"事態の背後にオバマ" 等 観測乱舞の中でリコール事態は佳境に入る(1983字)
□チョ・ケワン
1980年以来の去る30年余りは十分に‘トヨタの時代’だった。1・2次オイルショックが席巻した当時、高い燃費を前面に掲げた‘小型車’トヨタは米国のビッグ3(GM・フォード・クライスラー)を圧倒し猛烈に米国本土を疾走した。米国を恐怖に震えさせた‘日本株式会社’は事実、トヨタ株式会社と同義だった。‘品質のトヨタ’を見習おうと全世界から数多くの経営者,企業役員,労働組合関係者,学者らが日本トヨタ工場を訪問した。トヨタ システムは 2次大戦以後の資本主義黄金期を開花させたフォード大量生産システムに代わる新たな生産体制として浮上した。全世界の自動車メーカーがトヨタ システムを自国に移植しようとトヨタを学び本国にトヨタ合作工場を矢鱈に建てた。
急発進事故 数ヶ月後 なぜ今になって…
そのようなトヨタ帝国が突然‘終末論’に陥っている。事実、大部分の自動車業者でもリコールは時々おきることだ。だが今回は全く事情が違う。米議会がトヨタ聴聞会を準備し、日本政府がこれに不満を表明し、政治的解釈も乱舞している。品質問題を越え両国間で感情が表出される様相だ。事実トヨタは昨年10月初めトヨタ車両の床マットが加速ペダルに挟まり問題を起こしうるという点が指摘され、米国で大規模リコールを断行した経緯がある。その後、静まったが去る1月21日、加速ペダル自体の欠陥が再び浮上し、巨大なリコールのうずに陥っている。
一部ではトヨタがかなり以前から分かっていた欠陥を無視し続けていたために、より大きな災いを招いたと指摘する。しかし他方では「車両床マットによる急発進事故が起き、数ヶ月が過ぎた今になって、なぜ米国全国がトヨタ問題で揺れ動いているのか疑問」と首をかしげる。米国<CNBC放送>は2月4日(現地時間)ホームページに‘トヨタ株式やトヨタ自動車を買うだろうか?’という題名の緊急アンケート調査を始めた。トヨタ株式購入の意向まで尋ねている。米国言論らは 「トヨタ車両内の速度調節システムの誤作動誘発の可能性を調査している」という匿名の米国交通当局官吏の話を競争的に打電している。同時多発的に日本車叩きに出ているということだ。労組も一役買っている。<ウォールストリート ジャーナル>は 「全米自動車労組(UAW)がカリフォルニア フリーモント所在トヨタ工場の閉鎖問題を今回のリコール事態と連係させる兆しを見せている」と報道した。
レイ ラフード米交通部長官は敢えて「米国消費者らはトヨタ運行を止めなければならない」と話し、論難を呼び起こすことまでした。
これと関連して米国の一部自動車マニアたちはブログで 「トヨタ経営陣はオバマ行政府に対して怒っている。トヨタ リコール事態は米交通部の圧力による結果」として、政治的陰謀説を提起している。トヨタ消費者の安全は米交通当局の真の関心事ではなく、米国が救済金融を受けたビッグ3自動車販売量にドライブをかけるためにトヨタ リコール事態を一貫して煽っているという話だ。これらは 「加速ペダル欠陥を示したトヨタ車は300台未満であり、若干の費用をかけて修理をすれば直せるにも関わらず、米行政府が率先して即刻大規模リコールを要求している」と話す。
GM, オバマ政府が大株主の国営企業
トヨタの長年のライバルであるGMは破産保護を経ながら今やオバマ政府が大株主の国営企業のようなものだ。没落したGMとフォードは今トヨタ・レクサス顧客だった人が車を買う場合、最大1千ドルの補助金を与えるイベントを緊急施行している。
トム・ヘンダーソンGMスポークスマンはこういう話もした。「リコールと販売中断事態が広がれば、消費者の最も大きな悩みはトヨタ中古車の価値だ。」中古車価格が下がれば素早く売って他の車を買えという話だ。事実、今回のトヨタ リコール事態の核心は中古車価格にある。中古車価格は新車を選択する際に最も重要な考慮変数だ。トヨタに対する全方向波状攻勢が続けば、トヨタ中古車価格は大幅に下落し、トヨタは回復不能な傷を負うことになる公算が高い。トヨタが米国本土を疾走し、結局 巨人GMが倒れたが、いまや米行政府と言論が巨人を救うためにトヨタをなぎ倒しているということだろうか? あらゆる陰謀説が飛び交う中で、トヨタ リコール事態は不幸と幸福が交差する佳境に入っている。
チョ・ケワン記者kyewan@hani.co.kr
原文: 訳J.S