龍山区庁-暴力組織-財閥建設会社-再開発組合のねばっこい関係…
本当に‘とても良い捜査’のために明らかにしなければならない事
■イム・ジュファン,チョン・チョンフィ,ユン・ウンシク
←6人の命を奪った龍山4区域再開発現場。聳え立つ住商複合アパート周辺には撤去を控えた建物が廃虚のように放置されている。
龍山撤去民惨事の真の‘背後’がその輪郭を表わした。<ハンギョレ21>は借家人と警察など6人の命を奪ったソウル,龍山区再開発4区域一帯で暴力組織,財閥系列建設会社,地方自治体,地域土建勢力が一ケ所に絡まって各種不法・違法を行った現場を追跡した。
住民を代表しなければならない再開発組合は暴力組織出身で龍山区議員を務めた人物に整備事業用役と施行を任せた。整備事業用役業者(整備業者)は各種許認可申請と事業進行を担当するコンサルティング会社であり再開発の核心主体だ。時には施行社を兼ねたりもする。龍山4区域再開発組合は問題の整備業者である(株)パークアンドシティが市場慣行に反する暴利を得ることを容認した。
(株)パークアンドシティ会長がこの間のマスコミの報道と検・警察調査にはあらわれなかった第3の撤去用役業者を経営し龍山4区域借家人たちを追い出す先頭に立ったという疑惑も提起されている。
三星物産と龍山区庁が整備業者および撤去業者と結んだ‘ねばっこい’縁の一部も新しく露見した。借家人撤去とは関係ないと強弁してきたこの間の主張と違い、三星物産は再開発組合が撤去用役業者と契約を結ぶ過程でこれら業者に対する管理責任を負うことにした。開発推進期間中ずっと再開発組合執行部を相手にロビー活動を行った三星物産職員は、昨年撤去用役業者であるホラム建設に席を移したと多数の取材源が証言した。
暴力組織を背景とした整備業者と事業の許認可権を持った龍山区庁との癒着関係を疑うに足る情況と証言も出てきた。<ハンギョレ21>は龍山区庁の前職幹部が(株)パークアンドシティの役員として在職しているという事実を確認したし、パク・チャンキュ龍山区庁長は(株)パークアンドシティ会長が運営する食堂に常連として出入りするほど‘格別の関係’を維持してきたという多数の証言が出てきた。
ヨンサン参事の真の背後は再開発組合-暴力組織-財閥建設会社-区庁の‘四角同盟’だ。これらのむき出しの欲望が龍山4区域でどんな違法・不法を犯したのかに対して検警は目を瞑っている。去る2月11日、ハン・スンス国務総理は惨事原因を借家人たちの暴力せいにした検察の捜査発表を“すばらしい捜査結果”と評価した。本当に‘すばらしい捜査’を行うつもりがあるならば、以下の疑惑を一つずつ明らかにしなければならない。
↑惨事が起きた直後、龍山区庁は‘横車を押す人は民主市民待遇を受けることができないので自制してくれ’という警告板を取り外して再開発以後の龍山の予想全景を入れた看板に交替した。
★非常に高い整備用役費
龍山4区域再開発組合は去る2006年11月(株)パークアンドシティと都市環境整備事業 業務用役契約を締結した。総報酬金額は延べ建築面積に坪当たり9万ウォンを掛けた金額と定めた。4区域の延面積は38万5429㎡(約11万6千坪)だ。都合105億ウォン余りのお金を再開発組合が(株)パークアンドシティに支給することにしたのだ。ある整備用役業者関係者は「坪当たり3万~5万ウォンが相場だが龍山4区域では2倍を支給した」として「地主(組合員)らの負担額が大きくなるばかりの契約を組合が結んだことは一種の背任」と話した。
<ハンギョレ21>が入手した業務用役契約書によれば、基本的な業務用役費は坪当たり3万ウォンだが、組合設立認可前の推進委員会の時から組合清算段階まで長期間が必要とされる用役実費名目で坪当たり2万ウォンが追加されている。これに加えて契約書第9条は‘業務条件’が達成されれば追加で坪当たり4万ウォンを支給することにした。
第9条に提示された業務条件には基本業務以外に地区単位計画変更,建物高さ約150m,容積率約720%,住居比率約40%,5ヶ区域統合および地下統合などが含まれている。ところがこういう条件は用役費を高めるための見せ掛けという証言が出てきた。4区域再開発推進委員会に参加したある関係者は「(株)パークアンドシティと契約を結んだ当時、龍山区庁などの許認可が終わり該当条件がすでに達成された状態であった」として「お金をより多く上げるために契約書を飾ったもの」と主張した。別にやることもないのに虚構の名目で市場慣行の二倍を越える莫大な利益を整備業者に保証したという話だ。これに対する弁明を聞くためにイ・某4区域組合長に電話をかけたが、「言論に話すことはない」という返事だけが帰ってきた。
