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輸出増え 景気が良いというが 私の子供は‘失業者’…

原文入力:2010-12-26午後08:10:03(2423字)
[診断&展望] 体感景気と雇用構造
生産性向上…企業投資 増加‘雇用拡大’に連がらず
政府 失業対策の限界…家計のための直接雇用支援策が必要

2010年が暮れ行くこの時点で評価してみれば、概して今年一年の経済は当初憂慮とは異なり良好な成長を続けたことは否めない。株価指数が再び2000を上向き突破する上昇勢を見せている点も良好な成長を反映したものだ。 しかし、意外にこのような景気好転を体感できない人が多い。原因はいろいろあるだろう。その内、輸出が増えても雇用が増えない現在の雇用構造も体感景気不振に一役買っただろう。

1980~90年代を考えてみれば、簡単に現在との差が分かる。当時は輸出が増えれば企業の強い設備投資が続き、新しい設備には多くの労働力が必要だった。すなわち、輸出増加が雇用増加に簡単に繋がり、増えた雇用は家計の所得拡大を持たらし家計消費に依存する小規模自営業者の所得にも多いに役立った。しかし、最近は輸出が増えてもそれほど雇用が増えない現象を見ることができる。 韓国銀行の資料によれば、2000年代に入り我が国の年平均実質輸出増加率は10%で1990年代に記録した14%に比べれば多少落ちたが相変らず高い。ところが2000年以後に働き口は年平均1.2%増加し、外国為替危機以前の1990年代に記録した2.7%に比べて大幅に低くなった。このように輸出拡大が雇用増加に連結される輪が順次弱まっていることが指標の上では景気が良くなっているにも拘らず、体感では景気が振るわない重要な原因となっている。

輸出拡大が雇用増加につながらなかった理由が一時的なものではなさそうだ。恐らく経済全体で生産性が大きく向上しており、雇用に代替する投資が増加しているような構造的変化が現れているためだろう。輸出が急激に増加しているが、製造業の雇用はむしろ減っているという点がこういう推察を後押しする。 2004年以後、製造業は輸出増加傾向のおかげで年平均7.3%ずつ成長したが、製造業の働き口はむしろ毎年0.4%ずつ減少している。これは企業が輸出増加のために投資はしても、生産性向上を通じて労働力をあまり使わない方式で投資が成り立っているためだ。

投資が労働力に代替されるのは製造業だけで起きていることではない。交通施設などで料金徴収を機械化させることも人が直接徴収することに比べ雇用を減少させる要因だ。卸小売業で大型販売施設が登場するのも生産性向上には多いに役に立つが、雇用には否定的影響を与える。 すなわち、多くの小規模事業場で多くの人々が販売に従事していたものを大規模事業場で少数の人員が販売するように代える時、生産性は高まるが雇用は萎縮するほかはない。

しかし、企業の生産性向上を恨むことはできない。生産性向上を怠り利益を出すことができずに不渡りになる企業は社会的にも大きな弊害を及ぼす。さらには企業の本質が利益追求にあるという点を考えてみれば、生産性向上は企業の永遠の課題にならざるをえないためだ。そうだとしても生産性向上により成長産業でかえって雇用が減っている現象は雇用の質を悪化させるだろう。

生産性向上により製造業などから追い出された勤労者たちが生産性のが低い業種に集まり過剰競争が発生し、所得水準は下がることになる。2004年以後、我が国で最も雇用が大きく増えた産業は保健社会福祉サービス業と事業サービス業だ。二つの産業は各々年平均13.8%と7.9%ずつ雇用が増加した。しかし産業の国内総生産を該当産業の総就業者で割った1人当り生産性の面から見れば、保健社会福祉サービス業は製造業の半分にも達し得ず、事業サービス業は3分の1にもならない。これら産業の雇用が急激に増えているため、今後1人当り生産性はさらに下落するだろう。これはこれらの産業に従事する就業者の所得悪化につながるほかはない。それでも多くの人々がこの産業に進入するのは創業などが相対的にやさしいためであるためと推定される。

このように雇用の質が悪化すれば所得の両極化が深まる。生産性が大きく向上している製造業とそうではない一部サービス業間の所得格差はますます広がざるを得ないためだ。また、特定産業の生産性が悪化しているために、その産業に進入した人々は機会がある度にその他産業に移るために求職活動を持続するだろう。これは若干の所得があってもあたかも失業状態にある人々と働き口を巡り競争することであるので全般的な雇用改善を難しくさせるだろう。

現在の雇用市場が持つ問題点は、政府の失業対策が景気調節政策では解決されにくいという点を意味する。為替レート上昇などのような輸出拡大政策を駆使しても輸出企業が良くなるだけで、その恩恵が一般家計には広がらないだろう。 したがって、もう少し直接的な雇用支援政策が必要だ。雇用を拡大する企業に対し政府が一定費用を負担する方法も考えてみるべきだ。

輸出がうまくいき経済が成長しても、多くの人々がこれを体感できなくなっており、これは皮肉にも生産性向上が重要な原因の一つだ。 需要がとても多い時は生産性向上が経済成長を後押しする役割をするだろうが、需要拡大がない時の生産性向上は失業増加という結果を産むだけと言える。このような問題を解決するためには雇用拡大を維持し、これを通じて国内需要を増やすことによって生産性向上が肯定的な役割を果たせるよう誘導しなければならない。これはわが政府が今後、真剣に考慮しなければならない課題となるだろう。 チョン・ミンギュ/韓国投資証券研究委員

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/455751.html 訳J.S