原文入力:2011/06/21 22:38(2262字)
キム・ジフン記者
"金利6%に手数料なしです" 休む間もなく‘誘惑の罠’を仕掛け
ひっかかれば最高44%金利に貸出金の11%‘手数料爆弾’
"持たざる人が持たざる人を食って生きる構造"
生活情報誌の‘電話相談員’求人広告を見て訪ねて行った貸出仲介業者は外見だけ見れば普通の会社と違いはなかった。出入り口には英語で‘○○ Loan Agency’という看板が出ていた。中に入ると読書室のように仕切られた机が40個余りあり、机の上には応対要領、記録紙、ヘッドセットが置かれていた。頑丈そうな体に黒スーツを着た職員らを想像していたが、職員は意外に洗練され態度もおとなしかった。 しかし中身はすべて偽りと不法が大半を占めていた。
記者は去る20日、ソウル、江北地域の貸出仲介業者を訪ね身分を明らかにせずに一日就職した。貸付業者はもちろん第2金融圏が庶民相手に年30%を越える高金利を押し付けている裏面には、不法貸出仲介業者が多段階で挟まり手数料を得るという構造的要因があるためだ。現場体験を通じてその実態を生々しく覗き見ることができた。こちらで名簿を渡せば、貸付業者が高金利貸出に応じる、そのような構造だ。
電話相談員は‘1次’と‘2次’に分かれていた。1次相談員は人々に直接電話をかけ貸出を受ける意向がある人を選び出す。2次相談員は貸出意向者の所得を把握し貸出金額と利率をおおかた決め口座番号と住民登録番号などを知る。貸付業者は2次相談員が選び出した貸出意向者資料の‘DB’(データベース)を土台に最終的に貸出額と利率を決め送金する。
電話相談員が顧客に知らせる情報は全て嘘だった。彼らは会社名を‘三星キャピタル’と紹介した。大企業の名前が入れば人々が警戒心を低めるためだ。記者に1次相談員がしなければならないことを教えた‘室長’は顧客と通話する際に色々な仮名を使っていた。
相談員が使う電話機は‘オートコール’と呼ばれる。シャープ(#)ボタンさえ押せば電話が自動でかかった。室長は「電話番号を無作為に生成してかける」と話した。だが、他の相談員の話は違っていた。ホームページなどから流出した会員情報を買ってくるということだ。彼は「会員情報の質により貸出がうまくいく時もあり、ずっと田舎へかかる運の悪い日もある」と耳打ちした。
1次相談員は‘一ヶ月だけ販売する最低金利6%の貸出商品’という言葉で人々を誘惑した。だが、実際には顧客の経済力を評価し金利を23%から44%まで付ける。顧客が 「必要ない」と言えば、「一ヶ月限定でありどこへ行ってもこんな金利の商品を探すことは難しい」と話し捕まえろと教えた。
手数料がないと言うが、実際には手数料を取る。貸出金の11%を手数料名目で抜いて送ると言った。室長は「顧客は金が切迫しているため手数料として取られたのがいくらでもないと考えそのまま使ってしまう」と話し余裕ありげに笑った。もちろん貸出金から手数料を抜くのは不法だ。
この業者は存在自体も不法だ。全国6ヶ所に支店があるこの業者は、1ヶ所だけ貸付金融協会に登録している。それも2010年に登録したものだ。残り5ヶ所は登録せずに不法営業をしている。室長は「ウチの会社は10年以上営業してきた最高の貸付仲介業者」と自負した。顧客には登録済みの第2金融圏業者だとだました。
室長はこの業者の売上が500億ウォンだと話した。貸付金融協会が公開した平均仲介手数料率は8.17%だ。ここに顧客から取る11%の不法手数料を合わせれば、それだけで年間収入が100億ウォン(年間売上の約20%)内外になるという計算が出てくる。もちろん実際に金を貸し利子を受け取る貸付業者が得る利益はそこには含まれていない。
1次相談員は毎月150万~180万ウォンを受け取る。基本給は120万ウォンだ。それに貸出意向者メモを50枚渡した時から一枚当たり5000ウォンずつのインセンティブを受け取る。一日にメモを最小限2~3枚作って初めてインセンティブが得られる。
このようにして2~3ヶ月仕事をすれば2次相談員になる。2次相談員は平均3億~7億ウォンの貸出を成功させ350万ウォンから1100万ウォンに及ぶ月給を取っていくと室長が説明した。彼は「億台の年俸を受け取る2次相談員も相当多い」と話した。‘部長’と呼ばれる30代後半の男は新型ベンツを駆っていた。服と靴、カバン全てブランドだった。
職員は大部分が20代だった。‘理事’‘部長’‘課長’という呼称で呼ばれる管理者は30代半ばだ。記者が仕事をしに行った日には、大学3年の女子学生2人が面接を受けに来た。室長は「授業料を用意するために夏冬休みと休学期間を併せて仕事をしに来た子供たち」と言いながら「電話相談員には30代に次いで20代が多い」と説明した。滑稽なことに学資金と就職難に苦しむ青年たちに仕事を提供しているわけだ。金融監督院関係者は「募集仲介人は大部分が就職に困難をきたした20~30代」として、貸出仲介業界を「持たざる人が持たざる人を食って生きる構造」と話した。
文・写真 キム・ジフン記者 watchdog@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/483834.html 訳J.S