僅か10日前まで、すぐにでもシリアにトマホーク ミサイルを撃つかのように急いだバラク・オバマ米国大統領が10日(現地時間)シリアに対する軍事介入の保留を決めた。 米国議会に軍事介入承認のための表決を延期することも公式要請した。
オバマ大統領はこの日、ホワイトハウスで進行された対国民演説を通じて「シリアの化学兵器を廃棄するという(ロシアの)提案が成功するかを判断するには時期尚早」としつつも「しかしロシアがシリアのバッシャール アサド政権の強力な同盟国なので、この提案は武力を使用せずとも化学兵器威嚇を除去する潜在力を持っている」と話した。 オバマ大統領は続けて「我々が外交的な道を追求する間、武力使用承認のための表決を延期することを議会に要請した」と付け加えた。
これに伴いオバマ行政府の‘シリア解決法’は国連安全保障理事会を通じて外交的に解決する側に急反転された。 オバマ大統領は演説でジョン・ケリー国務長官に12日セルゲイ・ラブロフ ロシア外相に会い、シリア問題を議論するよう指示し、自身もウラジミール・プーチン ロシア大統領および同盟国首脳たちと協議を継続すると説明した。
オバマ大統領の今回の決定はシリア軍事介入案に対する反対世論があまりにも強いうえに、事実上議会で通過することは難しいために出てきた苦肉の策と解説される。 先週までは上院では通過するという予想が優勢だったが、今週に入って下院はもちろん上院通過も難しいという展望が急速に広がった。
ただしオバマ大統領はこの日の演説で‘軍事介入オプション’を依然として残した。 彼は米軍に現在の準備態勢を維持するよう指示したと伝えた後、「アサド政権に対する圧迫を継続し、もし外交が失敗すれば対応に乗り出すためのもの」と強調した。
オバマ大統領はまた、先月21日シリアで発生した化学兵器攻撃がアサド政権の仕業だと繰り返し主張しながら、自身が軍事介入を主張した根拠を再度力説した。 彼はアサド政権の化学兵器担当兵士らがサリンガスを混合し、防毒マスクを配布して、ロケットを発射したという事実が分かっていると強調した。 また「我々が行動しなければアサド政権は化学兵器の使用を中断する理由がなく、他の独裁者もこれを使うことを躊躇する理由がなくなる」としつつ 「制限的な軍事攻撃を通じて対応することが国家安保に符合するというのが最高司令官である私の判断だった」と話した。 しかしオバマ大統領はシリアに対する軍事作戦をどれくらいの期間 保留するか、外交が失敗した場合、どんな措置を取るかについては具体的に明らかにしなかった。
局面が変わって米国上院は10日、既存軍事介入案の上程を保留する代わりに新しい決議案の推進に出た。 共和党所属ジョン・マケイン・リンジーグレアム、民主党所属カール レビン・チャールズ シューマーなど4人の重鎮議員が用意しているこの決議案は、シリアに対する軍事介入権限を大統領に付与するが、アサド政権が化学兵器を国連に引き渡せばその権限を無効にするという内容だ。 <ニューヨークタイムズ>は「この案が両党で急速に支持を得つつある」と伝えた。 議会がこのような内容の決議案を承認するならば、オバマ大統領は外交失敗時に‘軍事介入オプション’を使用できる根拠を持つことになるものと見られる。
ワシントン/パク・ヒョン特派員 hyun21@hani.co.kr