昨年11月に抑留された韓国系米国人ケネス・ペ氏を最高裁判所に回付したという27日の北韓報道と29日米国務部スポークスマンが人道主義的次元で彼の即刻釈放を要求したことは、過去に何度もあった北韓-米間の‘人質釈放外交’を連想させる。
29日<ニューヨークタイムズ>は「北韓が米国政策の最優先順位にある米国市民の安全に対して呼応する姿を見せれば、アメリカ国内穏健派の立場を強化することもできるだろう」と報道した。 もし北韓が迅速な裁判を経て追放形式でペ氏を釈放するならば、去る4月中旬にジョン・ケリー米国国務長官の韓・中・日歴訪で明らかにした‘対話と外交的接近’について北韓が肯定的な信号を送ったものと解釈される余地がある。 その上、北韓は最近韓国と米国の対話提案を拒否しながらもムスダンミサイル発射など軍事的行動をしなかった。 対話局面に転換されることを願っていると見ることができる所以だ。
もちろん米国の保守的経済紙<ウォールストリート ジャーナル>はを北韓の‘圧迫外交’と表現した。 北韓が米国人を人質に取って交渉を引き出そうとする方式に米国が呼応してはならないという否定的な世論を代弁したものと解釈される。
北韓がペ氏をどのように処理するかはまだ未知数だ。 2009年8月、韓国系ユナ・リと中国系ローラ リングなど米国人女性記者と2010年の米国人アイジャロン コムズの不法北韓入国事件を見れば、北韓は釈放過程でビル・クリントン、ジミー・カーターなど前職米国大統領が北韓を訪問するよう誘導した。 2人の前職大統領を彼らを対話のメッセンジャーとして活用しようとしたのだ。 しかし今回の事件でも高位要人北韓訪問→釈放→対話という既存のパターンが再現されるかは断定し難い。 現在、北韓は米国の条件付き対話提案にも応じずにいる。
ただし2011年に抑留した韓国系米国人チョン・ヨンス氏は刑事処罰をせずに釈放した。 当時はロバート キング米国人権担当特使とカーター前大統領、フランクリン・グラハム牧師などの要請に従った行動だった。
カン・テホ記者 kankan1@hani.co.kr