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8千店 協同組合 有機的協力…解雇事態なしに金融危機 克服

原文入力:2011/07/03 23:12(3980字)
イ・スボム記者

ヨーロッパ対案経済の力 協同組合企業を行く-エミリア・ロマーニャ地域の成長

←イタリア、エミリア・ロマーニャ州のボローニャ市郊外にある大型生協売り場入り口。ボローニャが協同組合の天国であることを物語るように、売り場には協同組合企業らが生産した1次農産物はもちろんワイン・チーズ・コーラ・カミソリなどあらゆる商品がいっぱいに陳列されている。

組合らコンソーシアムを設け
大規模事業も‘てきぱき’
店を閉める組合の職員は他組合が雇用継承
金融危機時も成長…‘信頼経済’の標本に

無限競争資本主義の代案モデルとして協同組合が注目されている。協同組合は2008年、金融危機に企業の成長と雇用の安定を維持しながら光を放った。ヨーロッパの一部地域で、また特定事業領域で市場経済の一つの軸に位置した。大企業偏重・市場万能主義が広まった我が国でも、協同組合が有力な経済モデルになりうるだろうか? アイコープ生協研究所と共に先月6~17日、ヨーロッパの協同組合企業らを見て回った。

イタリア北部エミリア・ロマーニャは大企業らしい大企業がない独特の経済モデルで成長と雇用安定の奇跡を成し遂げた。1950年代までイタリアで最も貧しかった人口430万人のエミリア・ロマーニャ州は、今では1人当り所得4万ユーロ(約6000万ウォン)でヨーロッパでも指折りの金持ち地域に変貌した。特に財閥の圧縮成長を踏み台にした‘漢江の奇跡’と対照的な道を歩んだという点で私たちの関心を引く。新しい社会を開く研究院のチョン・テイン院長は「平均5~6人の小企業が40万ヶにもなり、規模の大きい企業らは半分以上が協同組合」とし「協同組合と協同組合、そして中小企業が互いに協同しながら信頼経済の奇跡を成し遂げた」と話した。

エミリア・ロマーニャ州の総生産の30%は8000ヶの協同組合企業で創出されている。首都のボローニャのような都市地域は45%まで協同組合の経済比重が上がる。外部資本の調達に根本的限界がある協同組合経済が代案を越え主流経済にまで上がることがどうして可能だったのだろうか? 最も重要な解答の糸口は、やはり協同組合間の協同だった。協同組合どうしでコンソーシアムを構成するかと思えば、生協が協同組合生産品の販路の役割をし、店を閉める協同組合の職員は他の協同組合で雇用を吸収する形だった。

サンナチャロに新しく開業した子供の家は協同組合コンソーシアムの良い事例だ。教育と社会サービスを提供する労働者協同組合であるカディアイ(CADIAI),施工を引き受けた建築協同組合チペア(CIPEA),団体給食協同組合カムストゥ(CAMST)がコンソーシアムを組織した。カディアイのマーケティング責任者ララ フーリエリは「1個の協同組合でやり遂げられないことを多くの協同組合が力を合わせて成し遂げている」として「11個の子供の家を作り、今後も広める計画」と話した。労働者協同組合のカディアイは教師と社会サービス専門家(労働者)が1人当り1200ユーロを出資し1974年に作った。良い働き口の維持という労働者協同組合の目的にふさわしく、女性労働者には妊娠前後5ヶ月間、平常時給与の100%全額(一般企業は80%)を支給する。

ボローニャの小売市場1位を占めている消費者協同組合(生協)売り場には‘COOP’と表示された商品が無数に陳列されている。 マーケティング力量が劣る協同組合にとって生協売り場は切実で大切な販路である。ボローニャで18年暮らしているキム・ヒョンスク氏は「こちらの人々は市場に行くことを‘コープ(協同組合のイタリア発音)へ行く’と言う」として「商品に‘コープ’表示があれば信頼できる」と話した。

団体給食協同組合のカムストゥは協同の力で倒産危機を克服し、今は職員8000人を越えるイタリア最大規模の給食業者に成長した。パオル ロゼンコ代表は「1978年職員に給与も払えない最悪の危機を迎えた時、取り引き協同組合がパスタと肉をツケや安値で供給した」と話した。協同組合の連帯で危機を克服したカムストゥは80年代以後、他の協同組合と株式会社らを取得しながら常勝街道を疾走した。
ボローニャ大学ステパノ チャマニ教授は「2008年の金融危機を同じように体験したが、エミリア・ロマーニャの協同組合は一人も解雇せず、銀行にも潰れたところはなかった」として「協同組合連帯会議の役割が大きかった」と説明した。連合会は会員の協同組合らから毎年収益金の3%を徴収し積み立て、雇用安定または、事業拡大資金として供給する役割を果たしている。 ボローニャ(イタリア)/キム・ヒョンデ先任記者 koala5@hani.co.kr

