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韓国に特に過酷な「トランプ関税ショック」…対米・対中輸出割合の高さで直撃

登録:2025-04-23 07:43 修正:2025-04-23 11:52
「戒厳後の内需鈍化の影響も反映」 
30カ国中4番目の下落幅
米国のドナルド・トランプ大統領/聯合ニュース

 米国による関税戦争が世界経済に衝撃を及ぼす中、国際通貨基金(IMF)は韓国経済が特に過酷な代価を支払うだろうと予想した。関税戦争による通商環境の変化に加え、12・3内乱にともなう政治的不確実性も反映された結果だと解釈される。IMFは、米国の関税戦争が今年と来年の世界の成長率を合わせて0.6ポイント引き下げると予想しつつ、ドナルド・トランプ大統領の関税政策を真正面から批判した。

■米国依存の韓国経済、成長率見通しの調整幅が最大

 IMFが22日(現地時間)に発表した4月の世界経済見通しによると、直前の今年1月の見通しと比べた韓国の成長率の調整幅は1.0ポイントで、30カ国の調査対象中、4番目に大きい。軍事衝突のあるイラン(2.8ポイント)と、今年はマイナス成長が予告されているメキシコ(1.7ポイント)、輸出への依存度の高いタイ(1.1ポイント)に続く大幅な下方修正だ。関税戦争の主な当事者である米国(0.9ポイント)、中国(0.6ポイント)、カナダ(0.6ポイント)を上回る調整幅でもある。企画財政部のキム・ジェファン国際金融局長は、「昨年12月の戒厳事態の及ぼした内需への衝撃などが反映されるとともに、韓国の貿易に占める対米・対中輸出の割合が高いことで受ける影響も反映されたことで、引き下げ幅が大きくなったと考える」と語った。

 中国と米国が第1、第2の貿易相手国であり、グローバルサプライチェーンと深く結びついている韓国の輸出主導の経済構造が、通商の不確実性の直撃を受けることになったうえ、内乱の衝撃を受けたことによる内需の低迷も回復を期待するのは難しい、との診断だ。IMFは1月の見通しで、韓国の成長率を2.0%と予想していた。

米国のトランプ大統領が21日(現地時間)、ワシントンD.C.のホワイトハウス南の芝生庭園で行われた2025年復活祭の卵転がしに参加している/ロイター・聯合ニュース

■「新たな時代に突入」…IMF、米国の各種経済政策を批判

 IMFは、米国の関税政策が触発した通商環境について「新たな時代への突入」と診断した。米国の関税政策は今年と来年の世界の成長率に合計0.6ポイント相当の影響を及ぼすだろうと分析した。

 IMFは、米国の全方位的な関税措置は全世界のサプライチェーンはもちろん、米国経済の生産性と投資にも否定的な影響を及ぼすだろうとして、項目ごとに批判した。まず、関税そのものが「供給に対する衝撃」として作用すると指摘した。関税による国際分業システムの崩壊で世界経済の非効率性が高まり、生産性の低下→生産コストの増加→経済活動の萎縮が生じるということだ。

 また、貿易政策の不確実性が企業による投資の萎縮などにつながる危険性とともに、グローバルサプライチェーンを通じて衝撃が増幅される危険性も警告した。IMFは「(自動車などの)特定の産業部門の受ける衝撃がグローバルサプライチェーンを伝って広がると、パンデミック当時のように巨大な波及効果を招きうる」と述べた。このような貿易政策は米国経済にとっても損失だと強調しつつ、「貿易の不確実性は、2018年を基準とすると1.5ポイントの米国の投資の減少幅を誘発した」と指摘した。

 IMFは各国政府に、自国の生き残りだけに埋没しないよう、企業に対する補助金政策の自制、金融の安定と物価の均衡に目配りする慎重な通貨・財政政策を注文した。しかし、現実化するかどうかは未知数だ。現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は、「韓国でも景気浮揚のための補正予算が直ちに必要だという声は強い。慎重な財政政策などに対する注文は、景気低迷の危機に直面する国には悠長なことを言っていると思われるだろう」と語った。

パク・スジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1193776.html韓国語原文入力:2025-04-22 22:00
訳D.K

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