★未登録整備業体に仕事を任せた組合
(株)パークアンドシティの無許可営業可否も論議の的だ。整備業者選定は2006年6月に開かれた4区域組合創立総会で追認された。当時組合設立推進委は(株)パークアンドシティが推進委承認の為に必須な住民同意書を受け取るといいういわゆる‘同意書受領運営代行(OS)費用’を負担したという点などを根拠に追認を貫徹した。
住民たちの印鑑を受けてくるOSは再開発過程で多数の住民たちの意志がわい曲される最初の段階だが4区域でOSが進行された時点は3年前の2003年頃だ。(株)パークアンドシティは2005年3月会社設立と同時に整備業者としてソウル市に登録した。(株)パークアンドシティが登録もしてない状態で2003年頃からOS業務を進行しており、再開発組合は無登録業者の整備業務を認めてくれと組合員らに要求したわけだ。
こういう疑惑に対して(株)パークアンドシティの高位幹部は「詳しい内容は当時の関係者がいなくて確認が大変だ」としながら「‘都市および住居環境整備法’(都整法)に手数料基準条項が最初からないので他の業者より(整備用役費を)たくさん受け取ったからと問題になる必要はない」と話した。
↑民主労働党龍山4区域借家人分会事務室がある惨事現場近隣建物の壁には住民たちが‘殺人警察立入禁止’という警告句が書かれている。
★暴力組織出身の区会議員が整備業者の会長
(株)パークアンドシティの登記上の代表は20代のイ・某(29)氏だ。しかし会社の実際運営は彼の父親イ・某(56)会長が受け持っている。イ・某会長はどんな人物であろうか?汎西方派に属したある組織暴力団員は「イ会長は龍山で力を使う方だが刑務所でキム・テチョン氏に会い義兄弟の縁をを結んだ」と話した。暴力組織派閥に明るいある警察関係者は「イ会長がソウル リバーサイドホテルで酒場を経営したし政界などにも知人が多くて多少のことではびくともしない人物」と説明した。
イ会長は1995年6月第2代龍山区議会議員に選ばれたが、1996年2月暴力・恐喝などの疑惑で拘束され議員職を失った前歴がある。自身が経営するナイトクラブに出演を忌避した歌手を脅迫して8千万ウォンを要求し3億2千万ウォンの税金を脱税した疑惑であった。拘束半月後イ会長はマフィア映画に出てきそうな暴力団の企業型組織管理事例として世の中に知られた。1996年2月21日付<ハンギョレ> 22面記事によれば、当時検察は青松刑務所に収監中だった汎西方派頭目キム・テチョン氏が部下の組織員を利用して日本ヤクザとの連係,政界要人接触および保護勢力構築などを企図したという事実を明らかにした。当時キム・テチョン氏は暴力組織‘O派’の頭目として拘束されたイ会長に龍山区議会議員選挙に出て当選した後、本格的な政界進出を試みろとの内容の手紙を伝達した。
★組織暴力と区庁長の親密な関係
イ会長は周囲の人々に政治家たちとの親密なよしみを誇示して通ったと伝えられている。パクチャン・キュ龍山区庁長は龍山区議会で1・3代区会議員を務めイ氏は2代の区会議員だった。ソウル,龍山区,漢南ニュータウンのある再開発推進委関係者は「同じハンナラ党側の人々だが過去にはそれほど親しくなかったが龍山区庁長補欠選挙に出てきたパク・チャンキュ氏をイ会長が積極的に助けて互いに近づいた」と主張した。現在龍山区,忠清郷友会会長がパクチャン・キュ区庁長だがイ会長は同じ集いの副会長を受け持っている。
ある龍山区庁職員は「パク区庁長は外部行事のようなものを終えた後にはイ会長が龍山区,漢江路で経営するS炭焼カルビに職員たちを連れていきしばしば会食する」と話した。地下1階,地上3階で建坪645㎡(約195坪)規模のS炭焼カルビ建物の登記簿謄本を確認した結果、(株)パークアンドシティが2007年4月買いとり現在まで所有している。
去る2006年9月と2008年4月、龍山区庁に勤めていた2人の都市管理局長が管内工事受注を助ける代価として業者からわいろを受け取り拘束されたことがある。区庁長と整備業者会長の‘親密なよしみ’が世間の疑惑を買うにはそれ相当の理由があるということだ。<ハンギョレ21>は再開発分野の専門家でソウル市庁と龍山区庁で仕事をした幹部公務員が(株)パークアンドシティ役員に移ったことも確認した。彼は「定年退職後、離職し現在適法な営業をしている業者だから問題になることはない」と話した。
↑去る2月6日、龍山4区域再開発組合代議員会の資料集の1ページ。一番上に‘モノエスエンイ’という用役業者の名前が印刷されている。
★三星物産の幸運?
