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[ニュース分析] 危機の世界経済…解き放つ金も消防士もない

原文入力:2011/09/24 01:21(1873字)
リュ・イグン記者

IMF総裁 "3年前の金融危機より危険な局面"
財政難・景気低迷‘二重の罠’
金融市場パニック状態に
新興国へ危機伝染中

22日(現地時間)昼12時、米国、ワシントンの国際通貨基金(IMF)建物内では職員と記者数百人が1階ロビーで開かれた英国<BBC>放送の討論プログラム‘ワールド ディベート’に耳をそばだてていた。国際通貨基金と世界銀行年次総会を翌日に控え、どん底に陥った世界経済を救う妙案を期待する目つきで埋まっていた。しかし、クリスティーン ラガルド国際通貨基金総裁は解決策を投げかけることはできなかった。彼女は直前の記者会見で現危機を解決することは "3年前よりはるかに難しい" と吐露した。

世界経済が‘二重の罠’に陥っている。急速に伝染するヨーロッパ財政危機と米国のダブルディップ(短い景気回復後の再沈滞)可能性が現実化する中で世界経済が深いどん底へ墜落する局面だ。3年前のグローバル金融危機が迫った時、各国は国の金を解き放ち峠を越したが、今は解く金もなく、速やかな助けを与えるとして立ち向かう救世主もいない。2008年より解決方法を見つけにくいというのもそのためだ。

ラガルド総裁は「(世界)経済が今、危険な局面に入り込んでいる状況」と説明した。三日前、国際通貨基金は世界経済に強い危険信号を送った。世界1,2位経済圏であるヨーロッパ連合(EU)と米国経済が今年各々1.5%、1.6%成長に終わると見通した。ヨーロッパは来年にも事実上の停滞に近い1.1%の低成長を記録すると展望された。ロバート・ゼーリック世界銀行総裁も「世界経済が危険地域にある」と警告した。米国連邦準備制度(Fed)は「米国経済が重大な下方危険を持っている」と指摘した。


患者の疾病状態を最終確認するようなこのような診断に世界金融市場は極度の不安感に震えている。22日の米国とヨーロッパに続き、23日にはアジアでも株価が3~5%内外下落するなど世界証券市場は大きく墜落した。財政危機を体験する国々の国債と銀行債の価格は大幅に下落し金融市場はパニック(恐慌)状態に陥った。


バラク・オバマ米国大統領が4470億ドル(約530兆ウォン)に及ぶ景気浮揚策を出し連準備理事会が長期債券を大挙買い入れる4000億ドル規模の金融市場安定策を出したが、市場には失望感を抱かせただけだった。 米国は来年までに4兆ドルの借金を減らす緊縮財政を組まなければならない境遇で、9%台の高い失業率と1%台の低い成長率を抜け出すための財政拡大政策を同時に展開しなければならない進退両難の状況だ。


←GDP対比 国家負債増加規模/今年度 経済成長率 展望値 下方調整


G20経済首長ら "国際共助で対応" 宣言文


ヨーロッパ連合は二ヶ月前に4400億ユーロ(約700兆ウォン)のヨーロッパ財政安定基金(EFSF)を作ることに合意したが、多くの国で議会の同意を得られず遅々として進まない状態だ。ヨーロッパでは景気を浮揚させるために1.25%の基準金利をさらに下げなければならないという話が出る程、実物経済が急速に凍りついている。


先進国は危機を進化させる余力と能力を示せずにいる。国際通貨基金・世界銀行年次総会を控えて中国とブラジルなど新興国が注目される理由だ。イガン中国人民銀行副総裁は22日、ワシントンで 「ヨーロッパ財政危機の実質的解決法はヨーロッパが自ら探さなければならない。私たちの支援には限界がある」と一線を画した。危機はすでに中国を含む新興国に徐々に広がり始めた。国際通貨基金は中国とインドの今年と来年分の経済成長率展望値を低くした。


この日、国際通貨基金年次総会に参加した主要20ヶ国(G20)財務長官と中央銀行総裁は予定になかった共同宣言文(コミュニケ)を採択し世界経済に垂れこめた暗雲に対し国際共助で対応しようと誓った。オバマ大統領も国際社会に世界経済の危機に対抗した共助を注文した。しかし言葉での共助ではなく実際に拘束力のある行動につながる可能性は高くないというのが今回の年次総会会議場で流れ出た話だ。


ワシントン/リュ・イグン記者 ryuyigeun@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/497738.html 訳J.S