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[インタビュー]「米中関係は“国交樹立以来最悪”…でも冷戦時のようには戻らない」

登録:2019-01-04 23:53 修正:2019-01-05 08:02
[米中国交正常化40周年:和解から衝突の時代へ] 
中国外交学院の蘇浩教授にインタビュー 
「中国、譲歩するだろうが米国の要求には不合理な面も」 
「中国と米国にそれぞれを代表する陣営があるわけでもない」 
「一方主義はだめだ、世界平和・繁栄に共同責任」
中国外交学院の蘇浩教授//ハンギョレ新聞社

 中国外交学院の蘇浩教授は「国交樹立以来最悪」という言葉で現在の米中関係を評価した。中国外交部傘下の大学であり、外交人材の専門養成機関である外交学院の国際関係専門家である彼は、中国が多くを譲歩をする可能性もあるが、米国の要求は度を越していると指摘した。しかし、相互依存性が深まった両国が深刻な衝突には至らないだろうと見通した。

 蘇教授は国交正常化40周年を迎えた米中関係について「過去の米中関係が漸進的に発展し強化・融合する上昇曲線だったとすれば、今は逆に下降曲線」だと述べた。米国は中国を支援して自国経済の拡張を図り、国力が弱かった中国は米国を通じて経済発展を図ったのがこの40年だという。また、米国が冷戦時代にソ連を牽制し、冷戦終結後にはテロ対応などの戦略目標を追求する上で中国との協力が役割を果たしたと評価した。

 しかし、第2次世界大戦以来の国際秩序に変動が加えられ、両国の衝突が胎動したというのが蘇教授の診断だ。蘇教授は「今の国際関係は米国など西欧圏が主導的だとばかりは言えない。BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)、主要20カ国(G20)協議体の開発途上国が頭角を現し、米国の影響力は衰えた」とし、「結局、米国は2位の経済大国であり影響力の大きい中国を『競争相手』に再定義した」と分析した。彼は「バラク・オバマ政府時代の『リバランス政策』も中国をターゲットにしたので、ヒラリー・クリントンが(大統領に)当選しても同じだっただろう」と述べた。

 蘇教授は、貿易戦争の展望については合意を導き出す可能性を予想しながらも、米国の過度な要求で構造的な矛盾が残る可能性があると述べた。彼は「90日間の談判を通して一時的な合意はできるだろうが、問題をすべて解決することはできないだろう。米国の要求には不合理なものもあり、中国がすべて受け入れるのは難しい」と述べた。「国家体制と経済構造は一国の特色や政治的決定の結果だが、これを米国の要求通りに変えることは不可能だ」ということだ。

 彼は、葛藤が続いても米ソ冷戦のような段階にまで進みはしないだろうと見通した。何より「米中関係は互いに異なる二つの社会制度の優劣を分ける関係ではなく、米中にそれぞれを代表する陣営があるわけでもない」という理由からだ。また「現代の国際関係は避けられない経済グローバル化で、すべての世界が一つに融合している。『あなたの中に私がいて、私の中にあなたがいる』というような相互依存だが、米中も同じだ」と述べた。蘇教授は「中国が韓国、日本、ドイツなど、米国の同盟国にとって最大の貿易パートナーという点も、断ちがたい相互依存性を示している」と述べた。

 米国は中国を北朝鮮に対するテコと見ており、中国も北朝鮮の非核化目標は米国と違わない。しかし中国側は、米国の一方的な態度が障害物であり、米国が朝鮮半島政策を中国抑制という枠で接近しようとしているという疑念を示している。蘇教授は「中国は米国が朝鮮半島を対中国抑制戦略プラットフォームにすることを懸念する」とし、「(朝鮮)半島に容易でない平和の流れが登場したが、北東アジアの戦略的・軍事的影響力を維持しようとする米国の意図どおりに進めば南北関係の進展も中断される可能性がある」と述べた。

 蘇教授は、様々な方面の対立を解消するためには相互尊重が必要だと話した。彼は「米中は世界の平和と発展に共同の責任を持ち、肯定的な役割を果たさなければならない。一方主義はだめだ」とし、「(朝鮮)半島を含むアジア太平洋地域の平和・安定に共同責任を持つべきだ」と述べた。

北京/キム・ウェヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/876970.html韓国語原文入力:2019-01-04 07:49
訳M.C