暴力組織と区庁・区議会が共に登場する‘龍山コネクション’のまた別の主人公は三星物産だ。龍山4区域再開発が議論された2000年代初期、複数の再開発組合設立推進委員会が乱立した。その中で一部は推進委員長が不正と関連して落馬するなど産みの苦しみを経た。現在の再開発組合は2007年に設立された。こういう混乱の中でも三星物産建設部門,大林産業,ポスコ建設など3社で構成された施工社コンソーシアムは揺らがなかった。
三星物産など施工社は現在の再開発組合が正式設立される4年前の2003年にすでに再開発推進委員会から5992億ウォン(坪当たり512万ウォン)の再開発工事を射当てた。当時、三星物産などは推進委員長だったキム・某氏の口座に‘入札保証金’ 10億ウォンを送金することもした。組合が正式設立される前にすでに事業契約を結んであったということだ。ある大型建設業者関係者は「去る2003年7月、都整法が作られる前には建設会社が‘未来の再開発組合執行部’を相手にロビー活動をするのに該当地区ごとに数十億ウォンずつ使うのが慣行だった」と話した。しかし三星物産などが契約を結んだ当時、推進委は住民間の紛争で解体され契約も自然に無効となった。
三星物産などとしては‘追った鶏’をのがす危機に瀕したもようだが、ことはそのようには進まなかった。龍山4区域のある再開発組合員は「2007年初めに新しく設立された4区域組合は当初、都整法を避けて競争入札なしに施工者を選んだ推進委の決定を認めるように組合定款を定めた」と話した。これに伴い組合は翌年10月三星物産など3社を施工者として再選定した。3社の持分比率(三星は40%,ポスコと大林は30%)まで2003年の契約そのままであった。
★三星物産職員が撤去業者理事に
三星物産はこの間、自分たちは施工を引き受けただけで惨事を起こした張本人の撤去業者とは関係がないと抗弁してきた。果たしてそうだろうか? 興味深いのは龍山4区域住民たちの大部分が三星物産のキム・某前課長が1年余り前にホラム建設の理事に移ったことを記憶しているという点だ。ある住民は「ある結婚式場でキム課長が‘ホラム建設に移った’として新しい名刺を配ったことがある」として「大企業からなぜそんな会社に移ったのかと尋ねたが、そのまま笑っているだけだった」と回顧した。用役業者ホラム建設はソウル,麻浦区,阿峴洞など三星物産の再開発現場のあちこちで撤去用役を射当てた‘協力会社’であると知られている。
←2005年5月17日警察関係者たちが不正疑惑がふくらんだソウル,蚕室住公3団地再建築組合を押収捜索している。 連合
キム課長はホラム建設理事に移る直前まで三星物産で年俸3千万ウォン程度を受けとる嘱託社員で龍山4区域で再開発組合関連業務などを引き受けていた。ある再開発業界関係者は「三星物産はソウル地域の場合、区別に事業所を置くが、1つの区には普通5人程度の本社職員が出てきて再開発事業の営業を行う」として「キム前課長は三星物産と契約を結び2年余り4区域現場で仕事をした」と明らかにした。
‘イ・ミョンバク政権龍山撤去民殺人鎮圧汎国民対策委員会’は去る2月7日施工社らが撤去業者を管理・監督するという内容が盛り込まれた撤去用役契約書を公開した。組合と撤去用役業者ホラム建設が2007年10月31日に結んだ契約書によれば、三星物産など施工社らは‘工事監督官’として用役業者の業務全般を管理する役割を受け持つようになっている。また撤去用役企業等は2008年6月30日までに撤去を終わらせられなければ一日につき契約金額の1千分の1である510万ウォンを遅滞補償金として払わなければなければならないと明示されている。
★第3の撤去業者がいる
