米国ボーイング社が、相次いだ旅客機墜落事故で安全性論議に火が付いた737マックス機種を、当分航空会社に納品しないことを決めた。米国など全世界で該当機種の運航が封鎖され、崖っぷちに立たされたボーイング社がやむなく取った措置と見られる。
AP通信など外信は14日、米連邦空港庁(FAA)の一時運航禁止発表によりボーイング社がシアトル工場で生産した737マックス・ジェットライナーの顧客への引き渡しを中止することにしたと伝えた。この措置の期間は、ボーイング社が解決策を見出す時までと決まった。だが、各国の運航中止措置が早期に解消されることもありうるため、該当機種の生産は継続する計画だ。シアトルのエベレット工場は、毎月52機の737マックス機種を生産できる設備を備えている。
昨年10月にはインドネシアで、今月10日にはエチオピアで墜落事故が発生し、ボーイング737マックス機種の安全性論議に火が付いた。その後、欧州・アジア・中東国家が相次いで事故機種に対する運航中止を発表したのに続き、「安全な機種」として使用を続けていた米国も13日に運航中止を決めた。また、インドネシアのライオンエアーをはじめ、ベトナムのベトジェット航空とバンブー・エアウェイズ、ロシアのUTエアーが737マックスの購買契約を再検討するという報道が続いた。
結局、ボーイング社は飛行機の安全性が確認されるまで事前注文された事故機種の納品を暫定中止せざるをえなかったと見える。正確な調査結果と解決策が出てくるまでの、顧客の心配を解消するための措置と解釈される。現在、フランスでエチオピア航空の事故旅客機から回収されたブラックボックスの分析作業が進行中だ。事故原因の一つとして議論された自動航法システムのソフトウェアアップデート作業にも1~2カ月かかると見られる。
英国のフィナンシャルタイムズは、2013年のボーイング787ドリームライナー運航禁止を例にあげて、ボーイング社が今回の事態により5月までに約50億ドルの損害をこうむるだろうと見通した。ボーイング社は、昨年末までこの機種を4700機余り注文を受けたと伝えられた。金額に換算すれば約6300億ドルに達する。飛行機の引き渡し遅延措置が、航空機注文取り消し事態に拡大すれば、損害額はさらに大きくなりうる。巨大航空市場である中国をはじめとするアジア諸国が、ボーイング社の競争会社であるエアバス航空機に目を向け、長期的にボーイング社の営業損失が莫大になるという見方もある。
一方、国土交通部は15日、737マックス機種が韓国の空港と領空に入らないようにする内容の“ノータム”(NOTAM:Notice To Airmen)通知文を各国の航空会社など関係機関に前日発送したと明らかにした。ノータムの有効期間は、発送日から3カ月後の6月15日までだ。韓国の場合、この機種を2機運航してきたイースター航空は、13日からその運航を中断した。大韓航空はこの機種を30機導入し5月から投じる予定であり、ティーウェイ航空も今年下半期に4機を導入する計画だった。