原文入力:2011/08/31 20:38(1876字)
イ・ジェミョン記者 キム・ジフン記者 イ・ジョンア記者
多重債務者1年間で急増
「1ヶ月に80万ウォン稼ぐのに、カード利子だけ月50万ウォン」
「クレジットカードのキャッシングを使うにつれ、崩れ始めました」。31日、ソウル中区明洞の信用回復委員会(信服委)事務室で会ったイ・ミョンス氏(仮名・44)は、かろうじて口を開いた。イ氏はこの日、信服委から「事前債務調整」(プレワークアウト)の承認を受けた。イ氏の暮らしむきが苦しくなったのは、昨年、勤務先の建設会社が不渡を出してからであった。「不況で失職の1年前から月給を受けられませんでした。代行運転をしましたが、1ヶ月の収入は80万ウォンにしかならなかったです。生活費などに必要な170万ウォンにはまったく足りませんでした」。借家に移って支出を減らしたが、1年以上、持ちこたえるのは大変だった。イ氏はしかたなく、6ヶ月前からクレジットカード5枚でキャッシングを使い始めた。金を借りて借金を返す自転車操業であった。「1ヶ月の利子だけで50万ウォンでした。借金が雪だるまのように大きくなったのです」。カード1つが滞ると、すぐに相次いで他のカードも利用停止にされ、結局イ氏は信服委を訪れた。
イ氏の事例は低所得・低信用階層が、どのように借金のどん底に陥るかを示す典型例だ。失職、事業失敗、病気などで所得が減り、借金をすることになり、結局、金を借りて借金を返すしかない状況に追いこまれることになるケースだ。信用回復委員会と信用情報会社などの資料を総合すると、こういう自転車操業型低信用債務者が、昨年から数を大きく増やしている。その上、景気が鈍化して政府が家計貸出の手綱をつかんでおり、イ氏のように限界状況に追い込まれた階層が追加で、債務不履行者の門の敷居を越える可能性が高くなっている。
自転車操業で持ちこたえている債務者たちの正確な実態を把握するのは難しい。単に、様々な金融機関から借り入れている「多重債務者」の規模から推定するだけだ。ハンギョレが信用回復委員会に依頼して、今年上半期に事前債務調整を申請した5731人を分析した結果、3ケ所以上から借金をしている多重債務者の比率が、何と84.4%に達した。6ヶ所以上だと答えた場合も27.3%もあった。カード会社・貯蓄銀行などの様々な金融機関に高い利息を払いながらの自転車操業がうまくいかなくなり、債務調整を要請するに至ったのだ。特に世帯主の地位にいる30~40代が全体の68%を占めており、場合によっては家庭崩壊のような社会問題に発展する可能性も高い。
すでに事前債務調整をする前の段階から、多重債務者が急増している。低信用者たちが最も手軽に利用するカードローンの貸出者中の多重債務者は、2009年末163万人から昨年末191万人と、わずか1年間で28万人増えた。多重債務者の比重も2009年54.6%から昨年57.3%に増加した。ナイス信用情報関係者は「2010年から本格的に多重債務者の比重が増加し始めた」と話した。
これは2003年カード事態の経験を思い起こさせる。2000年末、クレジットカード貸出中、40.7%に留まっていた多重債務者比重が、2002年末には57.2%に急騰して債務不履行者が続出し、結局、カード大乱に飛び火した。警告燈はすでに灯ったということだ。金融監督当局のある関係者は、「貯蓄銀行の場合、30日以上の延滞者中、貸出金を結局返せない比率が80%を越えるほど、小額信用貸出不良が大きくなっている」として「これを放置する場合、不動産プロジェクト・ファイナンシング(PF)不良に続き、金融不安の新しい雷管になることになり得る」と指摘した。
金融専門家たちは自転車操業で限界状況に達した低所得・低信用階層が急増しているだけに、政府がかれらの負担を減らすために積極的に乗り出さなければならないと話す。参与連帯のイ・ホンウク弁護士は「多重債務者が債務不履行者という苦痛に陥る前に、債務調整を通じて負担を減らすことで、社会的費用を減らすことができる」として「これらの延滞規模、所得状態などを考慮した、細かい対応が必要だ」と話した。
イ・ジェミョン、キム・ジフン記者 miso@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/494313.html 訳M.S