去る2月6日ソウル,龍山区のある新聞社の地下1階大講堂では4区域再開発組合の第13次代議員会議が開かれた。6人の命を奪った惨事の記憶がまだ冷めやらなかったが、この日の会議では組合の予・決算および各種用役契約に対する追認案件を決議した。イ・チュンウ組合長は開会辞で「(火災惨事は)決して起きてはいけない残念な事故だったが、組合員皆が死活をかけて夢と希望を込めて5年を超えて努力してきた私たちの事業」として「もう最後の過程を残してためらっていてはいけない」と明らかにした。
何の案件がそのように急だったのだろうか? 代議員会の上程案件中には‘予算に定めた事項以外に組合員の負担になる用役契約の追認’が含まれていた。ここで登場する用役会社の名前が‘モノエスエンイ(S&E)’だ。この業者の業務内容は‘不動産占有移転禁止仮処分執行,明け渡し執行,借家人集会防御用役’等と記されている。これまで言論に報道されたホラム建設とヒョンアム建設以外に龍山4区域に介入した第3の‘撤去用役業者’があり、これらが全撤連をはじめとする借家人たちと戦う役割を遂行したという意味だ。用役費用は一日344万7千ウォンずつ、計6億2千万ウォンに達すると記されている。
モノエスエンイの実体は何だろうか? この間、龍山4区域借家人たちは撤去用役職員の中で龍山一帯で商売をする人々がいると話してきた。反面ホラム建設とヒョンアム建設など2ヶの撤去用役業者は「私たちの会社には4区域住民出身の職員はいない」と一様に話した。借家人たちが目撃した‘地域出身用役職員’の主人公がモノエスエンイである可能性が高い。
その上モノエスエンイは(株)パークアンドシティとも連関されている。 (株)パークアンドシティの高位幹部は「モノエスエンイはイ会長の息子が社長である会社だ」と確認した。イ会長の息子が二つの会社の社長を兼ねているということだ。龍山4区域再開発組合関係者は「この会社が一部住民たちに撤去民と戦う業務を下請けで与えるかと思えば、他の撤去用役企業等を指揮する役割を遂行してきた」と話した。また別の龍山4区域住民は「ホラム・ヒョンアムよりはるかに恐ろしいのがモノエスエンイ”として「私に会ってこういう話をしたという事実も徹底的に秘密にしてくれ」と頼んだ。
撤去惨事と関連して龍山4区域借家人たちは、この間‘ポリシア’と書かれた盾を持っている撤去用役職員らの正体について疑問を表わしてきた。「他の撤去用役会社職員たちは皆知っているが、その日盾を持っていた彼らは初めて見る顔」という主張だった。彼らは果たしてどこからきたのだろうか? 暴力組織捜査に明るい警察のある核心関係者は「イ会長が龍山4区域再開発と関連して木浦派,東亜派などのごろつき50~60人を連れて行き友人のオ会長という人物に渡して出て行ったと理解している」と話した。撤去用役業者を動員しても足りなくて‘本場’の組織暴力団まで借家人撤去に動員したということだ。
取材過程で会った地域整備業者関係者と近隣住民たちは「(株)パークアンドシティはもちろんホラム・現癌建設まで皆イ会長の息のかかった業者だが、はやく撤去を進めて金を受け取ってこそ漢南洞ニュータウン開発に飛び込む事業の元手を用意できるという事情が龍山惨事を招いたのでないか」と話した。無茶苦茶な撤去惨事をもたらした背景には‘金は時間’という怪物がかくれていた。そして施工社,再開発組合,地方自治体にまで暴力組織が深々と介入した‘金賭け’に共に飛び込んだということだ。
↓龍山4区域再開発関連関係図/龍山4区域再開発日誌および問題点
イム・ジュファン記者eyelid@hani.co.kr・チョン・チョンフィ記者symbio@hani.co.kr
写真ユン・ウンシク記者yws@hani.co.kr
原文:http://h21.hani.co.kr/arti/cover/cover_general/24348.html 訳J.S