述べていた。
米国による貿易に関する台湾との対話の再開は、ジョー・バイデン政権が強化しつつある中国けん制基調とつながっているとみられる。米国は1979年に中国と国交を樹立して以来、中国を刺激せぬよう「一つの中国」の原則に則って台湾との関係を適正な水準に維持してきたが、最近は攻勢的になっている。バイデン政権は発足直後、台湾の官吏との接触を奨励する指針を下しており、4月にはバイデン大統領の特使格としてクリス・ドッド元上院議員の率いる「非公式代表団」が台湾を訪問している。今月6日にはクリストファー・クーンズ(民主党)ら10人の与野党の上院議員が、米空軍の輸送機で台湾の地を踏んだ。