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‘人事の季節’大企業役員になれば…年俸2倍に上がり3千cc乗用車

原文入力:2011/12/12 22:08(2199字)
確率は0.6% ‘生き残った者の喜び’
キム・ジンチョル記者


ゴルフ会員券・ビジネス席
退職後まで優遇‘たっぷり’
LG・三星 最も破格的
権限に合わせて責任も大きくなり
‘役員=臨時職員’不安も


4大グループ部長、常務昇進時に変わる待遇


  ナ部長は夢のようだった。4年を超えて部長として骨身を削って働いたのが実を結んだ。‘ナ常務’になった。 それも屈指の大企業で。 確率0.6%の勝負に勝った。 職員100人に役員1人が出てくるかどうかと言うほどだから。新入社員から部長になるまで、星を見ながら出勤し、星を数えて退勤してきた20年の歳月がまるで走馬灯のように脳裏をかすめる。会社でくれる車も選んだ。待ちに待っていた中大型黒色3000㏄新車に。ゴルフ会員券も受け取り、もう外国出張に行く時は狭いエコノミー席で我慢することもない。何よりも月給通帳が重たくなる。部長の時に受け取った月給のほぼ2倍だ。 毎朝一人で使う執務室に出勤すれば秘書が尋ねるだろう。「常務様、お茶は何になさいますか?」誰よりも妻がにっこり笑うだろう…。月給のためだけではない。 夜遅くまで酒びたりで退勤するナ部長を見て妻は痛ましがったりもしたが、時にはあてこすられもした。「あなた、家庭を捨てて会社に献身したんだから昇進はできるんでしょ?」そうだ、やり遂げた! これからは妻は夫と共に最高級健康診断を受け、5つ星のホテルで役員夫人らどうしの親睦会にも行くようになる。ゴルフをはじめ各種趣味と素養教育も会社側から提供される。高3と大学生の子供たちも、妻がさせたのか携帯メールを送ってきた。「お父さん、おめでとうございます。」 同窓会で友人らに会ったり、名節に知り合いが集まる時にも自慢できるというものだ。

  年末の主要グループ人事の季節、多くの部長が常務昇進を夢見る季節だ。4大グループの中でLGグループはすでに役員人事を終え、三星グループは13日に役員人事がある。現代車グループは今月末に人事を控えており、SKグループは日程が決まっていない。


  国内職員20万人中1700人だけが役員である三星、国内外あわせて20万人の職員に対し役員は700人だけのLGのように、役員になるということはほとんど‘ミッション インパッシブル’だ。 最近の経営者総協会(経総)の調査によれば、大卒新入社員が大企業役員になる平均確率は0.6%で、2005年(1%)より難しくなり、23.6年という長い歳月がかかる。難しいだけに役員待遇も破格的だ。


  破格的といえばLGが最高だ。部長から常務へ昇進すれば年俸が100%上がり、成果給付与幅も部長である時より更に大きくなる。すべての役員にはゴルフ会員券を与え、常務は3000㏄級乗用車も受け取る。外国出張の際にはビジネス席航空券を利用する。


  三星もLGと同様だ。ただしゴルフ会員券は対外業務を引き受ける常務だけが受け取る。SKは同様な恩恵を常務に与えるものの、給与上昇幅が他の企業より低い方で、役員ごとに差が大きい。4大グループの中では現代車が最もせちがらい。給与と航空券はアップグレードされるが、自動車企業であるのに乗用車は専務以上に支給され、ゴルフ会員券も役員だからと無条件に与えはしない。ポスコ・GS・斗山(トゥサン)なども少しずつ差はあるが、たいてい常務には3000㏄級乗用車とゴルフ会員券、外国出張時のビジネス席が与えられ年俸もぐんぐん上がる。


  しかし役員昇進の喜びは短くて負担は長いのが現実だ。ナ常務も昇進する時は良かったが、責任がとてつもなく大きくなった。 また、1年後にどうなるかも分からないという不安感も出始める。それではどうすれば良いのか。できるところまで生き残り、さらに上がるために最善を尽くす方法以外にない。 三星グループのある常務は語った。「部長の時は役員の決裁を受けたが、今は部長に決裁をするということが変わりましたよ。権限が大きくなったこと以上に責任がはるかに重くなりました。" 役員(イムウォン)は‘臨時職員(イムシチクウォン)’の略語だとも言う。 1年の契約期間だけが保障されいつでも‘家へ帰れ’と言われればきれいに机を片付けなければならない。現代車のある常務は「特別に退職以後を準備する余暇はない。ひとまずくっついていられる時まで最善を尽くし仕事をして、だめになればその時になって考える」と話した。


  実際に常務昇進1~2年で会社を離れるケースもあり、会社ごとに差はあるが専務に昇進しようとすれば普通6~7年は常務時期を過ごさなければならない。この時間を過ごしても昇進通知がなければ服を脱がなければならない。 常務からさらに上がることができなくて押し出されたとしても、通常は短くて1年、長くて2年まで役員に準ずる待遇を受ける。70%程度の給与を保障し事務室を使わせてくれる。専務以上で退職する時には期間が更に長くなり恩恵はさらに多くなる。


キム・ジンチョル記者 nowhere@hani.co.kr ,産業チーム総合


原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/509849.html 訳J.S