韓国と米国が関税交渉を妥結したことで、自動車業界などを中心に米国による関税リスクはかなり解消される見通しだ。
29日の交渉妥結で最も安堵しているのは、自動車および自動車部品業界だ。キム・ヨンボム大統領室政策室長はこの日のブリーフィングで「米国が韓国に課してきた自動車関税が25%から15%に引き下げられる」と発表した。自動車関連業界はドナルド・トランプ大統領が4月と5月に25%の品目別関税を課したことで打撃を受けてきた。7月30日に韓米は3500億ドルの対米投資ファンド組成の見返りに、米国が相互関税率と自動車に対する品目別関税率をそれぞれ25%から15%に引き下げることで合意した。しかし、米国は8月7日から各国を相手に発効した相互関税率を韓国に対しては15%に下げたが、自動車・部品品目の関税率は25%を維持した。これをテコに対米投資ファンドに関して自国に有利な最終合意を引き出すための布石だった。
これを受け、現代自動車や起亜自動車などの国内自動車メーカー各社は、米国市場での価格競争力が弱まった。輸出先の多角化と米国現地生産などで販売台数における打撃は避けることができたが、現代自動車と起亜自動車の第3四半期の営業利益は20~30%減少する見通しだ。一方、米国市場で韓国企業と競争する日本と欧州連合(EU)企業は先月、それぞれの関税交渉妥結により自動車・部品関税率が15%に引き下げられた。
キム・ヨンボム室長は、「韓国の対米輸出品である自動車に続き、2位の輸出品である半導体は、台湾に比べて不利に扱わないことを米国が約束した」と明らかにした。トランプ政権が品目別関税適用を予告した半導体については、TSMCなど台湾企業より高い関税率を適用しないと約束したという意味だ。また、医薬品と木材は第3国より不利にならないように扱う最恵国待遇(MFN)を受けるとともに、航空機部品、ジェネリック薬品(複製薬)、米国で生産されない天然資源には無関税の適用を受けることになったと明らかにした。
これを総合すると、米国は韓国の様々な主要輸出品目をめぐり競争国より不利ではないように待遇するという約束をしたものとみられる。しかし、米国は一般的に品目別に同じ関税率を適用するため、このような待遇がどれほど意味があるかはもう少し見守らなければならない。
大統領室は、自動車品目の関税引き下げは、国会に投資ファンドに対する特別法案が提出される月の初日を基準に遡及適用されると説明した。EUと似たような方式だ。
一方、現代自動車グループは今回の関税交渉妥結について立場を表明し、「関税の影響を最小限に抑えるために多角的な方策を推進すると同時に、品質およびブランド競争力の強化と技術革新などで内実をさらに固める」と述べた。