韓国政府が2000億ドル(約30兆円)の対米投資の元本と利息を回収するためには、収益率が少なくとも16%以上でなければならないと暫定的に試算したことが分かった。企業や専門家グループは、「商業的合理性」を満たすのは容易ではない基準だとしつつも、米国内のエネルギー需要が右肩上がりの中では、韓国企業の参画範囲や投資資金の運用方法次第で、十分な利益を回収できる可能性もあると見通している。
産業通商部は今年2月、韓米戦略投資特別法案の採決を控え、韓米両国が締結した戦略的投資に関する覚書(MOU)の運用案を国会に報告した。ハンギョレが13日に当時の報告内容を確認したところ、200億ドルを投資したプロジェクトで20年かけて元本と利息(5%の想定利率)を返済すると仮定した場合、これに必要な内部収益率(IRR)は年平均16.68%だった。投資の翌年から毎年10億ドルずつ元本を均等に分割返済し、利息は元本の返済に伴い段階的に減少する状況を想定したものだ。これに先立ち、両国は元本と利息を回収するまでは5対5で収益を分配し、投資金に対する金利は、投資時点の米国20年物国債の固定金利に両国が合意した加算金利(0.3%ポイント程度)を加算して決定することにした。つまり、200億ドルを投資した場合、20年間で610億ドルを稼がなければ、このような収益分配構造を満たすことはできない。
政府は17日、国会に223億ドル規模の対米投資プロジェクトである米テキサス州エンシナル・ガス複合発電(6.3ギガワット規模)の投資・運営案を報告する予定だ。米国の要求により、韓国政府が当初策定していた事業費(198億ドル)より12%程度増額された。この場合、20年間で680億ドルの収益を上げなければ、元利金の回収ができないという計算になる。これに先立ち、国内の発電会社として初めて米国に進出した韓国南部発電は、2022年6月に商業運転を開始したミシガン州ナイルズのガス複合発電所(1.085GW規模)から、運営収益1億ドルを回収したと、今月1日に明らかにした。
テキサス州では、人工知能(AI)データセンターの急増に伴い、電力需要も急激に上昇している。2024年時点で、世界中のデータセンターは1万2000カ所あり、そのうち5381カ所(45%)が米国にある。7月に発表された未来アセット証券のグローバルエネルギー報告書は、「今後、データセンターの増加ペースが維持される場合、米国のデータセンター関連の電力需要は少なくとも74ギガワットに達するだろう」と予測した。これに伴い、データセンター由来の電力需要に伴う米国の天然ガス発電量は、2026年の89.6テラワットアワーから2030年には169.8テラワットアワーへと増加すると見込まれた。
テキサス州の電力網(ERCOT)を含む主要電力市場で、天然ガスと原子力、再生可能エネルギーの発電を統合して運営するエネルギー企業ビストラの営業利益率は、昨年第1四半期のマイナス3%から今年第1四半期には27%へと急上昇した。第2四半期の営業利益率は13.8%だった。これは、テキサス州のガス複合発電部門の営業利益が、データセンターによる電力需要の急増により大幅に伸びた結果だ。最近、ガス複合発電所を買収したテキサス州を拠点とするエネルギー企業NRGエナジーも、今年の第2四半期に13%の営業利益率を記録した。
テキサス州は米国最大のガス生産地域だ。発電業界の関係者は、「政府も収益率の計算に躍起になっているだろうが、テキサスの最大の強みは、現地調達レベルのシェールガスの価格競争力と電力需要にある。ただ、米国は環境問題に極めて敏感だ。テキサス州政府が比較的友好的な姿勢を示しているとはいえ、送電網などの系統構築が遅れる可能性も排除できない」と述べた。原材料価格の変動に伴う工事費上昇という変数に加え、電力・用水不足による住民の反発や工事の遅延など、事業費増額要因を精査する必要があるという。
国際通商の専門家であるクォン・ビョンギュ米国弁護士(法務法人インファ)は、「対米投資の元利回収の可否は予断を許さない。だからこそ、投資金の運用構造をいかに構築するかが重要だ。単に投資してその利息を受け取る方式であれば利益は限られるが、プロジェクトに韓国のベンダーを組み込んだり、当該特別目的会社(SPV)を米国で上場させたりするなどの運用システムを設計すれば、投資額よりもはるかに多くの資金を回収できる可能性もある」と語った。韓米戦略的投資覚書において、米国はプロジェクトに参加するベンダー(機械・設備・資材・部品などの供給業者)を決定する際、韓国企業を優先的に選定し、可能であれば韓国が推薦したプロジェクトマネージャーを配置することで合意した。
当初、両国は一つのプロジェクトで損失が発生しても、他のプロジェクトの収益でこれを取り戻す「リスクプーリング」方式で合意していたが、最近、米国の要求により、個々のプロジェクトごとに収益と損失を精算することに変更した。元利金の回収における安全策を崩したとの批判もあるが、むしろ好機となり得るという分析もある。政府関係者は「工事費が超過した場合などに備え、我々は年間投資上限(200億ドル)を設けているが、リスクプーリング方式では米国が上限を超えた収益の再投資を要求する可能性もある。メリットとデメリットを総合的に検討している」と述べた。
対米投資交渉の過程に詳しい関係者は、「収益性の確保が不確実な状況下では、リスクプーリングか個別プロジェクトかという点は重要ではない。金利をどうするか、韓国ベンダーの割合をどれだけ確保できるか、我々が供給する中間財に課される米国の関税をどうするか、長期契約であるだけに米国が事前購入契約を結ぶかなど、細心の注意を払う必要がある」と指摘した。他のプロジェクトの先例となるガス複合発電の投資・運営の契約条件を定める段階から、電力需要の変動に備えるための長期電力購入契約や、事業費の増加による損失分担条件などを、米国との最終契約過程で綿密に検討しなければならないという意味だ。