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スイス、チューリッヒ都心の協同組合企業ミグロ本社建物。株式会社から協同組合に変身したミグロは世界で‘最も持続可能な企業’としても名声が高い。

国民の28%が組合員‘慎重な投資’年間売上の1%は社会責任事業支援

スイス最大の小売企業‘ミグロ’

創立時から直取引方式を固守
デパート・ガソリンスタンドなど多様な事業
雇用1位…最高人気企業に

1925年に創立したスイスの最大小売企業ミグロ(Migros)は独特の歴史を誇る。初めから‘直取引’という革新的な事業方式を導入した。大企業の隊列に上った1941年には会社を完全に協同組合に変えた。創業者が100万スイスフランだけを別にして、残りは全て協同組合の財産に回した。

2011年ミグロはスイス国民720万人の内、200万人(約28%)が組合員に加入する最大小売企業だ。市場占有率は20%に肉迫し、雇用規模(8万3000人)ではスイスのすべての営利会社と協同組合などをあわせて1位だ。伝説的な創業者コトリプ トトバイロ(1888~1962)は2009年のアンケート調査でスイス国民が最も大切に思う人物の2位に選ばれた。

ミグロでコミュニケーションを受け持っているルチ ウェーバーは「ミグロは常にビジネス以上のものだった」と話した。「グローバル企業らが10~20年前から持続可能性と社会的責任を掲げているが、ミグロは創立時から80年余り一様に社会と環境を考える企業活動をしてきました。持続可能性はミグロのDNAでしょう。」

ミグロは1957年から毎年売上の1%に該当する1億スイスフラン(最近の為替レートで1260億ウォン)を‘社会的責任事業’に使っている。今まで社会に還元した総金額が30億スイスフラン(3兆7700億ウォン)を越える。その半分を‘ミグロクラブ’という各地域に50校ある生涯学校を運営するために使っており、田舎の村で文化公演を開くことにも多くの費用を支援している。

‘社会と環境責任’が隅々まで行き渡っているミグロは何回も世界で最も持続可能な企業に選ばれた。その一方でスイスで最も強力なブランド、最も人気のある企業、最も革新的な企業としても公認されている。ミグロはデパート チェーンと衣類売り場・ガソリンスタンド・銀行・旅行などの色々な事業分野でも大きな成果を上げている。

ミグロのマルチナ ポシャドゥは「協同組合の価値が持続可能なミグロを支える柱」と話した。「私たちは危険な事業や投資をすることはできません。11ヶ地域協同組合が集まった委員会の手続きを通過することが難しいですね。最小時間に最大利益を出せという株主中心の企業形態も存在しません。より多くの利益ではなく値下げをしろということが組合員の要求ですね。」

ミグロのもう一つの価値は‘スイスらしさ’だ。 徹底して地域と国内市場に集中する。組合員と顧客がスイス国民なのに、国外へ目を向ける理由がないということだ。だからスイスで最も大きな企業であるミグロにはグローバル戦略がない。

ミグロの最大競争者は2008年にカルフールの売り場12ヶを取得したコープスイスという協同組合だ。二つの協同組合の小売市場占有率は40%に肉迫する。

チューリッヒ/キム・ヒョンデ先任記者 koala5@hani.co.kr

協同組合とは

協同組合は‘利用者所有企業’だ。事業を利用する組合員が作った企業という意味だ。

例えば町内に一つある農産物店の価格が高い場合、主婦が出資金を集め消費者協同組合(生協)を設立できるだろう。主婦は生協事業の利用者でありながら生協の主人だ。この時、生協の存在目的は価格の安い物を供給しようということだ。物を高く売り協同組合の利潤をたくさん残そうということではない。

株式会社とは違い協同組合の出資金は市場で取り引きされず株式配当もしないことを原則とする。組合員の利用者が誰かによって消費者協同組合と生産者協同組合などに分かれる。労働者協同組合は労働者が作ったもので、その目的は働き口の維持だ。

協同組合は経済的弱者である多数の事業利用者が独占の不当性に対抗するために作った事業体だ。そのために多くの国では非営利企業と見なし独占規制において一定の例外を認めている。協同組合の最も大きな弱点は外部資本調達の困難性だ。歴史のある協同組合は内部積立金を積んでこの問題を解決している。議決権は出資金額と関係なく1人1票が原則だ。

キム・ヒョンデ先任記者

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/area/485645.html 訳J.S