"‘西山事件’に対する反省抜きに特定秘密保護法を推進してはならない。" 最近国家機密を漏洩した人に対する処罰を強化しようとする‘特定秘密保護法’制定を巡る日本国内の論争に欠かさず登場する人物がいる。 1972年5月、沖縄の返還過程で米・日両国政府が結んだ‘密約’を報道したという理由で処罰を受けた前<毎日新聞>記者 西山太吉(82)だ。 彼は21日<東京新聞>とのインタビューで「民主主義の大前提は情報公開だ。 秘密保護法が作られれば政権は不利な情報を隠すことができる」として法案に反対する意を繰り返し明らかにした。
1972年沖縄返還を推進した佐藤栄作政権は、国民には返還された土地の原状回復費用を米国が負担すると説明しておきながら、実際にはこの費用を日本が負担する内容の密約を締結する。 当時<毎日新聞>記者だった西山は外務省女性事務官の助けを受けてこの事実を暴露する。 しかし佐藤政権は密約の存在を否定し、文書を流出させた女性事務官とこれを報道した西山を起訴し処罰した。 当時、日本検察は控訴状に西山が「こっそりと(女性事務官と)情を通じて文書を持ち出した」という文面を組み入れ、争点を‘国家権力’と‘国民の知る権利’の対決から男女の不倫問題にすり替えることに成功する。 日本政府は2000年当時、密約の存在を示す文書が公開され、2006年には当時の外務省官僚の証言が出てきた後にも公式にこの問題に明確な態度を明らかにしていない。 これに関しては安倍晋三日本総理も官房長官在職時期に 「密約は全く存在しないというのが政府の見解」と発言した経緯がある。
安倍晋三政権は連立与党である公明党が要求し次第、法案に‘国民の知る権利’と‘取材の自由’を許容するという字句を入れた。 しかし21日に中道指向の<毎日新聞>までが反対するという社説を載せるなど、法案を巡る論議は簡単には静まりそうにない。
東京/キル・ユンヒョン特派員 charisma@hani.co.kr